野球の強豪「愛媛」の実力とは?
意外と知られていない夏の甲子園通算勝率◯位!

近年、高校野球の夏の甲子園が以前に増して盛り上がっている。そんな夏の甲子園だが、実は愛媛県が強豪であることを、みなさんはご存じだろうか。今回は、その愛媛県の野球事情について紹介しよう。
愛媛県は夏の甲子園通算勝率2位の実力
夏の甲子園の勝率ランキング(バーチャル高校野球 第99回全国高校野球選手権大会)を見ると
1位 大阪府 253試合中166試合勝ちで0.656 (出場回数99回)
2位 愛媛県 184試合中 117試合勝ちで0.639 (出場回数73回)
3位 神奈川県194試合中 123試合勝ちで0.634 (出場回数78回)
人口の多い大阪府や神奈川県などが上位にランクインしているなかで、愛媛県は2位となっている。大阪府の人口約883万人、神奈川県の人口約916万人、対する愛媛県の人口は約136万人。単純に考えて人口が多いと、それだけ野球人口も多くなり野球のレベルが高くなるように思われる。しかし、話はそう単純ではないようだ。
勝率だけでなく、夏の甲子園の優勝回数のランキングを見てみると、大阪府が12回、愛媛県が6回、神奈川県が7回。これらの数字に反映されるように、愛媛県は高い野球のレベルを誇っている。
一体、愛媛県はなぜ野球のレベルが高いのだろうか。愛媛県の野球史を紐解くと、その理由が明らかになった。
野球先進県「愛媛」
明治時代まで愛媛県の野球史を遡ってみよう。意外にも愛媛県の野球は松山市生まれの日本を代表する小説家正岡子規から始まったのだ。正岡子規は東京大学予備門で野球を体験後、野球に熱中し、自らプレーするようになった。
さらに、バットとボールを故郷の松山に持ち帰り、松山中学の生徒に野球を教えた。これをキッカケに愛媛に野球が普及し、愛媛は野球の先進県になったのだ。
そこから、四国内の香川、高知、徳島にも野球が広まっていった。四国は日本の中でもいち早く野球が普及した地域となる。その流れを受けて、戦前から戦後にかけて香川県の高松商業、徳島県の徳島商業、愛媛県の松山商業、高知県の高知商業と「四国四商」の野球強豪校が誕生したのである。
甲子園優勝経験がある、これら4校が甲子園出場を賭けて競争していった(※1978年より前の夏の甲子園は現在のように都道府県から1校出場できず地域ごとに選抜があった)。その競争が、四国地域の高校野球のレベルを底上げし、愛媛県に松山商業だけでなく今治西、西条等の強豪校が続々と生まれた。愛媛県からは松山商業OBで巨人のエース投手として活躍した西本聖氏、宇和島東高OBでメジャーリーグでも活躍した強打者の岩村明憲氏など、数々の名選手が出ている。
日本全土が盛り上がる甲子園!その経済効果とは
今では、四国のみならず日本全国が甲子園で盛り上がっている。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、今夏の甲子園の経済波及効果は約351億円になると試算を出している。選手、関係者、84万4,200人の観客(推定)の入場料、交通、宿泊、食事、甲子園を観るためのTVの買い替え、甲子園の情報を掲載したスポーツ紙の販売増などの費用を合計している。
夏の甲子園の経済波及効果は2014年約244億円、2015年344億円と試算が出されており、年々注目が高まっていることがわかる。
プロ野球と比べて甲子園の外野席は無料、アルプス席は600円と低い料金設定にも関わらず、莫大な経済効果をもたらしているのは注目に値する。球児が青春をかけて必死で熱い戦いを繰り広げる高校野球に、心を動かされる人が日本全国に大勢いることの証左ではないだろうか。
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