大学の平均学費は?
準備方法や活用できる制度もあわせて解説

大学への進学には、学費や生活費などさまざまな費用がかかります。「どれくらいかかるのだろう?」と不安に思う人もいるでしょう。本記事では、国立・公立・私立ごとの平均学費や生活費の目安、学費を準備する方法を紹介します。支援制度についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
大学の平均学費は?

大学には国立・公立・私立があり、進学先によって学費は異なります。学費には、入学金、授業料、施設費、教材費などが含まれます。私立大学に比べて、国立・公立の方が学費が抑えられているのが特徴です。
とはいえ、学費が私立より安いとされる国立や公立でも、数百万円かかるため、決して負担が小さいわけではありません。
国立大学の平均学費
国立大学の学費は、文部科学省が定める標準額に基づいています。
入学金、授業料は以下のとおりです。
入学金 | 28万2,000円 |
---|---|
1年間の授業料 | 53万5,800円 |
4年間授業料総額 | 214万3,200円 |
6年間授業料総額 | 321万4,800円 |
国立大学では、設備費が授業料に含まれているのが一般的です。
教科書・教材に必要な費用は、学部によって異なります。平均で年間5万円ほどかかると見込んでおくと良いでしょう。
公立大学の平均学費
公立大学の入学金や授業料は学部や地域によって大きな差があるため、以下の表で確認しましょう。
入学金 | 14万1,000~80万2,000円 |
---|---|
授業料(1年間) | 26万7,900~62万1,000円 |
文部科学省「2024年度学生納付金調査結果」
私立大学の平均学費
私立大学は、一般的に国公立に比べ学費が高額になる傾向があります。入学金・授業料ともに学部によって大きな差があり、医歯系学部は初年度だけで約500万円もの学費がかかります。
以下の表で、学部別の私立大学の平均学費を確認しましょう。
学部 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計(初年度) |
---|---|---|---|---|
文化系学部 | 22万3,867円 | 82万7,135円 | 14万3,838円 | 119万4,841円 |
理科系学部 | 23万4,756円 | 116万2,738円 | 13万2,956円 | 153万451円 |
医歯系学部 | 107万7,425円 | 286万3,713円 | 88万566円 | 482万1,704円 |
その他学部 | 25万1,164円 | 97万7,635円 | 23万1,743円 | 146万542円 |
平均 | 24万806円 | 95万9,205円 | 16万5,271円 | 136万5,281円 |
令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
私立大学は入学金・授業料が最も高額なうえに、施設設備費も準備する必要があります。私立大学を希望する場合は特に、計画的な資金準備が重要になるでしょう。
下宿にかかる生活費・仕送り
自宅外から通う場合、生活費や仕送りも大きな負担になります。日本学生支援機構の令和4年度学生生活調査結果によると、アパート等から通う場合に必要な生活費は以下のとおりです。
国立 | 168万1,800円 |
---|---|
公立 | 158万3,400円 |
私立 | 240万3,800円 |
平均 | 212万4,000円 |
このように、学費以外にも多くの費用が必要です。生活費は、家庭からの仕送り・奨学金・学生本人のアルバイト収入・定職、その他でまかなわれています。
その生活費の内訳は、以下のとおりです。
仕送り | 奨学金 | アルバイト収入 | 定職・その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|
109万6,900円 | 40万7,600円 | 37万5,900円 | 8万7,000円 | 196万7,400円 |
日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査結果」
大学の学費を準備する方法

