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NFTとは?
コインチェック役員が話題のNFTについて分かりやすく解説

2023/03/06

NFTという言葉を目にする機会が増えました。NFTとはなんでしょうか。

NFTとは、Non Fungible Token(ノンファンジブルトークン)の略で、簡単に言えば「世界に一つだけのデジタル資産」のことです。ファンジブルが代替可能という意味なので、ノンファンジブルは「代替不可能」、つまりそれぞれが固有で唯一無二の存在ということですね。

FT(ファンジブルトークン)の例を一つ出すと、ビットコインイーサリアムといった暗号資産が挙げられます。暗号資産の場合、Aさんがもっている1ビットコインとBさんがもっている1ビットコインは、円やドルと同じように全く同じ価値のため、それぞれを入れ替えても支障をきたしません。そのため、ファンジブルトークン、代替可能なトークンと呼ぶことができます。

一方で、同じ量販店が発売したTシャツでも、片方に金メダリストのサインが入っていた場合は、固有の価値を持つ1点物になりますよね。NFTは、ブロックチェーン技術を用いることで、個別の識別サインが記録されます。そのため、それぞれが代替不可能なものとして、世界に一つだけの価値が生まれると言えます。

引用:NFTとは?仮想通貨との違いや利益を出す方法、最新の活用例を紹介|Coincheck Column

NFTと暗号資産の関係について教えてください。

NFTは、ブロックチェーン上に識別サインが記録されるため、そのチェーン上で流通する暗号資産で取引される、という関係があります。現在流通するNFTの多くがイーサリアムブロックチェーン上で構築されているため、イーサリアムを使ってNFTを売買することが多いです。

また、暗号資産の価格面での関連性も見出すことができます。特に影響が大きいのはイーサリアムの価格で、NFTが活発に取引された2021年11月には、1イーサリアム=約54万円という過去最高値を記録しました。

NFTは現在、どんな分野で活用されているのでしょうか。

現在は、主にゲームやアートの分野で活用されています。特に、昨年は「Play to Earn」という言葉がトレンドになるなど、NFTゲームが普及しました。実際、フィリピンの事例として、「Axie Infinity」(アクシィインフィニティ)というゲームで稼いだお金のみで2軒の家を購入した男性が話題になりました。

NFTアートも着実に普及しています。世界的アーティストである村上隆さんがNFTアートに参入したことも、話題になりましたね。NFTアートの場合、作品の所有権をNFT化することが多いです。アメリカ人アーティスト・Beeple(ビープル)のNFTアートのデジタルコラージュが出品された時は、約75億円もの金額で落札されました。

また、NFTはプログラマビリティという性質を持っています。プログラマビリティとは、さまざまな付加機能をデータにプログラムできることをいいます。プログラマビリティを利用することで、NFTの作者は2次流通時の手数料や取引数量の制限などを事前にプログラムすることが可能になります。

引用:NFTとは?仮想通貨との違いや利益を出す方法、最新の活用例を紹介|Coincheck Column

この機能を活用することで、NFTが作者の手元を離れても、「流通時には購入代金の一部が作者に振り込まれる」というような仕組みを作ることができます。現在は、アートが転売されても、作者に還元されない場合が多いですが、所有権をNFT化することで解決することが可能になると言えるでしょう。

私たち一般消費者が、NFTに触れる場面、活用できる場はあるのでしょうか。

身近な所で言えば、やはりNFTゲームでしょうか。ゲーム内アイテムやキャラクターをNFT化するようなゲームが普及すれば、カジュアルにNFTを取引するようになるかもしれません。特に日本はIP大国なので、たくさんのユーザーがプレイするゲームがNFTを導入する、といった現象が起きれば、NFTは身近な存在になるでしょう。

また、将来的には、ファンクラブなどの会員権にNFTが導入される可能性があります。例えば、コインチェックでは、紀里谷和明氏の映画監督作品『世界の終わりから』の撮影素材から1,000枚を切り出した写真NFT「SEKAINOOWARIKARA」のプライマリー販売特典として、エンドロールクレジットへの購入者名掲載権利を付与する取り組みを行いました。このような保有者限定のサービスがデザインできるなど、NFTを用いることでしかできない活用法が次々に生まれることを期待しています。

コインチェックではNFTについてどのようなサービスを展開されていますか。

コインチェックでは、「Coincheck NFT(β版)」というNFTマーケットプレイスを提供しています。国内初の暗号資産交換業者が提供するマーケットプレイスです。

最大の特徴は、コインチェックの口座に預けている暗号資産をそのままNFTの決済に利用できるという点です。そのため、NFT初心者の方でも簡単に取引しやすい設計になっています。また、多くのNFTマーケットプレイスでは、NFTの出品・購入にガス代と呼ばれる手数料を払う必要があるのですが、Coincheck NFT(β版)ではガス代がかかりません。

最近は、Generativemasksや、Othersideといった、世界中で取引されているアート・メタバース分野のNFTも取り扱いを開始しました。これからも、どんどん拡充していく予定です。

NFTが一般的になった場合に広がる未来や、今後の展望についてお聞かせください。

NFTの高額落札などのニュースを見て、どこか怪しさを感じる方もいるかもしれません。しかし、過去を振り返ると、インターネット黎明期も突然のきっかけと共にある種の怪しさをまとった熱狂がありました。NFTはそういう意味で、「新しい時代の入り口」に立っている状況といえるかもしれません。NFTは、Web3を牽引する技術の一つであり、無限の可能性を秘めている、と私は考えています。



執筆者 天羽 健介

コインチェック株式会社 常務執行役員
大学卒業後、商社と株式会社リクルートを経て、2018年コインチェック株式会社入社。
日本の暗号資産交換業者初のNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」などの新規事業を創出。
2022年6月に同社の常務執行役員に就任。2021年にコインチェックテクノロジーズ株式会社の代表取締役に就任。
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)NFT部会長。

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