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ZEHとはどのような住宅?
メリット・デメリットや補助金制度をわかりやすく解説!

2024/03/21

ZEH(ゼッチ)という言葉を耳にしたことはありませんか。ZEHとは省エネ住宅の一種で、国もZEHの普及を推進しています。
この記事ではZEHとはどのような住宅か解説します。ZEHの特徴や種類、メリット・デメリットなどをまとめました。補助金制度を利用すればお得に建てられる可能性もあるため、マイホームを検討している方はぜひチェックしておきましょう。

ZEHとは

ZEHとは

ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、以下のとおり定義されています。

外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅

引用元:経済産業省・環境省「ZEHの普及促進に向けた政策動向と令和2年度の関連予算案」

簡単にいえば、消費するエネルギーよりも創るエネルギーが上回る住宅ということです。ZEHには太陽光発電など電力を創出する設備や、エネルギーの消費量や発電量を確認できる設備が整っています。
政府は2021年10月に閣議決定したエネルギー基本計画で「2030年度以降新築される住宅について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す 」としています。

ZEHの3つの特徴

ZEHの主な特徴は以下の3つです。

● 断熱

● 省エネ

● 創エネ

断熱

断熱とは、外気の影響を受けないようにすることです。断熱性を高めると冷暖房のエネルギーを減らすことができ、夏は涼しく冬は暖かく快適に過ごせます。
ZEHの屋根、壁、窓、床には、断熱性の高い素材が使われています。室内は高断熱の外皮素材によって包み込まれるため、外気の影響を受けにくく室内の温度は一定に保たれる仕組みです。
断熱性能はUA値という指標で数値化できます。ZEH基準の断熱性能は地域によって異なりますが、0.4~0.6以下 を満たさなければなりません。

省エネ

ZEHには省エネ効果の高い設備を導入して、エネルギー消費量を削減する特徴もあります。特にHEMS(ヘムス)という専用のシステムはZEHに欠かせない存在です。HEMSはHome Energy Management Systemの略称で、家のなかの電気使用量と発電量をモニター画面に表示したり、家電機器を自動制御したりします。
HEMSがあることで居住者自身が日々どのくらいのエネルギーを消費しているのか意識するため、無駄なエネルギーを減らすのに効果的です。政府は2030年までにすべての住まいにHEMSを設置することを目指しています。
HEMS以外にも、少ないエネルギーで稼働できるエアコンや給湯システム、LED照明などを導入すると、省エネ効果がさらに高まるでしょう。

創エネ

ZEHの特徴として創エネも挙げられます。創エネとは、家でエネルギーを創り出すことです。先述のとおり、ZEHでは創り出すエネルギーが消費するエネルギーを上回るようにしなければなりません。
創エネのメインとなる設備は、太陽光発電です。家の屋根にパネルを設置して、太陽の光によって発電します。太陽光発電で創り出した電力は家庭で使うのはもちろん、余れば電力会社に売ることも可能です。
余った電力を家庭用燃料電池や蓄電池に蓄えておけば、いざというときに非常電力としても活躍します。

ZEHの種類

ZEHの種類

ZEHは、エネルギー消費量の削減割合によって以下の5種類に分類できます。

● ZEH

● ZEH +

● ZEH Oriented

● NearlyZEH

● Nearly ZEH +

それぞれどのような住宅を対象としているのか、条件を詳しく見ていきましょう。

ZEH

ZEH(ゼッチ)とは省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量を削減したうえで、再生可能エネルギー等の導入により100%以上の一次エネルギー消費量削減を達成する住宅を指します。
一次エネルギー消費量とは、1年間に住宅設備で消費するエネルギーの指標です。先ほど解説したZEHの3つの特徴のうち、断熱と省エネによって一次エネルギー消費量を20%以上削減でき、創エネを含めて一次エネルギー消費量を100%以上削減できることがZEHの条件になります。

ZEH +

ZEHよりもさらに高い省エネ性能を持つのが、ZEH+(ゼッチ・プラス)です。ZEH+はZEHの条件をすべて満たし、断熱と省エネによって一次エネルギー消費量を25%以上削減することが条件になります。
さらに以下の3要素のうち、2つ以上の要素を採用しなければなりません。

  1. ①外皮性能の更なる強化
  2. ②高度エネルギーマネジメント
  3. ③電気自動車を活用した自家消費の拡大措置

高度エネルギーマネジメントはHEMSの導入、電気自動車を活用した自家消費の拡大措置はEV充電設備の設置などが必要です。

ZEH Oriented

ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)は、断熱と省エネによって一次エネルギー消費量を20%以上削減することが条件です。創エネを含めた一次エネルギー消費量削減の条件はありません。
ZEH Orientedは東京都23区などの都市部狭小地や多雪地域に建築された住宅のみが対象です。具体的には北側斜線制限の対象となる用途地域にあり、敷地面積は85㎡未満という条件があります。日照時間が少なく創エネが難しい都市部狭小地でも導入できるのがZEH Orientedの特徴です。

