新・道後温泉界隈之絵図
"古い日本画"のように描かれた"最新の道後"

2017年12月、道後温泉の新たな外湯としてグランドオープンした「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」。2019年1月、営業を続けながら約7年間の保存修理工事に入った道後温泉本館と同じく、入浴客が湯上りにお茶やお茶菓子を楽しめる休憩室を備えている。
その一室、2階の大広間には道後界隈を俯瞰した“古い日本画”のような大きな絵図が掛けられている。“ような”というのは、近づいて見ると、それがプリントであること、そして描かれているのが最新の道後の姿だからだ。
道後の名所と風物詩が一目でわかる
道後絵巻のような絵図の製作者は、松山市在住のクリエイター・隅川雄二さん。頭の中に浮かぶイメージを、イラストやデザイン、造形などで表現してみせる「イメージビルド」を得意とする。
「これは、道後に来た人に見てもらいたい情景です」と隅川さん。ぜひ訪れたい道後温泉本館や飛鳥乃湯泉、松山市立子規記念博物館などは、周囲の尺度の2倍の大きさで描かれ、ランドマークとなっている。
一枚の絵の中に春夏秋冬の景色があり、四季折々の祭事や風物も描かれている。“一目で道後のすべてがわかる”と、絵の横に立って記念写真を撮る来館者が多いという。

有名キャラを探せ!
思わずクスッとなる、細かい人物描写にも注目だ。道後温泉おどりの列で失敗して手ぬぐいを飛ばしている踊り手、健脚を競う道後温泉一番走りで転んでいる若者。着物姿でそぞろ歩きする人やベビーカーを押している人、座り込んで鞄の中を探っている人…あれ、これはさっきの自分の姿では?と思う人もいるかもしれない。
あちこちに紛れ込んでいる道後ゆかりの人物や松山のゆるキャラを見つけるのも楽しい。特に、放生園カラクリ時計前には大勢の人物が集まっている絶好のキャラスポットだ。
上空には道後温泉伝説の白鷺が舞い、金色に輝く吉祥の雲が漂う。飛鳥時代より名湯の誉れ高い道後温泉には、全国から多くの人々が湯治に訪れ、お遍路さんも立ち寄るなど賑わいを見せてきた。元禄時代に最古の観光案内書が描かれて以降、新しい絵図が発行されてきた道後温泉。隅川さんは、風景をスケッチした原画をパソコンに取り込みデータ化した。今後、街の姿が変わればデジタル技術で修正し、いつでも最新の道後の姿を私たちに見せることができるのだ。






隅川雄二さん
UP2U(up to you)代表
道後のホテルのデザインや、旧道後温泉椿の湯のからくり絵を描き、多方面のクリエイティブな活動で注目されている。
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