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定期預金の金利が低いとどうなる?
金利の基本と仕組みから解説

2022/03/08
(提供元:全研本社

定期預金には「預金金利」と呼ばれる金利がつきます。しかし、「低金利」、「金利が低い」という情報を見聞きしても、「具体的にどういうことなのかよくわからない」という方もいるのではないでしょうか。今回は定期預金の概要をはじめ、金利の仕組みや低金利時代に貯蓄する際のポイントを解説します。

そもそも、定期預金と預金金利とは?

定期預金とは、各金融機関が提供している預金の1つです。1年、2年、3年などあらかじめ預け入れる期間を決め、お金を貯める仕組みになっています。期間の途中で中途解約も可能ですが、中途解約をすると満期のケースよりも金利が低くなるため注意しましょう。

預金金利の「金利」とはどんなもの?

「預金金利」とは、その名の通り定期預金をはじめとした預金につく金利のことです。ここで「金利」を簡単に説明すると、お金を借りた人が、借りたお金に対して別途支払うお礼の割合のことを指します。たとえばAさんがお金を借りる人、Bさんがお金を貸す人と仮定して、金利を算出してみると、以下のようになります。

Aさん:お金を借りる人
Bさん:お金を貸す人
借りる金額:100万円
実際の返金額:105万円
金利:5%
利子・利息:5万円

借りた金額は100万円ですが、実際の返金額は105万円で5万円分の上乗せがされています。このことから、金利は5%と算出できるのです。 また、金利と混同されがちなのが「利子」や「利息」です。金利が「お金を貸してくれたことに対するお礼の割合」であれば、利子や利息は「その割合をもとに実際に上乗せする金額」だと考えると良いでしょう。上記の例では、実際の返金額が105万円となっており、利子・利息は5万円だということがわかります。

こうした金利は、定期預金にもつきます。100万円を定期預金口座へ1年間預けた場合を例に、金利を算出してみましょう。

預け入れ金額:100万円
預け入れ期間:1年間
1年後の金額:101万円
預金金利:1%
利子・利息:1万円

100万円を1年間預けて101万円になっていることから、金利は年率1%、利子・利息は1万円と算出できます。

金利・利子・利息の違いを解説

金利と利子、利息という言葉を見かける機会も少なくありません。利子と利息は、それぞれお金を貸したり借りたりする際に発生する対価のことで、基本的な意味は変わりありません。違いは、利子が借りた人から見た言葉で、利息は貸した人から見た言葉といえます。以下の表で、金利と利子、利息の違いをまとめて解説します。

  解説
金利
  • お金を借りた人が、借りたお金に対して別途支払うお礼の割合(%)。
利子
  • 金利をもとに、借りたお金に実際に上乗せするお礼のお金のこと。
  • 借り手側から見た言葉として扱われることが多い。
利息
  • お金を貸した人が、実際に貸した金額とは別に受け取るお金のこと。
  • 貸し手側から見た言葉として扱われることが多い。

なぜ定期預金に金利・利息がつく?

お金を貸し借りしているわけではないのに、なぜ定期預金に預けると金利や利子(利息)がつくのでしょうか。
これには、銀行の運用収益が関係しています。銀行は、預金口座を通して利用者からお金を預かります。その預かったお金を個人や企業へ貸し付けたり、国債で運用したりして収益を得ているのです。銀行は、これらの運用収益からお金を預けてくれた利用者に対して利息を支払っています。

利用者からすると「お金をただ銀行へ預けているだけ」という感覚であっても、銀行はそのお金を運用して収益をあげています。よって銀行は、お金を預けてくれたお礼として金利をもとに利息を支払っているのです。

「低金利」とはどのような状況を指すのか?