大学は、学費と生活費を合わせて多額の資金が必要になるため、計画的に準備することが大切です。ここからは大学の学費を準備する方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
学資保険
子どもの学費準備として多くの人が活用しているのが、学資保険です。学資保険では、子どもが小さい時から一定の保険料を積み立てることで、進学時にまとまった金額を受け取れます。
どのタイミングで受け取るかは、各保険会社・各商品で異なります。昨今は、中学・高校入学時ではなく、大学の学費に重点を置くタイプの商品もあります。大学の入学時や進級時にまとまった金額を受け取れるので、学費や生活費に充てることができます。
また、学資保険は、保護者に万が一のことがあったときに、支払いが免除される保障が付いています。貯蓄と保障が備えられている点が、学資保険の最大のメリットといえるでしょう。
つみたてNISA
子どもが小さい場合、つみたてNISAを活用して学費の準備をするのもおすすめです。つみたてNISAのメリットは、預貯金や学資保険よりも高利回りで学費の準備ができる可能性がある点です。加えて、運用利益には税金がかかりません。長期間コツコツと積み立てることで、支払った金額よりも多くの資金を準備できることもあります。
ただし、つみたてNISAはあくまでも投資なので、元本保証はありません。4~6ヶ月の生活防衛費を確保してから始めると安心です。
教育ローン
教育ローンは「子どもが大きくて学資保険に入れない」「今のままでは学費が足りない」という人におすすめです。審査は必要ですが、借入できれば入学金や授業料、仕送りなど幅広い用途に利用できます。借入は保護者が行うため、原則として子どもに返済義務は発生しません。
大きく分けると、国の教育ローンと金融機関の教育ローンの2種類があり、以下のように特徴が異なります。
国の教育ローン | 金融機関の教育ローン | |
---|---|---|
利用条件 | 世帯年収・子どもの人数などの条件有り | 世帯年収の制限無し |
金利 | 低金利 | 国の教育ローンよりも高金利 |
融資額 | 子ども1人あたり350万円限度額 | 金融機関や借入者によって異なる |
融資までの期間 | 金融機関の教育ローンよりも時間がかかる | 国の教育ローンよりもスピーディー |
返済期間 | 最長15年 | 10年~15年 |
奨学金
奨学金は、学費や生活費のサポートとして学生本人が借りる、または支給される制度です。卒業後に返済が発生する貸与型と、返済の必要がない給付型があります。
奨学金の利用状況は、以下のとおりです。
奨学金利用者 | 55.0% |
---|---|
申請したが不使用 | 2.4% |
申請していない | 3.3% |
必要ない | 39.3% |
このデータから、半数以上の学生が奨学金を利用していることがわかります。
活用できる大学の学費支援制度

ここからは、大学の学費支援制度を紹介します。
高等教育の修学支援新制度
高等教育の修学支援新制度は、2020年4月に始まった制度です。学ぶ意欲があり経済的な理由で大学進学が困難な場合に利用できます。
奨学金・サポートの金額は以下の表のとおりです。
給付型奨学金の支給額
自宅通学 | 自宅外通学 | |
---|---|---|
国公立 | 35万円 | 80万円 |
私立 | 46万円 | 91万円 |
免除・減額の上限額(年額)
入学金 | 授業料 | |
---|---|---|
国公立 | 28万円 | 54万円 |
私立 | 26万円 | 70万円 |
多子世帯向けの新制度
令和7年度からスタートした多子世帯向けの新制度です。扶養する子どもが3人以上、かつ大学や専門学校に通う場合、対象になります。
減免上限額は、以下のとおりです。
入学金 | 授業料 | |
---|---|---|
国公立 | 28万円 | 54万円 |
私立 | 26万円 | 70万円 |
所得制限なく、入学金や授業料に対してまとまった支援を受けることができます。該当する家庭は、入学後に各学校窓口で手続きを行いましょう。
まとめ
大学は、入学金・授業料・生活費などの大きな資金がかかるため、早めに準備をすることが大切です。
学費を準備する方法は、学資保険・つみたてNISA・教育ローンや奨学金の利用などさまざまな選択肢があります。利用できる制度を正しく理解し、志望する大学への進学を実現させましょう。

大手生命保険の営業を5年間経験し、FP2級を取得。現在は金融ライターとして資産運用、保険、節税に関する記事を執筆。200記事以上を手掛け、読者に信頼される情報提供を目指す。金融業界の知識と実務経験を活かし、わかりやすく実践的な内容を提供。