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残クレを利用すると損になる?
残価設定ローンのデメリットや仕組みを深堀り!

2023/01/26
(提供元:CyberKnot

残価設定ローン(残クレ)は、車を購入する際に利用できるローンの1つです。月々の返済額を抑えられる一方で、デメリットも存在します。残価設定ローンを申し込む前に、特徴を理解しておくことが大切です。今回は、残価設定ローンの仕組みやデメリット、マイカーローンとの違いについて解説します。

残価設定ローン(残クレ)とは

残価設定ローン(残クレ)とは

残価設定ローンとは、前もって将来の下取り価格(残価)を設定して車両価格から残価を差し引いた金額で、ローンを組む方法です。「残価設定型プラン」「残価設定型クレジット(残クレ)」と呼ばれることもあります。

月々の返済額が安くなる仕組み

残価設定ローンの月々の返済額が安くなる理由は、契約満了まで残価を据え置くためです。車両価格から残価を差し引いた金額を契約期間で分割して支払うため、1回あたりの返済額が安くなります。

車両価格200万円の車を3年ローンで購入するケースについて確認しましょう。一般的な自動車ローンの場合は、200万円を3年間で分割して支払います。それに対し、残価設定ローンで3年後の残価が80万円の場合、120万円(200万円-80万円)を3年間で分割払いします。そのため、残価設定ローンでは月々の返済額を抑えることが可能です。

契約期間終了後は3つの選択肢がある

残価設定ローンの契約期間終了後は、以下3つの選択肢があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

別の車に乗り換える

新たに残価設定ローンを組んで、新車に乗り換える方法です。乗っていた車に問題なく、設定した残価で下取りしてもらえれば、追加費用は発生しません。残価設定ローンを利用する場合は、3~5年ごとに新車に乗り換えるのが一般的です。

残価を支払って乗り続ける

残価を支払って同じ車に乗り続ける方法です。契約期間が終了したときに残価を精算すれば、車は自分のものになります。ただし、残価を支払うために、まとまったお金を準備しなくてはなりません。

車を返却する

車をディーラーに返却して、残価を精算します。査定額が残価と同じ金額であれば、追加費用は発生しません。返却後も車を使いたい場合は、別の車を購入する必要があります。

残価設定ローンのデメリット・注意点

残価設定ローンのデメリット・注意点

残価設定ローンは月々の返済額を抑えられるため、お得だと思うかもしれません。しかし、仕組みを理解しないままローンを組むと、損をする可能性があります。ここでは、残価設定ローンのデメリットや注意点を解説します。

マイカーローンより返済総額が高くなる

残価設定ローンは、銀行のマイカーローンよりも金利が高く設定されているのが一般的です。残価にも金利がかかり、契約期間終了後は精算しなくてはなりません。残クレは、残価を据え置くと月々の返済額が抑えられます。しかし、返済総額はマイカーローンより高いケースがほとんどです。

追加費用が発生する可能性がある

残クレはメンテナンスを怠ったり、車に傷やへこみができてしまったりすると、下取り価格が残価を下回ります。その場合、下取り価格と残価の差額を請求されてしまいます。契約期間終了時の車の状態によっては、追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。

契約が終了しても自分の車にならない

残価設定ローンは、契約期間が終了しても車が自分のものになりません。残価を据え置いているため、残価分を支払えない場合はディーラーに返却することになります。

走行距離やカスタマイズに制限がある

残価設定ローンでは、走行距離とカスタマイズに制限があるのが一般的です。月間または年間の走行距離基準を超過すると、超過した距離に応じて追加費用が生じます。また、残クレは車を返却する前提の契約であるため、基本的にカスタマイズは禁止です。ただし、カタログ記載のディーラーオプションであれば可能なケースもあります。

残価設定ローンのメリット

残価設定ローンのメリット

残価設定ローンは、以下のようなメリットもあります。

月々の返済額を抑えられる

残価設定ローンのメリットは、月々の返済額を抑えられることです。残価を差し引いてローンを組むため、一般的な自動車ローンよりも1回あたりの返済額は安くなります。どうしても車が必要で、少しでも返済額を安くしたい場合は残クレも選択肢になるでしょう。

数年で新車に乗り換えられる

残価設定ローンは、数年で新車に乗り換えたい場合に便利です。3~5年の契約期間が終了した段階で車に大きな問題がなければ、あらかじめ設定した残価で下取りできます。契約満了ごとに残価設定ローンを組むことで、毎月定額の支払いをしながら新車に乗り続けることが可能です。

残価設定ローンとマイカーローン・ディーラーローンの違い

残価設定ローンとマイカーローン・ディーラーローンの違い

残価設定ローンは、車両価格から残価を差し引いた金額を返済します。それに対し、銀行のマイカーローンとディーラーローンは、車両価格でローンを組みます。違いを理解するために、ローンの支払額を比較してみましょう。

返済シミュレーションで支払額を比較

新車購入時に「借入金額200万円、借入期間3年」でローンを組むケースについて、各ローンで一般的な金利を適用した場合の返済シミュレーション結果をまとめました。

残価設定ローン 銀行マイカーローン ディーラーローン
借入金額 200万円 200万円 200万円
金利 4.0% 2.5% 5.0%
1回目の支払額 3万4,696円 5万8,519円 6万1,404円
月々の支払額 3万2,900円 5万7,700円 5万9,900円
最終回支払金(残価) 100万円 - -
利息支払額 18万6,196円 7万8,019円 15万7,904円
支払総額 218万6,196円 207万8,019円 215万7,904円

月々の支払額は、残価設定ローンが最も低い結果となりました。ただし、利息を含めた支払総額は残クレが最も高くなっています。残クレは残価に対して利息がかかるため、利息負担が重くなる傾向にあるのです。

上記はシミュレーション結果であり、実際の支払額は適用金利や契約年数、残価などによって変わります。事前にシミュレーションを行い、支払額を比較しておくと有利なローンを選びやすいでしょう。

まとめ

「数年ごとに新車に乗り換えたい」「月々の返済額を抑えたい」という場合は、残価設定ローンを活用できるかもしれません。ただし、同じ車に長く乗るのであれば、銀行のマイカーローンのほうが返済総額を抑えられます。残価設定ローンを申し込む前に、仕組みやデメリットを理解しておきましょう。



著者プロフィール

著者 大西 勝士

AFP、2級FP技能士

会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。

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