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伊予を咲かせる人
さくらひめ開発者 廣瀬由紀夫さん

2018/02/27
(提供元:ソフトコム
▲試作を積み重ね、誕生した可憐な花。

全国のコンテストで三冠を達成、愛媛県が育種した新品種。

花言葉は「可憐な乙女」、「君に微笑む(愛顔)」、そして「希望」。愛媛県が長年育種し、2013年に登録出願(2015年登録)されたデルフィニウム「さくらひめ」。翌年には学識経験者や業界関係者が審査員をつとめる新花コンテストや、一般来場者等が投票する日本フラワー&ガーデン賞でグランプリ等三冠を獲得。花の栽培農家の間で注目を集めている新品種だ。愛媛におけるデルフィニウムの産地振興のため、主任研究員の廣瀬由紀夫さんが開発に着手したのは、なんと10年以上も前に遡る。デルフィニウムといえば鮮やかなブルーが主流で、薄いピンク色の花びらはとても珍しい。

冬を彩る「さくらひめ」。桜を愛でるように、楽しんでほしい。

「愛媛での出荷時期は冬と春なので、暖かな色味があったらいいよねと。でも当時はピンク色の品種が今のようになく、何とか手に入れたものを掛け合わせて試してみたのですが、どうしても青が残る。その後、後任の者が試作を繰り返し、ようやくこの色を出すことができました」。

桜を彷彿させる姿から命名された「さくらひめ」。従来よりもボリュームのある枝振りと切り花に最適な草丈も特徴。枝1本につきおよそ12輪という花数の多さを誇り、見た目も華やかだ。アレンジメントの添え花としてはもちろん、単体をまとめて花器に生け込むと花見情緒も味わえる。

▲写真右:可憐な淡いピンクが特徴のさくらひめ。
写真左上:組織培養室で芽吹く、さくらひめの赤ちゃん。
写真左下:一般的なデルフィニウムは、鮮やかな青色が主流。

「種苗を安定して供給できる体制を整えるのが今後の課題。また、さくらひめの特徴を生かした栽培方法についても試験中です。桜が咲く前に、さくらひめでひと足早い春を感じてもらえたら嬉しいですね」。

現在は40軒ほどの農家が栽培しており、1月から6月までが収穫時期。県下の産直市やフラワーショップで切り花の購入が可能だ。また実証展示や試験栽培を行う東温市の「花き研究指導室」では、植え付けから開花までを無料公開。200平米の温室が薄ピンク色に染まる。

さくらひめ、誕生までの物語。

10年以上の長きにわたる研究の集大成。 何度もこの工程をくり返し『さくらひめ』が生まれた。

① 親株を育てる。
異なる系統同士の交配から誕生するさくらひめ。親株は研究所の温室で育てられる。
② さくらひめの“種”
採取した種の中から育成の妨げとなる悪い種を取り除く。目視で行う、地道な調整作業。
③ すくすくと成長
定植から1ヶ月ほど。丸みを帯びた葉姿から開帳型に。
④ ついに開花!
発芽からおよそ3ヶ月。薄ピンクの花弁には、チャームポイントである緑色のドットが。

愛媛から世界へ。さくらひめプロジェクト。

その名から、しとやかな日本の女性像をイメージさせる「さくらひめ」。愛媛県ではこれをキーワードに、働く女性をターゲットにした“モノ・ことづくり”を通じた地域ブランディングを推進している。長い時を経て誕生した1本のデルフィニウムから始まった、壮大なプロジェクト。さくらひめに想いを乗せ、県の魅力を全国に、そして世界へと発信する。

廣瀬由紀夫 Profile
愛媛県農林水産研究所農業研究部主任研究員。遺伝子の解析から栽培試験まで、花き等の育種に携わるプロフェッショナル。

※この記事は2015年12月の取材をもとに加筆修正したものです。

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