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住宅ローン以外にも使える?
団信の保障概要や加入時の注意点について

2022/03/31

団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンを安心して利用するために欠かせません。しかし、内容がよくわからない人もいるのではないでしょうか。この記事では、団信の基礎知識と加入する際に注意すべきポイントを解説します。

団体信用生命保険とはどんな制度?

団体信用生命保険とはどんな制度?

最初に、団信がどのような制度かを解説します。

ローン契約者の死亡時に保険金でローンを返済

団信(団体信用生命保険)とは住宅ローン利用者に万が一のことがあった場合に、遺族がローンの返済を免除される制度です。具体的には、以下のような契約形態の生命保険です。

・保険契約者・保険金受取人:金融機関
・被保険者:ローン契約者

ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、ローン残高相当の保険金が金融機関に支払われます。金融機関は保険金でローンの債務を消滅させるので、遺族は以降のローンの返済をすることなくマイホームに住み続けられるのです。

団信加入は借入の条件に

通常、民間の銀行などの住宅ローンでは、団信への加入が融資の条件となっています。団信は生命保険であるため、健康状態によっては加入できない場合があります。したがって、団信に加入できない人は原則として住宅ローンを利用できませんが、金融機関によっては、他の生命保険で借入金額をカバーできる場合など一定の条件のもとに住宅ローンを利用できる場合があります。

フラット35は団信に加入しなくても利用できる

住宅金融支援機構のフラット35では、団信の加入は任意となっています。団信に加入しなくてもローンを利用できますが、ローン契約者が死亡したときには遺族がローンの債務を相続しなければなりません。団信に加入しなくていいからと安易にフラット35を利用せず、慎重に検討しましょう。

教育ローン・介護ローンなどで団信に加入できる場合も

団信は住宅ローンだけではなく、以下のようなローンも対象になってきました。

・教育ローン
・介護ローン
・リフォームローン

ローンの種類や金融機関によって、団信が加入条件になっているケースや任意で利用できるケースがあります。高額のローンを利用する際にも団信に加入しておけば、いざというときに家族も安心して生活できます。

団信の種類

団信の種類

団信には、取り扱う機関によって以下の4つに分類されます。

一般団信

銀行や信用金庫など、一般の金融機関でローンを利用する際に加入する団信です。

機構団信

住宅金融支援機構が取り扱う、フラット35利用者を対象とする任意加入の団信です。

ろうきん団信

中央労働金庫でローンを組む人が加入する団信です。

保証協会団信

保証協会の保証を利用して融資を受けた人を対象とする、任意加入の団信になります。

団信の保障内容

団信の保障内容

団信の基本的な保障はローン契約者が死亡または高度障害になったとき、ローンの残高が免除されるという内容です。

さまざまな保障付きの団信

死亡・高度障害以外の保障がある団信もあります。以下は、多くの金融機関が取り扱う保障の一例です。条件は一般的なもので、個別の商品ごとに異なる場合もあります。

がん保障 がん(悪性新生物)と診断確定されたときに、ローン残高相当の保険金が支払われる
3大疾病保障 がんと診断確定された以外に脳卒中・急性心筋梗塞で手術を受けたとき、または60日以上所定の状態が続いたときに、ローン残高相当の保険金が支払われる
ライフサポート 3大疾病以外に、

・病気やけがによる所定の働けない状態が12カ月超続いたときに、ローン残高相当の保険金が支払われる

・病気やけがによる所定の働けない状態が3カ月超続いたときに、以降の毎月のローンの返済が免除される(12カ月以内)

7(8)大疾病保障 3大疾病以外に、

・高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変により所定の働けない状態が1年続いたときに、ローン残高相当の保険金が支払われる

・高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変により所定の働けない状態が30日超続いたときに、以降の毎月のローンの返済が免除される(12カ月以内)

※8大疾病は、上記以外に慢性膵炎が対象となる

団信の保障期間は?

団信の保障期間は住宅ローンの返済期間であり、借入日から完済日までです。途中で繰上返済をして返済期間が短縮されると、団信の保障期間も短くなります。

団信に加入するときの注意点

団信に加入するときの注意点

住宅ローンを検討する場合、団信について知っておくべき注意点について解説します。

生命保険料控除の対象ではない

生命保険ではありますが、団信の保険料は生命保険料控除の対象ではありません。生命保険料控除の対象となるには、受取人が「自分または配偶者その他の親族」となっている必要があります。団信の保険金の受取人は金融機関のため、生命保険料控除の対象外なのです。

健康状態によっては加入できない場合も

団信の加入に際しては健康状態の告知が必要で、その内容によっては加入できない可能性もあります。団信加入が住宅ローンの利用条件となっている場合、融資が受けられません。その場合、団信加入が任意のフラット35が選択肢となります。

しかし、団信に加入していない人が亡くなると、家族が住宅ローンを返済しなければなりません。また、健康上の理由で団信に加入できない人の死亡リスクは、高いと考えられます。団信に加入できない場合、取得する物件を見直して借入額を下げるなど、住宅取得の計画自体を考え直しましょう。

引受基準緩和型の死亡保険も

民間の生命保険には、持病のある人でも加入しやすい引受基準緩和型の死亡保険があります。加入できるのであれば、選択肢の1つとなるでしょう。

既加入の保険と重複していないか

マイホームを取得して団信に加入すると、借主が返済中に死亡したとしても遺族にはローンが残りません。つまり、借主がいなくなっても遺族の住居は、確保されるというわけです。死亡保険の保障額においても、遺族の住居費分は考えなくてもよいことになります。マイホーム取得時には保険の見直しをして、不要な保障を削りましょう。

家族にローンが残るケースも

団信に加入していてもローン契約者の死亡時に、ローンが残るケースに注意が必要です。

ローンの滞納があった

ローンの滞納が続くと団信が失効し、借主の死亡時に保険金が支払われない可能性があります。団信の保険料はローンの金利を充てるため、返済が滞ると保険料が納められなくなるからです。ローンの支払いが困難な場合、延滞する前に金融機関に相談しましょう。遺族による返済が困難な場合、相続開始を知った3カ月以内なら相続放棄が可能です。

夫婦や親子のローン

夫婦や親子でローンを組んでいた場合、どちらか一方の死亡では残高が残る可能性があります。たとえば、ペアローンはそれぞれが別個のローンなので、団信により死亡した人の分の支払いはなくなります。しかし、生存している人のローンはそのまま残るので、支払う必要があるのです。

その他、連生型の団信の場合であれば、どちらか一方の死亡でもローン残高が支払われます。

まとめ

団信はローン契約者と家族にとって、欠かせない保険です。団信はがんなどの重い病気で返済が困難になったときや、教育ローンを利用した親が死亡した場合など、用途が広がっています。ローンを検討する際には利用できる団信についても調べ、有益であれば加入してはいかがでしょうか。

著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保に法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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