【小学生向け】税金について学習しよう!

税金とは、町にあるいろいろな建物や施設をたてたり、困っている人を助けたりするのに使われるお金です。こうした税金は国民から国へ集められ、学校や病院などのさまざまな場所に使われます。ここでは、「税金とは何か」「税金にはどのような種類があるのか」「税金はどんなところに使われているのか」などをわかりやすく紹介します。
税金とはどのようなもの?何のためにあるの?
税金とは、国が国民から集めるさまざまなお金のことです。国のほか、県や市などでも集められます。お店でおかしや飲み物を買うときに、本体の値段と一緒に「消費税(しょうひぜい)」も払いますが、この「消費税」も税金のひとつです。
国は国民から少しずつ税金を集め、その税金で人々のくらしを守ったり豊かにしたりするためにさまざまな活動をします。たとえば学校や病院、交番などの施設(しせつ)は、すべて税金でつくられています。ほかにも公園やゴミ処理場、図書館や信号機なども税金でつくられています。これらの施設や設備(せつび)が町になくては、多くの人が安心してくらせません。税金は、豊かで安全な社会をつくるためにはなくてはならないものなのです。国や県、市町村を支えるために集めるお金と考えるとよいでしょう。
憲法にも、「納税は国民の義務」と決められています。「義務」とは必ず果たさなくてはならない責任のことであり、「日本の国民は税金を必ず支払わなくてはならない」と決まっているのです。税金を支払わないと、国や県からきびしいペナルティがあたえられることもあります。また、うその報告をして税金を支払わなかったり、請求された金額よりも少ない税金を払ったりすることは「脱税(だつぜい)」とよばれます。脱税はれっきとした犯罪で、逮捕や罰金などきびしい罰があたえられます。
税金にはどのような種類がある?
税金の種類(しゅるい)はひとつではありません。税金にはいろいろな種類があり、それぞれが国や県、市町村などに支払われることでさまざまなサービスや施設づくりにやくだっているのです。とくに身近な税金の種類を、次でまとめました。
消費税(しょうひぜい)
消費税とは、商品を買ったりサービスをうけたりしたときに、本体の値段とは別に支払うお金です。スーパーやコンビニで買い物をしたとき、商品には「本体価格」と「消費税」が値札に書かれているでしょう。たとえば消費税が10%の場合にノートを買うとします。ノートそのものの値段が100円だとすると、消費税は10円になるので、支払うお金は110円です。
固定資産税(こていしさんぜい)
固定資産税とは、家や土地などの不動産(ふどうさん)にかかる税金のことです。また、商売をするときに必要となる大きな機械設備(きかいせつび)にかかることもあります。これらの不動産や特別な設備を持っている人は、毎年この固定資産税を支払わなくてはなりません。
法人税(ほうじんぜい)
法人税とは、会社が支払う税金です。会社は毎年かせいだお金を計算し、そのお金にあわせて法人税を支払います。
所得税(しょとくぜい)
法人税が会社にかかる税金なら、所得税ははたらく人それぞれにかかる税金です。たとえば会社員の場合、毎月のお給料に応じた所得税を支払います。この場合、会社があらかじめお給料から所得税をさし引いて、税務署(税金を取りまとめるところ)へ納めるため、会社員本人が手つづきをして納める必要はありません。
自営業(お店の経営者やフリーランスの仕事をしている人)の場合は、自分でその年かせいだお金と所得税を計算したうえで所得税を支払う必要があります。この一連の手つづきは「確定申告(かくていしんこく)」とよばれます。
住民税(じゅうみんぜい)
住民税とは、住んでいる町に支払う税金です。住民税は「市町村民税」と「道府県民税」というふたつの種類があり、住んでいる町に応じた住民税を納める必要があります。集められた住民税は、町の福祉や教育、防災などのサービス設備に使われます。
相続税(そうぞくぜい)
お金や不動産などの財産を相続したときにかかる税金が「相続税」です。とはいえ、相続税は必ず支払うものとはかぎりません。かんたんにいうと、故人(亡くなった人)のすべての財産が3,000万円以下であれば、相続税は発生しません。
酒税(しゅぜい)
