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実現できるの?
「四国新幹線」の構想と現状

2018/03/29
(提供元:ZUU

北海道から本州、九州にかけて、唯一新幹線が走っていない地域。それが、四国である。いま、四国新幹線を巡って活発な議論が起こっている。

シンポジウムで四国新幹線実現への提言

2017年11月に香川県高松市で開催された四国の活性化について議論するシンポジウムで、四国新幹線の整備の必要性が改めて提言された。「四国の未来を拓(ひら)くリーディング・プロジェクト」は「新幹線の空白地域」である四国に早急な整備を実現するため、具体的な提案を行っている。

四国だけ新幹線の空白地域

日本の4島で新幹線の開通していないのは四国だけとなった。高度経済成長期、田中角栄の「日本列島改造論」に端を発した全国を新幹線で結ぶ壮大な計画も、四国のみ具体的な整備計画がなく取り残されている。

ここ数年で九州、北海道、北陸の新幹線が延伸開通したが、いずれも地元に大きな経済波及効果をもたらしている。北陸新幹線の金沢開業1年目は当初予想の8倍以上となる258万人の観光客が押し寄せ、経済波及効果も予想の約5倍の1,000億円超えとなった。

四国は北海道や北陸と比べても沿線人口に大きな差がないため、四国新幹線の開通は地元の悲願となっている。

新幹線で四国の未来はこうなる!

新幹線を整備すれば、四国には次のような未来が待っている。

1.新大阪へのアクセス向上
四国はかねてより大阪や京都、神戸などの関西圏と経済的な結びつきが強い地域である。しかし、鉄道によるアクセスが良いとは言えず、新大阪から四国の県庁所在地のうち最も距離の離れた愛媛県の松山までは、なんと約3時間50分も掛かってしまう。もし四国新幹線が開通すれば、この時間が半分以下に短縮され約1時間40分に。ビジネス出張や観光旅行などで、四国と大阪、さらに東京、九州方面がもっと身近になる。

2.四国内のアクセス向上
また四国新幹線が整備されると、高松駅から松山駅の所要時間が現在の142分から42分に短縮されるなど、4つの県庁所在地がすべて1時間以内で移動可能になる。

・四国主要駅間の所要時間短縮ベスト3(特急→新幹線)

第1位 松山─高知 247分→54分(193分短縮)
第2位 徳島─松山 206分→61分(145分短縮)
第3位 徳島─高知 202分→59分(143分短縮)

松山-高知間のように3時間以上ものアクセス短縮になれば、四国内がもっと小さくなって移動しやすくなる。

3.四国の社会問題が解決へ
四国でも人口減少や高齢化が社会問題化しているが、四県が一体化することで、人の交流や経済の結びつきを強めることができる。観光客が増え、企業活動も活発になるほか、経済発展やインバウンド効果も期待できる。

現在、四国は観光の分野で新たな時代へと突入している。「サイクリストの聖地」と呼ばれるしまなみ海道や女子旅で人気の高い道後温泉をはじめ、四国の観光スポットを目掛けて全国や海外から訪れる観光客が少なくない。四国新幹線が実現すれば、さらなる観光需要が期待できるだろう。

また、南海トラフ地震が想定され、台風の接近も少なくない四国では、災害に強い新幹線で四県を結び防災インフラとして活用することも望まれている。四国新幹線が開通すればアクセスが大幅に向上するのはもちろん、こうした面でも大きな恩恵が地元にもたらされることになるだろう。

実現化への見通しは?

工期に10年以上が必要になるケースもある新幹線は、建設に莫大な予算が掛かる。財源確保が難しく平地が少ない四国で早期に実現するには、新幹線初となる単線での整備を求める声も上がっている。

現実的なルートは、在来線が走っている現状のルートに沿って4つの県庁所在地を結び、瀬戸大橋経由で岡山へと接続する計画だ。四国と岡山はいまでも瀬戸大橋によって在来線で結ばれ、新幹線を走らせる線路スペースも確保されているため実現性が高い。

四国新幹線はけっして絵に描いた餅ではない。全国を新幹線で結ぶという壮大な夢は、四国のすぐそばにまでやって来ている。

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