iyomemo(いよめも)
見つかる、つながる。伊予銀行のWebメディア

《四国八十八ヶ所》とは?
初めてのお遍路で準備するべきものや巡拝の仕方まで解説

2023/03/13
(提供元:四銀ルーム

約1200年前に弘法大師・空海が修行した八十八の霊場に巡礼することを、お遍路といいます。お遍路と聞くと過酷なイメージですが、週末を使って訪れたり、車で巡ったりする方法があるのをご存じでしょうか。本記事では四国八十八ヶ所の基本を解説し、お遍路の方法や参拝手順などを紹介します。

四国八十八ヶ所とは

四国八十八ヶ所とは

四国八十八ヶ所とは、弘法大師・空海に所縁のある八十八ヶ所のお寺を意味します。
八十八ヶ所ものお寺を巡礼することは、体力的・精神的にも厳しい道のりです。しかし、お遍路により煩悩が取り除かれ、ご利益がもたらされると信じられています。
四国八十八ヶ所の意味や基礎知識を知るために、県ごとの特徴を見ていきましょう。

徳島県「発心の道場」

徳島県には1~23番の札所(ふだしょ)があります。札所とは、参拝の証としてお札を納めたり受け取ったりする場所です。
発心とは仏教において出家して仏門に入ることをいい、徳島県が八十八ヶ所のはじまりの地であることを意味しています。1番札所の霊山寺ではお遍路セットを購入できるため、一式をここで揃えてスタートするのも良いでしょう。
11番札所の藤井寺まではお寺の距離感が比較的短く、1日に数ヶ所巡ることも可能です。11番札所から12番札所の間には、難所の「遍路ころがし」があります。遍路ころがしはお遍路さんが転げ落ちるくらい急な坂道のことで、四国八十八ヶ所の中に複数存在します。
13番札所から17番札所は徳島市内にあるため、市内観光をしながら巡るのもおすすめです。

高知県「修行の道場」

高知県には24~39番の札所があります。
修行の道場と呼ばれる所以は、高知県の土地柄が関係します。四国でもっとも大きい面積を誇る高知県は、お遍路さんにとって修行のように厳しいエリアです。37番札所から四国最南端の足摺岬にある38番札所までは、約90kmと距離が離れています。歩き遍路の場合は、長い道のりを覚悟しなくてはなりません。
始まりである24番札所の最御崎寺近くには、パワースポットとして人気の室戸岬「御厨人窟(みくろど)」があります。39番札所の延光寺は、重要文化財指定の「赤亀の梵鐘」や、眼病にご利益のある目洗い井戸などが見どころです。

愛媛県「菩提の道場」

愛媛県には40~65番の札所があります。
菩提(ぼだい)とは煩悩を断ち、悟りを得た無上の境地を意味します。発心(徳島県)と修行(高知県)を経てあらゆる欲望や悩みから解放され、心が落ち着いてくるエリアと位置づけられているのです。
45番札所の岩屋寺や、60番札所の横峰寺など、山の中にある寺が比較的多いです。大自然の山中に佇むお寺からは、神聖な雰囲気を感じられるでしょう。
道後温泉から約1kmの場所には、51番札所の石手寺があります。お遍路さん以外に、観光客や湯治客などで賑わうスポットです。

香川県「涅槃の道場」

香川県には66~88番の札所があります。香川県は四国の中でもっとも小さい県のため、札所間の距離が近いのが特徴です。
涅槃(ねはん)とは、仏教が理想とする悟りの境地です。人間がもつあらゆる煩悩から解放され、不生不滅の安らぎを得た状態とされています。
徳島県から始まった長いお遍路は、香川県で結願(けちがん)を迎えます。結願とは日数を定めて神仏に祈願や修行を行い、予定していた日にちが満ちることです。 最終地点となる88番札所の大窪寺には「四国霊場結願所」と刻まれた仁王門があります。

四国八十八ヶ所を巡るには

四国八十八ヶ所を巡るには

初めてお遍路に挑戦する場合「札所の回り方にルールはあるのか」「必ず歩く必要があるのか」といった疑問があるでしょう。
お遍路には伝統的な方法もありますが、自分のスケジュールや体力に合わせて巡ることも可能です。ここでは、四国八十八ヶ所の回り方やお遍路方法を紹介します。

回り方の一例

四国八十八ヶ所の回り方の一例を紹介します。

  • 順打ち:1番札所から88番札所へ順に巡る
  • 逆打ち:88番札所から1番札所へ順に巡る
  • 通し打ち:一度ですべての札所を巡る
  • 区切り打ち:複数回に分けて札所を巡る