ビールや日本酒など、お酒にかかる税金のことを「酒税」といいます。酒税は、消費税とは別にもうけられている税金です。つまり、お酒には消費税と酒税という2つの税金がかけられており、お酒を買う人がそれらを支払うことになるのです。
身近にある税金が使われている物や場所
税金はさまざまな設備やサービスにあてられています。とくに身近な場所や設備を、いくつかピックアップしました。
学校の設備
国や都道府県のもとで運営されている学校(国立・都立・県立などとよびます)のイスやつくえ、図書室にある本などは税金でまかなわれています。また、教科書や体育に必要な道具や理科室にある道具などにも税金が使われているのです。
学校の電気代や水道代
学校の設備のように、国立や都立・県立の学校で使う電気や水にも、家と同じく電気代・水道代がかかります。これらの代金も、税金から支払われています。
給食費
学校で食べる給食には「給食費」がかかりますが、給食費の一部は税金によってまかなわれています。
市役所や公民館
市役所や公民館は、いろいろな手続きをしたり町の人々が活動したりするのにかかせない施設です。こうした公共の施設も税金によって建てられ、運営されています。
ゴミ処理
ゴミの回収や処理にも税金が使われています。きれいな町を実現するためにも、税金は必要なお金だといえるでしょう。
予防接種や健康診断
公立の学校で受ける予防接種や健康診断は、税金によりまかなわれています。無料または安い値段で予防接種や健康診断が受けられるのも、税金のおかげなのです。
高齢者へ支払う年金
高齢者の生活は、「国民年金」という国から支払われるお金で支えられています。この国民年金も、集められた税金によって成り立っているのです。
災害からの復旧活動
日本は台風や地震などの自然災害が多い国です。これらの自然災害から人を守ったり救助したりするほか、災害にあった地域を復旧させたりするのに税金が使われます。
もし税金がなかったらどうなる?
社会を支える税金がないと、さまざまな困りごとが起こります。具体的な例を、以下でまとめました。
救助活動(きゅうじょかつどう)・復興作業(ふっこうさぎょう)を行えなくなる
災害が起こっても、人を救助したり建物や道路をもとにもどしたりする復興作業がスムーズにできなくなります。これらの問題は、個人の力では解決できません。税金があってはじめて、救助や復興作業が安全でうまく進めることができるようになるのです。
道路や公共設備の整備ができなくなる
道路や公共施設は、税金によって整備されています。税金がないとこれらの整備がされなくなり、交通が不便になったり危険な道路が増えたり、公共施設が使えなくなったりしてしまいます。
警察官のパトロールがなくなる
警察官など、公務員のお給料は税金から支払われています。税金がなくなると、警察官のお給料は、別のお金の出どころから出さなくてはなりません。そうなると事件の捜査の依頼やトラブルの相談などすべてが有料になってしまうことも考えられます。また、警察官のパトロールも有料になったり、回数が少なくなったりするかもしれません。
勉強するところがなくなる・少なくなる
公立や県立の学校は、税金でまかなわれています。また、学校で勉強を教えてくれる先生たちのお給料も税金から支払われているのです。税金がなくなれば学校の備品や設備にお金がかけられなくなり、先生たちの数も少なくなってしまいます。その結果、勉強するところが今よりも少なくなってしまうのです。
ゴミ収集が有料になる
税金がなくなると、ゴミ収集をしてもらうのにもお金がかかるようになってしまいます。ゴミの日のたびにお金を出さなくてはならないのは、生活するうえで大きな負担になるはずです。
医療費(いりょうひ)が高くなる
ケガをしたり病気になったりすると、病院で治療を受けます。税金がないとこれらの医療費が高額になり、いざというとき病院にお願いすることもむずかしくなってしまいます。
税金の歴史
税金は世界中で取り入れられている制度です。日本での歴史も古く、古代の邪馬台国(やまたいこく)時代にあるとされています。ただし、税金制度が正式に取り入れられたのは645年の大化の改新時代からだとされています。当時は租(そ・農民が支払う税)・庸(よう・布または10日間の労働)・調(ちょう・地方の特産物)という3種類の税金がありました。
