1文字で時代を表す
「今年の漢字」はどう決まるの?

年末のニュースで毎年話題になる「今年の漢字」。その年を表す漢字一文字を投票によって選ぶというものだ。京都・清水寺の森貫主が大書するパフォーマンスは年末の風物詩としてすっかり定着している。そして、2017年は「北」に決まったことをニュースで見たという人も多いことだろう。
この「今年の漢字」、どのようにして決定しているのかご存知だろうか。歴代の「今年の漢字」に選ばれた漢字など、知っているようで知らない「今年の漢字」について見ていこう。
「今年の漢字」の応募方法とは?どうやって決まるの?
「今年の漢字」は、公益財団法人日本漢字能力検定協会主催のイベントだ。例年11月1日から12月初旬の間に、今年を表していると思う漢字を日本漢字能力検定協会の特設サイト、ハガキ、そして「今年の漢字」投票箱を設置している書店・図書館から投票できる。子どもからお年寄りまで漢字を知っている人ならば誰でも参加できるイベントなのだ。
毎年、投票できる漢字の候補があらかじめ決められているわけではなく、誰もが好きな漢字を独自に選ぶことができる。ちなみに2017年は153,594票、2016年は153,562票もの投票があった。
結果は12月12日の「いいじいちじ」の日に発表があり、得票数第1位になった漢字は清水寺の森清範貫主によって揮毫される。テレビのニュースなどでもよく見られるおなじみの場面だ。
2017年の漢字は「北」。気になる投票理由とは?
さて、2017年の「今年の漢字」は7,104票を集めた「北」に決まったと発表されたが、投票した人たちはどうしてこの漢字を選んだのだろうか。気になる投票理由は以下の通りだ。
・「北」朝鮮の動向に脅威を感じたから
・九州「北」部で豪雨が発生し甚大な被害が出たから
・「北」海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手の大リーグ挑戦や清宮幸太郎選手の入団決定があったから
選ばれた理由をいくつか見てみると、「北」は良くも悪くも印象深い漢字だったことがよく分かる。ちなみに、2017年の第2位は「政」、第3位は「不」という漢字だった。
歴代の「今年の漢字」を見ると時代が分かる!
「今年の漢字」は1995年から20年以上続いているイベントだが、歴代の漢字を見てみるとその時代の世相や情勢がよく分かる。いくつか挙げてみよう。
1995年の第1位に選ばれたのは「震」。この年は阪神淡路大震災があったことが理由だろう。
東日本大震災があった2011年は「絆」。人々・地域の「絆」、ボランティアなど助け合いの「絆」を皆が再確認した年だった。なお、2011年の投票数は496,997票と歴代最多を記録した。その中で「絆」は12.36%の61,453票を集めている。この言葉はあらゆるところで聞かれたので、思い浮かべた人も多かったのだろう。
そして、2016年には「金」が選ばれた。「金」髪のトランプアメリカ大統領誕生やリオオリンピックでの日本選手の「金」メダルラッシュを連想しての結果だ。この「金」という漢字は2012年、2000年の「今年の漢字」にも選ばれている。2012年はロンドンオリンピックの「金」メダルや「金」環日食、2000年はシドニーオリンピックの「金」メダルや南北朝鮮統一に向けて韓国の金大中と北朝鮮の金正日の「金」両首脳会談を理由にしている人が多かった。
「今年の漢字」を見ることができる場所はどこ?
「今年の漢字」で漢字に興味を持ったという人は、2016年京都に開館した「漢字ミュージアム」を訪れてみよう。漢字ミュージアムでは2017年10月11日から2018年2月12日まで「今年の漢字展」が開催されている。今までの「今年の漢字」大書をすべて見ることができる企画展だ。
漢字ミュージアムでは「今年の漢字」に限らず、漢字に関するあらゆることを学べるので、展示会の期間外に訪れるのもいいだろう。私たちの身近にある漢字のことをもっと知ることができるはずだ。
その年の出来事や世相が一目で分かる「今年の漢字」は、これからも年末の恒例イベントとして注目され続けるはず。ぜひ今年は投票にも参加してみてはいかがだろう。
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