NearlyZEH

NearlyZEH(ニアリー・ゼッチ)とは、断熱と省エネによって一次エネルギー消費量を20%以上削減することに加え、創エネを含めて一次エネルギー消費量の削減が75%以上100%未満の住宅です。断熱と省エネによる条件はZEHと同じですが、創エネを含めた条件はZEHよりも緩和されます。
NearlyZEHは日照時間が少ない寒冷地や降雪量が多い地域を対象としたもので、太陽光発電などによる創エネが十分にできないことが考慮されています。

Nearly ZEH +

Nearly ZEHの条件をすべて満たし、かつ断熱と省エネによる一次エネルギー消費量の削減が25%以上の住宅をNearly ZEH+(ニアリー・ゼッチ・プラス)といいます。Nearly ZEH+は、Nearly ZEHよりも高い省エネルギーを実現しています。
さらに以下の3要素のうち、2つ以上の要素を採用することが条件です。

  1. ①外皮性能の更なる強化
  2. ②高度エネルギーマネジメント
  3. ③電気自動車を活用した自家消費の拡大措置

ZEHのメリット

ZEHのメリット

ZEHに住むと、さまざまな場面でメリットがあります。具体的なZEHのメリットは以下のとおりです。

● 光熱費を抑えられる

● 災害時の非常電力を確保できる

● 高値で売却できる可能性がある

● 快適に暮らせる

光熱費を抑えられる

光熱費の負担が重くなっている昨今、家計が厳しいと感じている方も多いのではないでしょうか。ZEHのメリットとして挙げられるのが、断熱・省エネ・創エネによって光熱費を抑えられることです。
ZEHでは省エネと断熱が強化されるため、従来よりも電気の使用量が減ります。さらに太陽光発電設備などを使って自宅で電力を賄えるため、電力会社から供給してもらう電力も減るでしょう。たくさん発電できれば、電力会社に売電して収支がプラスになることも少なくありません。
一般社団法人住宅生産団体連合会発行の「快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅」によると、ZEH基準相当の省エネ住宅はこれまでの住宅に比べて、光熱費が以下のとおり安くなると試算 されています。

年間光熱費 寒冷地(例:札幌) 温暖地(例:東京)
これまでの住宅 39万3,191円 28万3,325円
ZEH基準相当の省エネ住宅 20万8,323円 15万9,362円
差額 18万4,868円 12万3,963円

参考:快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅2018年12月1日初版第1刷発行(一般社団法人住宅生産団体連合会)

上記はシミュレーション用に試算された金額で実際の水光熱費とは異なりますが、年間の光熱費が安くなることがわかります。なお、太陽光発電による売電は上記の試算に含まれません。

災害時の非常電力を確保できる

ZEHでは太陽光発電とあわせて蓄電池を設置することが多いです。蓄電池にエネルギーを貯めておけば、非常電力を確保できます。
災害時は急に停電が起こり、日常生活に支障が出ることが少なくありません。しかし非常電力を確保しておけば、災害時も自宅での生活を継続できるため心強いです。蓄電池に貯めた電力は電気自動車の充電にも使えます。
日本は地震や災害が多く発生しており、日頃からの備えが欠かせません。安心感を得るために、ZEHを選ぶ方も多いです。

高値で売却できる可能性がある

ZEHはBELSという認証制度で高い評価を得られるため、資産価値が高まります。BELSとは、新築・既存を問わずすべての建築物における省エネの取り組みを評価する認証制度 で、2014年に一般社団法人住宅性能評価・表示協会によって開始 されました。一次エネルギーの消費量に基づいて、5段階で評価されます。
ずっと住むつもりでマイホームを建てても、ライフスタイルや家族構成の変化によって将来自宅を手放すことになるかもしれません。BELSの認証を受けた住宅は、省エネ性能が見える化されているのが魅力です。買い主が安心して選べるため、不動産売却を有利に進められる可能性が高いでしょう。

快適に暮らせる

夏は涼しく冬は暖かく過ごせる点もZEHのメリットです。ZEHでは、部屋ごとの室温の差を少なくできます。急激な温度変化による血圧の上昇・下降が心臓や脳に負担をかけるヒートショックのリスクも軽減できるでしょう。
同じ部屋のなかでも足元だけ寒かったり、エアコンの利きにムラがあったりすると快適に過ごせません。ZEHであれば部屋全体の温度を一定に保つことができ、快適性アップにつながります。
また、気密性能が低い住宅は、結露などがきっかけでカビやダニが発生することが多いです。しかし高気密なZEHは、カビやダニの発生を抑制し、アレルギーや感染症リスクを減らせます。

