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インフレに強い資産って?
有効な3つの運用方法と分散投資の考え方を知っておこう!

2022/12/13
(提供元:CyberKnot

世界的な物価上昇の影響で日本においても継続的にモノの値段が上がり、インフレ傾向が強まっています。インフレによる価値の目減りから資産を守るには、分散投資が有効です。この記事ではインフレに強い資産の紹介と、インフレ対策としての分散投資について解説します。

インフレとは?

インフレとは?

日本は長らくデフレ(物価が継続的に下がる状況)でしたが、最近ではインフレ傾向にあるといわれています。そもそも、インフレとはどのような状況を指すのでしょうか。

インフレとはお金の価値が目減りすること

インフレ(インフレーション)を簡単に説明すると、モノの値段が継続的に上昇して相対的にお金の価値が下がることです。

たとえば、今まで100円で買えたノートが200円に値上がりしたとします。同じモノを買うのにそれまでの2倍のお金が必要になり、100円という額面は同じでも価値は1/2になってしまうのです。

インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」がある

インフレは必ずしも悪いわけではなく、経済が活性化する好景気の中で起こるインフレは好ましいと考えられます。需要が増えてモノの値段が上がると企業の利益が増え、従業員の給料が上がるからです。

しかし、原材料の高騰によるコスト増や供給力不足が原因で起こるインフレでは企業の増益につながらず、従業員の所得も上がりません。このように、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」の2種類があるのです。

日本のインフレの状況は?

日本のインフレの状況は?

出典:総務省統計局「消費者物価指数」より筆者作成

上記の表は2020年(令和2年)を100とした物価の推移を表したものです。日本は2022年(令和4年)に入って、急激な物価上昇が起きています。インフレは日本だけでなく、原油価格の高騰、半導体不足のためにほぼ全世界共通の現象です。

日本の場合、米国などとの金利差の拡大により過度の円安が生じ、輸入品の価格が上昇するという特有の事情があります。そのため国民の購買力は上がらず、景気は良くならない「悪いインフレ」といえます。

インフレに強い資産3選

インフレに強い資産3選

インフレ対策には、インフレに強い資産の保有が有効です。ここでは、インフレに強いとされる資産を紹介します。

株や投資信託などの有価証券

株式や投資信託のような資産を、有価証券といいます。

株式投資

一般的に株式はインフレに強い資産といわれています。株式を発行する企業はインフレの際に自社製品の価格を上げて、収益を増やせます。そのため、物価上昇に連動して株価も上昇する傾向があるのです。

しかし、物価上昇を製品価格に転嫁できない企業は業績が悪化するため、すべての銘柄が値上がりするとはかぎりません。株式に投資する場合は、値上がりする銘柄の見極めが必要です。

投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金で株式や債券に分散投資する運用商品です。投資信託の投資対象が株式のようにインフレに強い資産であれば、インフレ対策に有効となります。株式投資で個別の銘柄を選ぶのが難しい人にとって、投資信託は取り組みやすい投資といえるでしょう。株式投資で複数の銘柄に投資するには多額の資金が必要ですが、投資信託は少額での分散投資が可能です。

金や不動産などの現物資産

インフレはモノの価値が上がってお金の価値が下がるので、金や不動産などの現物資産はインフレに強いといわれています。

金投資

金は世界中どこでも公正な価格で取引される資産です。「有事の金」という言葉があるように、戦争や経済危機が起こると金の価格が上昇する傾向があります。金を保有していても利息を受け取れませんが、価値がゼロにはなりません。金には地金を買う以外に純金積立や金ETFなどの投資方法があり、少額からの投資が可能です。

不動産投資

一般的にインフレで物価が上がると、不動産の価格や家賃も上昇する可能性が高くなります。不動産投資は不動産を取得して第三者に貸し付け、賃料を得る方法です。値上がりした不動産を売って、売却益を得ることもできます。

しかし、不動産の取得には少なくとも数百万円の資金が必要なため、誰でも直接の不動産投資をできるわけではありません。まとまった資金はないけれど不動産投資がしたい場合、REITや不動産クラウドファンディングなどの小口化した投資が活用できます。

外貨建て資産

日本がインフレになった場合、日本円の価値が下落するため、日本円以外の通貨を保有するとインフレ対策になると考えられます。

外貨建て資産には、外貨預金や外貨建ての保険商品などがあります。米ドルのようなほとんどの外貨は、日本円に比べて高金利です。そのため、インフレ対策だけでなく、資産が増える可能性も高いといえます。

ただし、為替変動の影響を受けるため、購入時よりも円高になると為替差損が生じる点に注意が必要です。反対に円安になると為替差益を得られます。

インフレ対策としての資産運用の考え方

インフレ対策としての資産運用の考え方

インフレが長期にわたると、将来のために準備している資産の価値も下がるリスクがあります。ここでは、資産運用におけるインフレ対策について解説します。

インフレに弱い資産とは?

インフレに強いとされる資産があるのに対し、インフレに弱い資産もあります。一般的にインフレに弱い資産の代表は、現金と預金です。預金が固定金利で物価上昇率よりも低い場合、預金の資産価値は目減りします。これまでの超低金利が今後も継続し物価が上昇し続けると、預金では目標とする資金準備ができないかもしれません。利息のつかない現金の価値も当然に下がります。

現金・預金の効果的な活用法

現金や預金には「使いたいときに使える」という特徴があります。老後資金のような長期の資金準備には不向きですが、緊急予備資金や使い道の決まっている資金は預貯金での準備が適しています。

分散投資が基本

投資にはリスクがありますが、インフレに強い資産への投資は資産全体を価値の低下から守ることにつながります。インフレに備えるには、インフレに強い株式などを組み入れたり、日本以外の国や地域の資産に投資したりする方法が考えられます。

これはつまり、さまざまな資産への分散投資であり、投資のリスクを減らす方法としても非常に有効です。複数の投資対象に少しずつ投資すると特定の資産の値下がりの影響が限定され、大きな損失を避けやすくなります。

まとめ

投資にはリスクがあり、損をするかもしれないと考える人もいるでしょう。しかし、インフレの状況で円の現預金だけを持っていると、額面は減らなくても価値が下がります。投資は資産を守る手段と考え、取り入れやすい方法から始めてはいかがでしょうか。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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