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気になる相続税対策5つの方法
節税のためにできることをわかりやすく解説

2023/02/02
(提供元:CyberKnot

被相続人の遺産を引き継ぐ場合は、その財産の額によっては相続税が課税されます。残された家族の税負担を軽減するには、生前のうちに相続対策をしておくことが大切です。今回は、相続税の負担軽減のためにできることや、5つの節税対策について解説します。

相続税の節税対策のためにできること

相続税の節税対策のためにできること

相続税を節税するには、相続税の概要や仕組みを理解しておく必要があります。まずは、相続税の基礎控除額や相続財産の種類、評価方法などについて確認していきましょう。

相続税の基礎控除額を知る

亡くなった人が所有していた財産を相続する際に、その遺産の合計額が基礎控除額を超えると相続税の課税対象となります。基礎控除額の計算式は、以下のとおりです。

●基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

夫が亡くなり、妻と子2人が相続人の場合、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。このケースでは、相続財産の合計額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。4,800万円を超える場合は、超える部分が課税対象となります。

相続財産を減らす

相続税を節税するには、相続財産を減らすことが有効です。生前のうちに財産を整理・処分しておけば相続財産が減るため、課税対象額を抑えられます。相続財産が基礎控除額の範囲に収まれば、相続税はかかりません。

相続財産の種類によっては、基礎控除額とは別に非課税枠が設けられています。この非課税枠を活用して、相続財産を減らすことも可能です。

相続財産の評価額を下げる

相続税の計算において、相続財産の価額の基準となるのが「相続税評価額」です。相続財産は、財産の種類によって評価方法が異なります。

たとえば、預貯金や投資信託などの金融商品は、相続発生時の時価で評価するのが原則です。一方、不動産は路線価や固定資産税評価額によって評価するため、通常は預貯金より評価額が下がります。

預貯金を他の資産に組み替えて相続税評価額が下がれば、相続税の節税が可能です。

相続税対策5つの方法

相続税対策5つの方法

家族の負担軽減を目的に相続税対策を行う場合は、どんなことに取り組めばよいのでしょうか。ここでは、相続税対策の具体的な方法を5つ紹介します。

①生命保険に加入する

被相続人が亡くなって生命保険金を受け取る場合、その保険金は相続税の課税対象です。ただし、死亡保険金には基礎控除額とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

たとえば、妻と子2人が相続人の場合、死亡保険金が1,500万円(500万円×3人)までは相続税がかかりません。生命保険に加入することで、相続税の節税が期待できます。

②生前贈与をする

生前贈与とは、生前のうちに無償で財産を渡すことです。生前贈与をすると相続財産が減るため、相続税の節税になります。生前贈与は「暦年贈与」と「一括贈与」の2つがあり、贈与税の計算方法が異なります。

暦年贈与

暦年贈与とは、贈与税の基礎控除額(年110万円)を利用した贈与方法です。1年間の贈与額が110万円以内であれば、贈与税はかかりません。基礎控除額の範囲内で贈与を続けることで、贈与税を負担することなく配偶者や子どもに財産を渡せます。

ただし、毎年一定額の贈与を長く続けると「定期金給付契約」とみなされ、贈与税がかかる恐れがあります。また、被相続人の死亡3年以内に行われた暦年贈与は、相続税の課税対象になるので注意しましょう。

なお、2023年(令和5年)度税制改正大綱において、暦年贈与の税制見直しが盛り込まれました。2024年(令和6年)1月1日以後は、被相続人の死亡7年以内に行われた暦年贈与が相続税の課税対象となる見通しです。

一括贈与(贈与税の特例)

一度にまとまった財産を贈与する際は、一定の要件を満たすと以下の特例を利用できます。

●住宅取得等資金の非課税
●教育資金の一括贈与の非課税
●結婚・子育て資金の一括贈与の非課税

両親や祖父母から住宅取得資金として贈与を受ける場合は、1,000万円まで贈与税が非課税になります。教育資金は1,500万円まで、結婚・子育て資金は1,000万円まで贈与税がかかりません。

上記の特例を利用する場合は、必要書類の準備や贈与税の申告、金融機関との資金管理契約などが必要です。

暦年贈与と同じく、一括贈与も2023年(令和5年)度税制改正大綱で今後の方針が示されました。「教育資金」「結婚・子育て資金」は適用期限の延長が盛り込まれています。一方、「住宅取得等資金」については、2023年(令和5年)12月31日で制度終了となる見込みです。

③不動産評価を活用する

不動産は、預貯金とは相続財産の評価方法が異なります。不動産をうまく活用すると評価額が下がるため、相続税の節税が可能です。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、土地の相続税評価額を80%減額できる特例です。被相続人が住んでいた土地を相続する場合、一定の要件を満たすと、330㎡を限度に評価額が80%減額されます。減額前の土地の評価額が4,000万円であれば、相続税評価額を800万円に下げることが可能です。

本特例は、被相続人の配偶者や同居親族などが適用対象です。利用できるか判断できない場合は、税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。

マンション・アパート経営

マンション・アパート経営も、相続税の節税対策になります。賃貸マンション・アパートは賃貸割合などを考慮して評価するため、住宅よりも評価額が下がるのが一般的です。賃貸用の土地・建物の評価額は、以下の算式で計算します。

●土地(貸家建付地):自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
●建物(貸家の家屋):固定資産税評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)

賃貸マンション・アパートは、一定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」も利用可能です。特例が適用されると、200㎡を限度に評価額が50%減額されます。

ただし、過度な節税は税務署から否認されるリスクがあるため、税理士などに相談したうえで賃貸経営を行うか検討しましょう。

④死亡退職金の非課税枠を使う

被相続人が亡くなり、相続人が勤務先から受け取る死亡退職金は相続税の課税対象です。ただし、死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。受取金額が非課税枠の範囲内であれば、相続税はかかりません。

小規模企業の経営者や個人事業主が加入する「小規模企業共済」の共済金も、相続税法上の死亡退職金に含まれます。経営者や個人事業主は、小規模企業共済をうまく活用すれば相続税の節税が可能です。

⑤養子縁組で基礎控除額を増やす

養子縁組とは、血縁関係のない人と法律上の親子関係をつくる公的な制度です。養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つがあります。

●普通養子縁組:実親との親子関係を存続したまま養親と親子関係を結ぶ
●特別養子縁組:実親との親子関係を解消して養親と親子関係を結ぶ

養子縁組をすれば、子ども(法定相続人)の数が増えます。その結果、基礎控除額や死亡保険金の非課税枠も増えるので、相続税の節税につながります。

ただし、法定相続人に含める養子の数には制限があるので要注意です。被相続人に実子がいる場合は「1人まで」、実子がいない場合は「2人まで」となります。

まとめ

まとまった財産を相続する場合は、相続税がかかります。ただし、生前のうちに対策を講じることで、相続税の節税が可能です。残された家族の税負担を軽減し、相続を円満に進めるためにも、元気なうちに家族と話し合って相続税対策を行いましょう。



著者プロフィール

著者 大西 勝士

AFP、2級FP技能士

会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。

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