ZEHのデメリット

ZEHのデメリット

注目度が高まっているZEHですが、導入前には以下のデメリットも考慮しなければなりません。

● 設備投資やメンテナンス費用が高い

● 発電量が天候に左右される

設備投資やメンテナンス費用が高い

ZEHは建てるときも住み始めたあとも、出費が高額になる傾向があります。最初の設備投資としては、太陽光発電や蓄電池などを設置するための費用が必要です。国土交通省によると、新築時に省エネ基準に適合させるためにかかる費用は約87万円、省エネリフォーム費用は約231万 円と算出されています。
住み始めたあともメンテナンス費用がかかることを忘れてはなりません。それぞれの設備を長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが不可欠です。

発電量が天候に左右される

ZEHでは余った電力を売って収益にできると解説しましたが、立地条件によっては発電量が安定しない恐れがあります。曇りや雨が多くて日照時間が短い場所では、太陽光発電設備を設置しても十分な発電量が得られない場合もあるでしょう。
たとえ発電量が安定していても油断は大敵です。近年太陽光発電の買取価格は下落傾向にあり、「思ったより売電収入を得られなかった」というケースも少なくありません。

ZEHの補助金制度

ZEHの補助金制度

ZEHを建てる場合に利用できる補助金制度は、以下のとおりです。

● ZEH支援事業

● 次世代ZEH+実証事業

● 子育てエコホーム支援事業

それぞれの補助金制度を詳しく解説します。

ZEH支援事業

ZEH支援事業は、新築住宅を建築・購入する個人と新築住宅の販売者となる法人が利用できる制度です。
交付を受けるには、ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented、ZEH+、Nearly ZEH+のうちいずれかの条件を満たしていなければなりません。補助金額は、ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedが1戸あたり55万円、ZEH+、Nearly ZEH+が1戸あたり100万円です。

次世代ZEH+実証事業

次世代ZEH+実証事業は、新築住宅を建築する個人が利用できる制度です。ZEH+もしくはNearly ZEH+の要件を満たし、かつ以下のいずれか1つを導入した住宅に補助金が交付されます。

  1. 蓄電システム
  2. V2H充電設備(充放電設備)
  3. 燃料電池
  4. 太陽熱利用温水システム
  5. 太陽光発電システム10kW以上

補助金額は、1戸あたり100万円です。さらに1~4で導入した設備に応じて、補助金がさらに加算されます。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は2024年3月下旬から始まる新しい事業です。子育て世帯または若者夫婦世帯が、注文住宅の新築や建売住宅の購入、リフォームをおこなった場合に補助金が支給されます。
長期優良住宅もしくはZEHが対象で、ZEHの補助金額は1戸あたり80万円 が上限です。一般の方は直接申請できず、 子育てエコホーム支援事業者として登録された建築事業者・宅建業者を通して手続きをおこないます。

ZEHの補助金申請をするときの注意点

ZEHの補助金申請をするときの注意点

ZEHの補助金申請をするときは、以下の注意点があります。

● ZEHビルダー・ZEHプランナーに依頼する

● 補助金申請後は設計変更できない

● 申請スケジュールに注意する

ZEHビルダー・ZEHプランナーに依頼する

ZEHビルダー/プランナーはZEHを建てることを認定された事業者です。業種によって分かれており、建設会社やハウスメーカーはZEHビルダー、設計事務所はZEHプランナーになります。2016年から事業者登録がスタートし、2023年10月時点では5,044社が登録している状況です。
ZEHの設計や建築を依頼する際は、ZEHビルダー/ZEHプランナーに登録しているかどうか事前に確認しましょう。またZEHビルダー/プランナーはZEHの普及目標や過去のZEH普及実績、目標達成のための具体的普及策を公表しているため、あわせて確認しておくのがおすすめです。

補助金申請後は設計変更できない

ZEHの補助金を申請したあとは、間取りや設備などの変更はできない点に注意しましょう。ZEHを設計する際は断熱性能やエネルギー消費量の細かい計算が必要です。建築時は申請したとおりに建てることが求められます。大幅な変更に限らず、窓や給湯器など一部の設備を変更することも厳禁です。
補助金の申請時には計算書とあわせて、計算の根拠となる図面や設備のカタログなども提出します。そのため申請に間に合うよう暫定的に決めておいて、あとで変更するということはできません。申請後の設計変更がないように、すべての項目を最終決定することが大切です。

申請スケジュールに注意する

ZEHの補助金制度はスケジュールが決められているため、計画的に手続きをおこなうことが必要です。
スケジュールどおりに申請しても、すでに予算がなくなっている可能性があります。ZEHの補助金は先着順で、予算に達した時点で公募が打ち切られるためです。常に最新情報を確認しつつ、早めに設計を進めていくことが注意点になります。

まとめ

まとめ

ZEHは断熱、省エネ、創エネという3つの特徴によって、消費するエネルギーよりも創るエネルギーが上回る住宅です。高断熱・高気密で快適な暮らしが叶うだけでなく、災害時の非常電力を確保したり、売却を有利に進められたり、さまざまな場面でメリットがあります。
ZEHの新築や購入を検討している方は、ぜひ伊予銀行までご相談ください。理想のマイホーム取得に役立つ各種サービスもご利用いただけます。

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