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残したい えひめの手仕事
内子・和蝋燭

2019/03/22
(提供元:中国四国博報堂

木蝋生産と豪商の名残が残る、内子町の八日市護国地区

江戸から明治にかけて木蝋生産で日本一の生産量を誇った愛媛県内子町。伊予大洲藩の殖産興業として始まった木蝋生産は、木蝋を原料とする製品の拡大によって明治時代には海外にも輸出されるほどの一大産業となった。当時の木蝋はロウソクだけではなく、化粧品やクレヨンなどの製品に使用され、明治時代の近代化に伴ってその需要もますます拡大した。その後、ロウの原料として石油が主流となると木蝋産業は衰退するが、内子町には当時の商人の町をそのまま残す八日市護国地区の町並みが残されている。

全長600メートルのこの通りは、木蝋生産の中心的存在でもあった豪商、芳我家に関する建築物が多く残されており、外観と庭園を見学することができる。その豪壮な造りと庭園から当時の内子町と豪商の勢威を感じる。

優しくゆらぐ灯 和ろうそく「大森和蝋燭屋」

和蝋燭は、世界中で日本にのみ生息する天然のハゼの実を使って作られ、蝋が垂れにくく、炎が大きく明るいのが特徴。江戸時代以降、寺社や武家向けに生産が拡大し、本格的な生産が進んだ。明治時代から昭和初期にかけて庶民に親しまれ、数百を越える業者が和ろうそく製造に携わっていたといわれている。
技術の習得に時間を要し、1本1本手間暇をかけて作られる分コストも高い和ろうそくは、洋ろうそくの普及とともに専門業者の数も減り、現在では全国に20軒ほどが残るのみとなった。そのひとつが、愛媛県内子町にある大森和蝋燭屋なのだ。

大森和蝋燭屋は、内子町・八日市護国の町並みを南へ本町通りに向かう坂道の途中、ろうそくを描いた提灯と暖簾が目印だ。創業約200年の大森和蝋燭屋では、この道三十年になる六代目の大森太郎さんと七代目の亮太郎さん父子が、江戸時代の製法のままに、今も和ろうそくを作り続けている。丹精込めて作るろうそくは、すべての行程が手作業で、熟練するまでに長い年月が必要な職人技を要する。

和ろうそくは、木蝋を素手で転がしながら芯に擦り付け、乾かす「生掛け(きがけ)」と呼ばれる作業を繰り返し行い、仕上げに熱めの蝋でツヤをだす。何重にも塗り重ね仕上げた和ろうそくは切り口が年輪状で、色も絵も全く付けない素朴な趣がある。

煤(すす)が少なく風に強く、無風であれば蝋が垂れることもない、「炎の大きさ」と「ゆらぎ」と「温かみ」のある灯は心癒される。日頃馴染みのある西洋ろうそくとは一味違った和ろうそく、内子町でその世界に浸ってみるのもおすすめだ。

◆大森和蝋燭屋
所在地:愛媛県喜多郡内子町内子2214
TEL:0893-43-0385
営業時間:9時~17時
休館日:火・金曜日/お盆、年末年始不定休

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