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扶養から外れるといくらかかる?
税金の違いや必要な手続きなどを紹介

2024/4/9
(提供元:CyberKnot
扶養から外れるといくらかかる?税金の違いや必要な手続きなどを紹介

配偶者の扶養に入っていると税金や社会保険料の金額が下がるため、世帯での支出を抑えられます。支出を抑えられていた扶養から外れるときに、税金や社会保険料の支払いで手取り額が減ってしまうと心配です。この記事では扶養から外れるといくらかかるのか、税金の違いや必要な手続きも含めて解説します。

扶養から外れるといくらかかるか年収別で解説

扶養から外れるといくらかかるか年収別で解説

扶養に入る側は被扶養者、扶養する側は扶養者となります。夫婦では夫が扶養者、妻が被扶養者となる場合が多く、1年間の収入によってそれぞれの税金や社会保険料が異なる仕組みです。まずは、扶養から外れるといくらかかるかについて、年収別で解説します。

年収100万円

被扶養者の年収が約100万円を超えると、住民税の均等割を課税されるようになります。住民税は均等割と所得割の2種類です。
年収が約100万円を超えると5,000~6,000円程度の住民税の均等割が発生します。均等割は年収に関わらず一律です。住民税の均等割を納税する年収や税額は市区町村で定められているため、該当する地域の計算方法を確認しておきましょう。

年収103万円

年収が103万円を超えると、所得税を納税する必要があります。例えば、年収104万円の所得税は約500円です。住民税の均等割を加えると、5,500~6,500円程度になります。ただし、扶養者は配偶者控除が受けられなくなるため注意しましょう。
配偶者控除が受けられなくても、年収が一定額以下であれば配偶者特別控除が受けられます。年収103万円超での配偶者特別控除は配偶者控除と同額となるため、影響はありません。

年収106万円

被扶養者の勤め先の企業が101人以上の場合、年収106万円を超えると社会保険料(健康保険と厚生年金)の支払いが必要です。
社会保険料は、被扶養者が39歳以下で年間15万円程度、40~64歳では年間16万円程度になります。40歳以上になると介護保険料の支払いが発生するため、社会保険料は高くなります。
年収106万円でかかる金額は住民税の均等割、所得税、社会保険料で合計16~17万円程度です。2024年10月から年収106万円で社会保険料が発生する企業は51人以上になるため、勤め先の社員数を確認しておきましょう。

年収130万円

被扶養者が年収130万円超になると、勤め先の企業規模に関わらず社会保険料が発生します。年収130万円の社会保険料(健康保険と厚生年金)は、40歳未満で年間19万円程度、40~64歳で年間20万円程度です。また、住民税の均等割と所得税1万3,500円程度が発生します。

年収150万円

被扶養者が年収150万円超になると、扶養者の配偶者特別控除の金額が段階的に引き下げられます。被扶養者にかかるのは社会保険料(健康保険と厚生年金)が39歳以下で21万円程度、40~64歳で23万円程度です。さらに、住民税の均等割と所得税2万3500円がかかります。
扶養者は配偶者特別控除の金額が下がると、所得控除が少なくなり課税所得が高くなります。そのため、扶養者の住民税の所得割、所得税がそれぞれ加算されて支出が増えるのです。

年収201万円

被扶養者が年収201万6,000円を超えると、扶養者の配偶者特別控除が受けられなくなります。被扶養者に発生する支払いは年収150万円の計算と同じく、社会保険料(健康保険と厚生年金)、住民税の均等割、所得税です。
扶養者が配偶者特別控除を受けられなくなると、住民税と所得税が高くなります。具体的な税額の計算は扶養者の年収によって異なるため、以下の表を参考に試算してみましょう。

控除額の表

出典元:国税庁「年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき

扶養から外れるときに必要な手続き

扶養から外れるときに必要な手続き

ここからは、被扶養者が扶養から外れるときに必要な手続きについて解説します。

社会保険の手続き

被扶養者が勤め先の社会保険に加入する場合は、企業を通して被保険者資格取得届を提出します。企業に勤めない場合は、国民健康保険に加入するための手続きが必要です。国民健康保険への加入では、被扶養配偶者非該当届を提出します。その後、扶養者の勤め先から資格喪失証明書を受け取り、扶養から外れてから14日以内に役所での加入手続きが必要です。

税金の手続き

扶養者に配偶者控除などが適用されていた場合、被扶養者の名前を削除する手続きが必要です。給与所得者の扶養控除等(異動)申込書に記載されている名前を削除するには、扶養者の勤め先に申請します。申請は、年末調整の手続きでも可能です。

扶養から外れるときの注意点

扶養から外れるときの注意点

ここからは、扶養から外れるときの注意点について解説します。

社会保険は保障が手厚くなる

扶養から外れると社会保険料の支払いが必要になりますが、厚生年金については保障が手厚くなります。厚生年金は、給与の月額によって保険料が変動する仕組みです。厚生年金の保険料として支払った金額に応じて、老後の年金額などが計算されます。
被扶養者として厚生年金に加入しているより、扶養から外れて保険料を納めたほうが老後にもらえる年金額は高いです。一時的に手取りは減りますが、将来の保障としてみるとメリットになる点もあります。

税金と社会保険料がかかるため手取りは減る

扶養から外れると住民税と所得税、社会保険料(健康保険と厚生年金)の支払いが増えるため、手取りが減ってしまいます。税金と社会保険料が増えると、働く時間を増やしても手取りが減ったり変わらなかったりするのです。
手取りを減らさずに働きたい場合、扶養の基準となる年収以内に抑えられるよう勤務日数や時間を調整してみましょう。

扶養から外れても条件を満たせば戻せる

年収が上がって扶養から外れた場合でも、再び条件を満たせば戻せます。税金と社会保険の扶養となる条件を確認しておきましょう。

いくら損するかとキャリアアップを分けて考える

扶養を外れると手取りが減ってしまうため、扶養内で働くというキャリアの選択肢も大切です。ただし、扶養内で働く場合は勤務日数が少なくなるため、仕事のスキルアップや昇進などに影響します。
手取りは減っても、キャリアアップのために扶養を外れて働くというのも選択肢の1つです。扶養を外れた際の経済面と将来のキャリアについて、それぞれ検討しておきましょう。

まとめ

扶養から外れると、年収に応じて税金や社会保険料が発生します。扶養する側とされる側が夫と妻どちらであっても区分される条件があるため、内容を確認しておくことが大切です。扶養から外れるといくらかかるのか、税金の種類や必要な手続きの参考にしてみてください。



著者プロフィール

著者 岩崎 祐二

FP技能士2級、AFP(日本FP協会)

ライフとキャリアを総合した視点で、人生設計をマンツーマンでサポート。日々の家計管理から、数十年先に向けた資産設計まで実行支援しています。

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