低金利とは文字どおり金利が低い状況を指し、お金を借りる側と貸す側で受ける影響が異なります。お金を貸す側、または預金する側としては、収益をあげにくくなったり、お金が貯まりにくくなったりします。「72の法則」と呼ばれる計算式を使うと、わかりやすくなります。

「72の法則」とは、お金が2倍に増える期間を算出できる計算式のことです。
「72÷金利=お金が2倍になるのに必要な期間」と算出できます。たとえば金利2%で預金を預けた場合、計算式は「72÷2=36」。つまり、今ある預金を2倍の金額に増やすためには36年間預ける必要があるということがわかります。よって預金金利が低ければ低いほど、お金を倍増させるのに時間がかかってしまうということです。

過去の預金金利と現在の預金金利を比較

現在、定期預金の金利はメガバンクで0.002%です。それに対し、バブル経済の真っただ中であった1985年の定期預金の金利は5.5%と、圧倒的な高金利であったことがわかります。

1985年の金利では、100万円を1年間預けると44,000円(税引き後)の利息を受け取れる計算になります。しかし現在の定期預金の金利では、100万円を1年間預けても利息は16円(税引き後)にしかなりません。このように、金利が低いと預金による利息収入は期待できなくなってしまいます。バブル時代は、「銀行に預けるだけでお金を貯めることができた」といわれることがありますが、それも預金金利が現在よりも圧倒的に高く設定されていたためです。

金利が低いことによるメリットも

一方で低金利であることは、お金を借りた際の将来的な負担額が抑えられることでもあります。とくに顕著な例が、住宅ローンです。

長期固定金利住宅ローン【フラット35】の2013年時点の金利は2%台でしたが、2021年11月では返済期間15年~20年で1.21%、21~35年で1.33%となっています。

住宅ローンで借りる金額を1,500万円、返済期間を35年として計算すると、金利が異なるだけで以下のような差が出ます。なお、以下の返済額はフラット35のローンシミュレーションを活用して算出しています。

【例:金利を2013年の2.750%で計算した場合】
借り入れる金額:1,500万円
返済期間:35年
金利:2.750%固定金利
ボーナス支払い:なし

=毎月返済額:5.6万円
総支払額:2,338万円

出典:住宅金融機構【フラット35】「借入希望金額から返済額を計算」

手計算で計算する場合は、「月々返済額=借入金額×(利率/12)×(1+利率/12)返済回数÷(1+利率/12)返済回数-1」いう式で算出できます。ただし、式が煩雑であるため手計算では比較的労力がかかるのが難点。より正確にシミュレーションしたいのであればローンシミュレーションの活用をおすすめします。

【例:金利を2021年12月時点の1.33%で計算した場合】
借り入れる金額:1,500万円
返済期間:35年
金利:1.33%固定金利
ボーナス支払い:なし

=毎月返済額:4.5万円
総支払額:1,877 万円

出典:住宅金融機構【フラット35】「借入希望金額から返済額を計算」

計算結果からもわかる通り、金利によって将来的な総支払額に460万円以上の差額が出ています。低金利は、大きな買い物を後押しする要素にもなるのです。

預金金利が低い今、貯蓄や資産形成はどのようにすべき?

低金利にはメリットもあるとはいえ、貯蓄や資産形成に不利な要素であることは変わりません。預金金利が低い現在、どのように資産形成をすべきなのでしょうか。効率良く資産形成をするためのポイントを、以下で6つ紹介します。

1. まずはシミュレーションを行う

結婚やマイホームの購入、子育てや定年退職など、今後の自分はどのようなライフイベントを迎える予定があるのかをリストアップしましょう。そのうえで、各ライフイベントにどれだけのお金が必要になるかをシミュレーションします。

たとえば住宅金融支援機構が行った調査によると、注文住宅の所要資金は、全国平均で3,534万円と報告されています。土地付注文住宅となるとさらに平均額は上昇し、4,397万円と報告されています。注文住宅だけでなく、建売住宅や中古住宅、マンションを購入するにしても、マイホームを購入するだけで数千万単位のお金が必要となることがわかります。大きなライフイベントを経験するときになってから慌てないよう、各種のシミュレーションを大まかにでも行うことが大切なのです。

出典:住宅金融支援機構「2020年 フラット35利用者調査」

2. 預貯金以外の貯蓄・資産形成の手段を考える

低金利時代の今、預貯金だけではお金はなかなか貯まりません。今後のライフイベントや老後を考えると、預貯金だけで増やすのは難しいといえるでしょう。より効率良く資産を増やすためには、債券投資や投資信託などの金融商品を通して、資産形成をすることが重要となります。