戦国時代には「墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)」のもとで農民が地主へ税金を納め、江戸時代には「年貢(ねんぐ)」とよばれる税金が登場。明治時代~戦後にかけては、現在のベースとなる税金のスタイルがつくられてきました。明治時代になると、農作物や特産品ではなく金銭で納税するシステムが一般的に。また会社が支払う「法人税」や、個人がかせいだお金から納める「所得税」が取り入れられたのも明治時代です。こうして少しずつ、現在の税金に近いシステムが整えられてきました。
戦後になると「納税は国民の義務」とする日本国憲法(にほんこくけんぽう)がつくられます。当時は、戦後の混乱からいかに日本を立ち直らせるかが重要でした。当時の政府は「復興のためにはどのような税金のシステムを取り入れればいいのか」と考え、アメリカのシャウプ博士によるアドバイスをもとに税の制度を整えていったのです。
日本国憲法がつくられた2年後には、自分でかせいだ金額とそれにかかる税金を計算して税金を納める「納税申告制度(のうぜいしんこくせいど)」も取り入れられました。
そして平成元年である1989年4月1日に、3%の税率で「消費税」が取り入れられます。その後消費税は1997年に5%、2014年に8%、2019年には10%と段階的に引き上げられてきました。
税金の使い方はだれがどのように決めるの?
税金の使い道は、国民が選挙で選んだ国会議員が話し合って決めています。具体的にいうと、国の仕事にどれだけのお金が必要か、どれほどの税金を集められるのかをまとめた「予算案」を内閣がつくります。「内閣」とは、国の法律や予算をもとに、「どのように国を良くしていくか」ということを考える組織のことです。
予算案をもとに議員が話し合い、税金の使い道を決定するのです。税金が正しく使われることで、公立の学校や病院などの公共施設や、防災・福祉のためのサービスが整備されます。
将来の税金の課題とは
税金は、国民の生活を安全で豊かなものにするためにかかせないお金です。しかし現在の税金制度には、解決しなければならない問題もあります。
課題①国の借金が増えている
国の収入は、6割が税金、4割が個人の投資家たちから借りたお金「公債金(こうさいきん)」で成り立っています。公債金は借りたお金であるため返す義務があり、その返済にも税金が使われているのがポイントです。近年は公債金が徐々に増え、国の借金がふくれ上がってきているのが問題となっています。令和3年度末には、公債金の金額は990兆円以上になるとされています。これは、国民が納める税金の約15年分にあたるとても大きな金額なのです。
課題②少子高齢化(しょうしこうれいか)がすすんでいる
「少子高齢化」とは65歳以上のお年寄りが増え、生まれてくる赤ちゃんの数が減っていく現象(げんしょう)のことです。お年寄りが増えると、年金や介護、医療に必要な税金も増えていきます。ところが、その税金を支払う若い世代は少子化によって減っていくため、今のままではお年寄りの生活を支えることがむずかしくなってしまうのです。くわえて、今の若い世代が年をとり、高齢になったときの生活も十分に支えられないことが予想されます。こうした変化に合わせて、税金のシステムも変えていくことが必要です。
生活を支える資金は大切なもの
税金は、人々の生活を守るために必要なものです。毎日の買い物やサービスを受けるときに何気なく支払っている消費税も、医療や福祉などに使われ、役立てられているのです。将来社会人になってはたらくようになったら、消費税だけでなく住民税や所得税などを支払うことになります。
税金は社会を支えるためになくてはならない大切なものです。しかし、社会人になったとき税金の支払いに追われ、お給料や貯金があまりにも少なくなってしまうのはさけたいのではないでしょうか。もちろん、納税の役割をきちんと知って正しく納めることが大切です。そのうえで、お金とかしこくつき合うことが理想といえるでしょう。
とはいえ、「お金の話は何となくしづらい」「だれに相談していいのかわからない」という人もいるはずです。そんなときは、お金についてわかりやすく解説している銀行のホームページやコラムページを見てみるのがおすすめです。