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介護に必要な費用や期間は?
自己負担額を軽減する制度も知っておこう!

2023/02/09
(提供元:CyberKnot

親や自分の介護が必要になった場合、費用はどのくらいかかるか気になる人も多いでしょう。介護の費用は、受けるサービスの内容や、在宅か施設かなどによって変わります。今回は介護費用の相場や期間、重い費用の負担を軽減する制度について解説します。

介護費用の平均はいくら?

介護費用の平均はいくら?

介護にかかる費用の内訳には、介護リフォームなどの一時的な費用と、介護サービスなどに支払う毎月の費用があります。まずは、それぞれの相場を紹介します。

一時的な介護費用

一時的な介護費用には、介護リフォームや介護用ベッドの購入があります。2021年に行った生命保険文化センターによる一時費用の調査結果は、次のとおりです。

費用なし 15.8%
15万円未満 18.6%
15万円以上25万円未満 7.7%
25万円以上50万円未満 10.0%
50万円以上100万円未満 9.5%
100万円以上150万円未満 7.2%
150万円以上200万円未満 1.5%
200万円以上 5.6%
不明 24.1%

出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」より

一時費用の平均は74万円ですが、15万円未満の割合も18.6%と多く、金額にばらつきがあると考えられます。

月々の介護費用

次に、公的介護保険サービスの自己負担額など、月々かかる介護費用の金額を見ていきましょう。

1万円未満 4.3%
1万円以上2万5,000円未満 15.3%
2万5,000円以上5万円未満 12.3%
5万円以上7万5,000円未満 11.5%
7万5,000円以上10万円未満 4.9%
10万円以上12万5,000円未満 11.2%
12万5,000円以上15万円未満 4.1%
15万円以上 16.3%
不明 20.2%

出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」より

月々の費用の平均は8万3,000円です。しかし、15万円以上の割合が16.3%、10万円以上の割合は31.6%に上り、高額の介護費用を負担している世帯も多いことがわかります。

介護期間の平均

同じ生命保険文化センターの調査によると、介護の期間は平均5年1カ月です。4年以上介護するケースが約50%となっています。

6カ月未満 3.9%
6カ月以上1年未満 6.1%
1年以上2年未満 10.5%
2年以上3年未満 12.3%
3年以上4年未満 15.1%
4年以上10年未満 31.5%
10年以上 17.6%
不明 3.0%

出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」より

介護費用の総額

以上のデータから介護期間全体でかかる費用の平均を合計すると、約586万円になります。公的介護保険を利用しても、自己負担は決して少なくないことがわかります。介護期間が10年以上になるケースも珍しくなく、介護資金の準備が必要です。

四国の介護サービスの自己負担

四国の介護費用の相場を、厚生労働省の「介護給付費等実態統計の概況」のデータから紹介します。このデータは、介護保険のサービス費用の保険給付と公費負担、利用者負担の総額です。利用者負担割合は所得に応じて10%から30%となっており、ここでは10%の金額を紹介します。

介護予防サービス

介護予防サービスとは、要支援者を対象とした介護保険サービスです。

  受給者1人当たりの費用額 自己負担10%の場合
徳島県 3万500円 3,050円
香川県 2万8,300円 2,830円
愛媛県 2万6,600円 2,660円
高知県 2万5,600円 2,560円
全国 2万7,800円 2,780円

出典:厚生労働省の「2021年(令和3年度)介護給付費等実態統計の概況

介護予防サービスの費用に関しては徳島県がやや高めで、他は全国並みといえます。

介護サービス

介護サービスは、要介護1から5の判定を受けた人が対象となるサービスです。

  受給者1人当たりの費用額 自己負担10%の場合
徳島県 20万5,400円 2万540円
香川県 20万1,700円 2万170円
愛媛県 20万5,700円 2万570円
高知県 20万7,600円 2万760円
全国 19万9,600円 1万9,960円

出典:厚生労働省の「2021年(令和3年度)介護給付費等実態統計の概況

四国の介護サービスの費用は、全国よりやや高めです。

介護施設に入る場合の費用は?

介護施設に入る場合の費用は?

ここでは、介護施設に入居する場合の費用について解説します。

介護施設の種類

介護施設には、介護保険施設といわれる公的施設と民間の施設があります。民間施設には入居時に一時金がかかる場合がありますが、公的施設ではかかりません。

公的介護施設

公的介護施設には次のような種類があります。

●特別養護老人ホーム
●介護老人保健施設
●介護療養型医療施設(2024年3月末に廃止され、介護医療院へ移行)

民間施設

民間の施設には、以下のような種類があります。

●サービス付き高齢者向け住宅
●有料老人ホーム
●養護老人ホーム
●軽費老人ホーム
●認知症高齢者グループホーム

施設に入った場合の介護費用

施設に入った場合の介護費用の平均は、生命保険文化センターのデータで月額12万2,000円です。しかし、入居する施設によってかかる費用に大きな違いがあります。公的介護施設は介護度や部屋の種類や利用者の所得によって費用が異なりますが、おおむね6万円から15万円です。

一方、民間には入居一時金が数千万円、月額費用30万円程度の高額な施設があります。入居一時金はかからない施設もありますが、月額費用は公的施設よりも高めで最低でも10万円は見ておいたほうがよいでしょう。

自分に合った介護施設・サービスの選び方

公的介護施設を利用できるのは、要介護1以上の認定を受けている人です。特別養護老人ホームは要介護3以上の認定が必要になるため、まずは自分の介護度に合った施設を確認します。また、医療ケアが必要な場合は、老人健康保険施設、介護療養型医療施設が選択肢となります。

民間には自立している人を受け入れる施設もあり、お金の面だけでなく自分が必要とするサービスがあるかどうかもポイントです。

施設の種類を決めたら、個別の施設を選びます。希望する地域の情報を収集し、評判のよい施設を探しましょう。体験入居を実施している施設もあるため、利用してみるとよいでしょう。

介護の費用負担を軽減する制度

介護の費用負担を軽減する制度

介護には介護度に応じた費用がかかり、年金だけではまかなえないケースも考えられます。最後に、介護の費用負担を軽減する制度を紹介します。

高額介護サービス費

1カ月間に支払った介護保険サービスの利用者負担の合計が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。住民税が課税される人で課税所得380万円未満の場合、上限は4万4,400円です。

特定入所者介護サービス費

所得や資産が少ない人の介護施設の食費や居住費を少なくする制度です。負担の上限を超えた居住費と食費の負担額が、介護保険から支給されます。

高額介護合算療養費制度

1世帯の後期高齢者医療制度の被保険者全員分の、年間の医療保険と介護保険の自己負担の合計が基準を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。70歳以上で年収370万円から770万円の人の負担の上限額は、年間56万円です。

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

介護保険サービスを提供する社会福祉法人等が、低所得の利用者に対して負担を軽減する制度です。制度を実施する社会福祉法人等で対象となるサービスを利用した場合に、利用者負担額の4分の1が軽減されます。

まとめ

介護の費用は要介護度や受けるサービスの種類、収入などによって変わります。年金だけでは費用をまかないきれない場合、負担を軽減する制度を利用しましょう。また、事前にかかる費用を調べておき、できる範囲で介護資金として準備しておくと安心です。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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