1番札所から順番にすべての札所を巡りたい人は、「順打ち+通し打ち」が良いでしょう。徒歩で通し打ちをする場合、期間は40日以上見ておくのがおすすめです。
また区切り打ちの中には、一国参りという回り方があります。1県を一国と捉え、四国4県をひとつずつ巡る方法です。

お遍路方法

お遍路は歩いて巡る以外に、自家用車やバスツアーなどで行う方法があります。

徒歩

歩き遍路は伝統的な方法です。歩きながら自分に向き合う時間や考える時間をとれるでしょう。ただし、体力を消耗するかつ期間も長引くため、年齢的に無理ができない人や日にちに余裕がない人は注意が必要です。始める前にしっかり足腰を鍛えたり、予定を調整したりしましょう。

自家用車

自家用車なら、体力や時間を節約しながら自分のペースで巡れます。お寺によっては山の中に位置しているため、途中から歩きが必要なことがあります。

ツアー(バス・タクシー)

バスやタクシーによるお遍路ツアーも実施されています。参加費用はかかりますが自分で地図を見て回る必要がなく、できるだけ手間をかけずに巡りたい場合におすすめです。3泊4日や11泊12日などツアーによって日にち・費用は異なり、さまざまな行程から選べます。

お遍路で準備するもの

お遍路で準備するもの

お遍路には、巡拝するための服装やグッズなどがあります。お寺の売店やネットショップで購入できるため、どのようなものが必要かあらかじめ確認しておきましょう。

服装

お遍路の基本スタイルは次のとおりです。

  • 白衣(はくえ):白い羽織
  • 輪袈裟(わげさ):首から掛ける略式の袈裟
  • 菅笠(すげがさ):竹と菅で編んだ笠・帽子
  • 金剛杖(こんごうづえ):弘法大師の化身として役割をもつ木製の杖

昔は厳しいお遍路の道中に亡くなる可能性もあったため、全身に白装束をまとっていました。しかし現在は簡略化されており、私服の上に白衣を着用して問題ありません。

納経用品・巡拝用品

参拝で必要となるグッズは、以下のようなものがあります。

  • 納経帳:四国遍路に参拝した証となる帳面
  • 納め札:本堂・大師堂の納札入に納めるお札
  • 数珠:お遍路中に持ち歩く数珠
  • 山谷袋:参拝用品などの小物を入れる袋

納め札は氏名・住所・願い事など、必要事項をあらかじめ記入しておくと便利です。参拝時に納める以外の使い道もあり、例えば道中お遍路さん同士の名刺代わりに使われます。また、食べ物・飲み物のお接待を頂いた場合に、お礼の気持ちとして納め札を渡すのもしきたりの1つです。

お遍路巡りの参拝手順

お遍路巡りの参拝手順

お遍路のマナーとして、参拝手順を覚えておくのがおすすめです。参拝は以下のように行います。

  1. 門で合掌・一礼して境内へ入る
  2. 手洗い所で手と口を清める
  3. 鐘を一度つく
  4. 本堂へお参り
  5. 大師堂へお参り
  6. 納経所でお納経をいただく
  7. 門で合掌・一礼して境内を出る

本堂や大師堂でお参りする際は、ロウソク・線香を立てたり納め札を納めたりします。最初は戸惑うかもしれませんが、3回ほど札所を巡れば慣れてくるでしょう。

まとめ

お遍路において、四国八十八ヶ所は神聖な場所です。札所を巡ることでパワーをもらえると同時に、四国各地の魅力を堪能できます。八十八ヶ所を通し打ちするには体力が必要なため、複数回に分けて気軽に巡るのも良いでしょう。
歩きの場合は体力をつけることが大切ですが、年齢的に厳しい人は自家用車やツアーを利用するのもおすすめです。体力・スケジュール・費用面を考慮し、自分にあった巡り方をしてみましょう。



著者プロフィール

著者 澤田 真里奈

2級FP技能士

地方銀行へ入社し、貯金・ローンなど金融商品の販売に従事。 その後、不動産業界へ転職して社会保険や労務管理を担当しながらFP資格を取得。自身の経験から“お金を無駄にしないための”アドバイスをおこなう。

RECOMMENDATION

RANKING

TAG LIST

    • Digital-Human-Digital
    • 地元愛
    • LIFE PALETTE
    • IYOCA