大学の平均学費はどのくらい?
授業料や支払いのタイミング、資金の準備方法まで解説
大学の費用は、大きな金額がまとまって必要になります。子どもが生まれてから高校卒業までが準備期間ですが、通う大学や費用については未確定なため不安になりやすいです。この記事では大学の平均学費について、授業料や支払いのタイミング、資金の準備方法まで解説します。
国立・公立・私立の授業料の相場
日本の大学は国立・公立・私立の3種類です。ここでは、それぞれの大学でかかる学費の平均について解説します。
1年間の授業料の平均
大学の種類に分けて、1年間の授業料の平均を整理しました。
国立
文部科学省の省令によって学部に関わらず授業料の標準額が定められており、年額535,800円です。標準額の20%までの増額が認められており、60万円程度の授業料を提示している大学があります。
入学料についても省令の定めがあり、標準額は282,000円です。国立大学の場合は、初年度に入学料と授業料で817,800円かかります。
公立
国立大学で定められている標準額と同程度で、授業料を年額535,800円としている公立大学が多いです。入学料は、公立大学の所在地の出身者には安く設定されていることがあります。例えば、移住地が大学所在地の都道府県(市町村)内だと141,000円、それ以外では282,000円となる場合です。
入学料は大学によって異なりますので、公立を希望する場合は該当する地域か確認しておきましょう。
出典:文部科学省「2022年度学生納付金調査結果」
私立
国立や公立と異なり、私立は学部によって授業料が違います。文部科学省が公表している、学部ごとの学費の平均値をまとめたのが以下の表です。
区分 | 授業料 | 入学金 | 施設設備費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
文系 | 793,513円 | 228,262円 | 150,807円 | 1,172,582円 |
理系 | 1,116,880円 | 255,566円 | 177,241円 | 1,549,688円 |
医歯系 | 2,867,802円 | 1,073,083円 | 862,493円 | 4,803,378円 |
その他 | 959,899円 | 256,521円 | 234,883円 | 1,451,302円 |
出典:文部科学省「(資料1)令和元年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
学費を支払うタイミング
授業料は前期と後期に分けて支払うのが一般的で、学期始めから1~2ヶ月が期限となることが多いです。大学によっては1年分を一括で支払う場合もあります。初年度の前期授業料を入学料と一緒に支払う場合は、入学前にまとまった費用が必要です。また、推薦入試やAO入試では合格判定が前倒しになるため、入学前年の11月頃に支払う場合があります。
大学や受験の形式によって支払うタイミングが異なるため、いつまでに費用を準備する必要があるか確認しておきましょう。
自宅通学と下宿でかかる費用の平均の違い
大学に自宅から通うより、下宿の方が費用は高くなります。それぞれの費用の平均について見ていきましょう。
自宅通学
自宅通学は家賃や生活費が家族と一緒になるため、高校生でかかっていた費用と大きな差は生じにくいです。通学にかかる交通費や衣服の購入、部活動やサークル活動で必要となる費用が別途で生じます。
親からのおこづかいでまかなうか、本人がアルバイトなどでやりくりするかは家庭内で話し合って決めましょう。
下宿
下宿でかかる費用は、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日発表)」から相場が確認できます。初年度にかかる費用は、住居の契約や引っ越し等で38.7万円が平均です。親から下宿の学生への仕送り額の平均が年間95.8万円(月間7.9万円)となっています。
親からの仕送りや本人のアルバイトなど、家計の状況を考慮して検討することが大切です。
大学の費用を用意する方法
4年間を通しての授業料は国公立で215万円程度、私立で300万~500万円程度が相場となるため、まとまった費用が必要です。
ここからは、大学の費用を用意する方法について解説します。自身にとってのメリットとデメリットを考えながら、用意する方法を選ぶ参考にしてみてください。
幼少期から月々で積み立てる
子どもが産まれてから大学へ入学するまでは、約18年間あります。産まれたときには将来の進路が分からないですが、大学への進学を想定して月々積み立てると合計で約216ヶ月です。月々1万円を積み立てるだけでも、国立大学4年間の授業料が貯まる計算になります。
積み立てる方法として、児童手当を使わず貯金する、子ども用の銀行口座を作って自動で引き落とすなどが効率的です。
まとまった収入を学費にあてる
大学の費用を準備するために、出産や進学のお祝い金、親のボーナスなどの臨時収入を学費にあてる方法があります。普段の家計を臨時収入なしでまかなえるように管理していれば、まとまった収入を全額貯金できて確実です。
お祝い金の額が想定しにくいことやボーナスが変動する可能性などを考慮すると、計画的に準備していく必要があります。大学進学の1~2年前ではなく、小学校や中学校の頃からまとまった収入を学費にあてる準備をしておくと安心です。
投資信託や保険などの商品で運用する
資金を運用して増やしながら費用を用意したい場合は、投資信託や保険などの商品を活用すると効果的です。
投資信託
リスクの高さに応じたリターンを設定できるため、許容できる範囲で運用できます。ただし、確実なリターンを保障するものではないため、運用結果によっては目減りする可能性があることに注意が必要です。
保険
学資保険や養老保険などの商品で、運用しながら満期時に保険金が受け取れます。これらは契約時に満期保険金が設定されているため、計画しやすいです。変額保険や外貨建て保険の場合は、変動する可能性があるため注意しましょう。
大学の費用で使える制度
貯金や運用など自力で費用を用意する以外に、公的な援助や制度を使える場合があります。利用するための条件があるため、自身に当てはまるか確認が必要です。
ここからは、大学の費用で使える制度について解説します。
大学無償化制度の基準を満たす
住民税非課税世帯のような低所得世帯では、授業料免除や給付型奨学金が受けられます。年収目安での区分ごとに支援額が設定されており、全ての費用が用意できるわけではない点に注意が必要です。また、世帯での収入や資産、本人の学力や意欲などの基準を満たす必要があるため、条件を確認しましょう。
奨学金制度を利用する
大学に進学する本人が借り入れて授業料にあて、卒業後に返済していくのが奨学金です。奨学金には無利子と有利子の2種類あります。無利子の奨学金は、親の収入などの条件を満たす必要があるため、適用されるか確認しましょう。
奨学金は社会人になってから200万~400万円を20年程度で返済していくため、長期的な計画が大切です。返済のことを考慮して、借りる金額は必要最小限に抑えましょう。
教育ローンで借り入れる
親が学費を用意するために、教育ローンで借り入れる方法があります。教育ローンは国の制度での教育一般貸付と、民間の金融機関での貸付の2種類です。借り入れと返済は親がするため、子どもへの負担なしに学費を用意できます。親の収入や家計の状況、老後資金の準備など総合的にみて返済計画を考えることが大切です。
教育資金の一括贈与の特例を使う
父母や祖父母から教育資金のために贈与される場合、1,500万円までは贈与税が非課税となるのが教育資金の一括贈与の特例です。2023年3月末まで使える制度なので、該当する期間に大学進学がある場合は利用できます。
ただし、贈与を受ける本人の総額が1,500万円までで、教育資金に使う金額のみ贈与税が非課税になるという点に注意が必要です。また、本人が30歳の時点で余っている金額には贈与税がかかります。教育資金として必ず使い切れる金額で設定するように注意しましょう。
まとめ
大学への進学は国公立か私立、自宅通学か下宿など選択肢が多く、どれを選ぶかで費用が大きく違います。まとまった費用を用意するためには計画が大切です。大学の授業料の相場を知って、準備していくための参考にしてみてください。
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