3. 守るお金(貯めるお金)と増やすお金を分ける

資産形成をする際は、「守るお金(貯めるお金)」と「増やすお金」を分けて扱うことが大切です。前者の「守るお金」は、毎月預金口座へ貯めておくお金のことを指します。代表的なものとして、積立定期預金があげられます。守るお金は、さらに2通りの使い方をできるようにしておくことが理想的です。突然の病気や休職など、もしものときに使える貯金と、車やマイホーム資金など明確な目標に沿って貯める貯金です。

「増やすお金」は、各種資産運用に回すためのお金です。使用用途がない、一部の余剰金があれば、資産運用に回してさらにお金を増やしましょう。とはいえ、「資産運用は難しそう」、「損をしそうで手を出しにくい」とお考えの方もいるはずです。しかし、一言で資産運用といっても、実際にはさまざまな種類があります。少額から投資でき、初心者でも挑戦しやすい資産運用もあるため、自身に合った方法を選んで、お金を増やすことが大切です。

4. 資産運用はリスク分散が基本

資産運用の方法にはさまざまな種類があります。できる限りリスクを抑えて、長期的な利益を得るためには、「分散投資」を行うことが基本です。分散投資とは複数の投資対象を持つことで、万が一のときのリスクを分散する方法です。

1つの金融商品に依存して投資をしてしまうと、その金融商品の価値が下がった際の損失が大きくなってしまいます。金融商品を複数購入して、投資先をいくつかに分けて運用すればリスクを分散でき、結果的に損失を軽減できます。

5. 分散投資では時間と地域も意識する

分散投資で意識すべきなのは、金融商品を分けて運用することだけではありません。それにくわえて、「時間の分散」「地域の分散」も意識する必要があります。

「時間の分散」は、金融商品を購入するタイミングをいくつかに分けて運用する方法です。購入のタイミングをずらしたうえで、一定の金額を定期的に積み立てると、価格変動のリスクを軽減できます。

「地域の分散」は、国内外の金融商品を組み合わせて運用する方法のことです。国内だけでなく、国外にも投資対象を設けることでリスクを分散できれば、収益の安定化を狙えます。投資対象はアメリカをはじめとした先進国、東南アジアをはじめとした新興国など、エリアごとに分けて運用する方法が考えられます。

6. 金融商品の性質を把握しておく

金融商品には収益性のほか、流動性や安全性といった性質にも違いがあります。そのため、金融商品ごとの性質を把握しておくことが重要です。

たとえば「収益性」に優れた金融商品といえば、株式投資や投資信託などがあげられます。一方これらの商品は、市場の動きによってリターンが大きく左右されるのも事実です。よって、長期運用を前提とし、リスク分散をきちんとしたうえで運用することが基本です。また、しばらく使う予定のない余剰金を資金とすることも大事なポイントといえます。

一方で金融商品における流動性とは、必要なときにすぐ使えるか否かを指すものです。くわえて、中途解約がしやすい商品も流動性が高いといえるでしょう。具体的な金融商品としては、預貯金があげられます。ただし、預貯金を中途解約すると金利が下がってしまい、金利による恩恵を受けにくくなるのがデメリットです。その点を加味したうえで、「この口座にはすぐに使えるお金を貯める」、「この口座には満期まで手をつけてはいけないお金を入れる」など、自身の貯蓄プランに合った預貯金の商品を選びましょう。

金融商品における「安全性」とは、元本割れの危険がないことを指します。元本割れとは、金融商品の価格が変動し、商品の購入金額や投資資金を下回ってしまう現象のことです。たとえば株式は、うまくいけば高い収益が見込めますが、その反面値動きが激しく元本割れしやすいという性質を持っています。よって、安全性が高いとはいえません。安全性に優れた金融商品としてあげられるのが、定期預金や個人向け国債などです。これらの金融商品は値動きによる元本割れのリスクはほとんどありません。ただし、現在の預金金利や国債金利は低く設定されているため、実際には、株式や投資信託のような高い収益性は見込めないでしょう。

定期預金の性質を理解することが大切

貯金や貯蓄と聞いて、最初に定期預金を思い浮かべる方は少なくないはずです。定期預金は、基本的に銀行へお金を預けて任意で貯めていくだけの貯金方法になります。元本割れの危険がなく堅実に貯金できるのが強みですが、現在の金利では思うようにお金を増やせないことも事実です。これからは、定期預金で「守るお金」を作りつつ、ほかの金融商品にも目を向けて資産形成をしていくことが重要だといえます。

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