道後温泉やしまなみ海道、みかんに海産物。たくさんの名物を誇る愛媛県だが、実は数多くの立派なお城を有する「名城県」であることをご存知だろうか。日本に残る「(※)現存12天守」のうちの2つ「松山城」「宇和島城」が愛媛県にあり、複数の現存12天守を有するのは全国でも愛媛県だけだ。さらには、「日本名城100選」には、「松山城」、「湯築城」、「今治城」、「大洲城」、「宇和島城」が選ばれており、長野県、兵庫県と並んで最多の5城が所在している。そんな立派なお城の数々は、歴史好きの方もそうでない方も十分に楽しめること間違いなし。今回は、愛媛の名城4選をご紹介したい。

※「現存12天守」とは、日本の城の天守のうち、江戸時代またはそれ以前に建設され、現代まで保存されている天守のこと。

松山城「現存12天守」の一つ　日本三大平山城

愛媛のお城といって、最も代表的な存在が戦国時代の武将、賤ヶ岳の七本槍の一人、加藤嘉明が築いた松山城だ。道後温泉とともに松山観光の双璧をなす存在として知られ、その規模は日本のお城のなかにおいても最大級を誇る。日本のお城は、戦争や火災などで消失してしまったものも少なくないが、松山城は21棟もの建物が現存しており、現存数は二条城に次ぐといわれる。松山城は、本丸以外に二の丸、三の丸まで現存する巨大な平山城だ。姫路城と同じような連立式の大天守を備え、その雄大な造りから日本三大平山城の一つに数えられている。この大天守と場内に残る数々の建物が国の重要文化財に指定されており、その見所はいたるところに存在する。

のんびりとロープウェイかリフトで上り、本丸の天守閣まで見学すれば約2時間。巨大な城郭を堪能することができる。さらに時間があれば、二の丸庭園にも足をのばそう。美しい独特の日本庭園を堪能できる。また、ロープウェイ商店街では、松山や愛媛のお土産やお洒落なカフェ、郷土食が楽しめるお店が大集結。松山城観光とセットで楽しみたい。

宇和島城　伊達家10万石の居城 藤堂高虎設計の城

宇和島は伊達家10万石の藩として栄え、幕末には最も近代的な藩としても知られる存在だった。

藤堂高虎が築城したお城であり、宇和島城は標高74メートルの山の上に建てられた平山城だが、築城した当初は、宇和島湾まで三の丸が面しており、港の構造をうまく利用した作りだったそうだ。宇和島城の最大の特長は、実は五角形なのだが、一見すると四角形に見えるところで、防御に絶大な効果を発揮したと言われている。宇和島城の天守閣は江戸時代中期に建て替えられたものがそのまま残されており、国の重要文化財として内部を観覧することができる。

宇和島城の天守閣へは、時に急な勾配の登山道を歩いて登り、約15分の道のりだが、緑の自然に囲まれた登山道は、気持ちのいい空間だ。本丸からの眺めは宇和島市街と宇和島湾を見渡せることができ絶景。このほかにも上り立ち門（市指定文化財）の石垣も見所だ。

今治城　日本三大水城の一つ

今治城は、宇和島城や大洲城とともに藤堂高虎が築いたお城として有名で、その地形や姿から日本三大水城の一つに数えられる。今治城の最大の特長は三重の堀に海水を直接引き入れているという構造で、直接、船で海に出ることもできる。海事都市今治ならではのお城だ。築城の名手といわれた藤堂高虎の築城技術は、地形の特長を最大限発揮することにあり、今治城もそうした高虎の才能がいかんなく発揮されている。今治城の最大の見所は江戸時代の姿をほぼそのまま残す構造と石垣と内堀だ。

天守閣は再建されたもので、復元の際に当時の資料が残されていなかったため、模擬天守とされているが、周囲を水に囲まれた美しい姿は一見の価値有りだ。

大洲城　伊予の小京都の拠点

愛媛・南予地方の代表的なお城の一つが大洲城だ。大洲は大洲藩6万石の城下町、伊予の小京都とも称されるほど美しい観光名所である。大洲城はそんな伊予の小京都のランドマーク的存在で、巨大なお城が残されている。この大洲城は、伊予の守護・宇都宮氏の居城だったが、藤堂高虎によって江戸時代の初期に大規模な修築が行われた。藤堂高虎の築城の特長は、地域の地形をうまく有効利用することだが、大洲城は、背後に控える雄大な肱川を堀替わりにする独特の構造だ。見所は雄大な構造そのものにあるが、それ以外にも忠実に創建当時を復元した4階の天守閣や、国の重要文化財である台所櫓や南隅櫓などが見応えがある。

今回、紹介したお城の他にも、川之江城や国史跡の湯築城など特徴のある姿を今に伝える名城がまだまだ盛りだくさんある愛媛。是非、立派なお城の数々を楽しめる「名城県」愛媛県で、歴史を感じるお城めぐりの旅へ出かけてみてはいかがだろうか。