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新NISA恒久化はいつから?
投資期間や導入することのメリットをわかりやすく解説

2023/04/06
(提供元:CyberKnot

2022年12月に公表された「2023年(令和5年)度税制改正大綱」によると、2024年からNISAは抜本的に拡充および恒久化される予定です。この記事では、NISA恒久化はいつからか、新NISAの改正点やメリットなどについて解説します。
当記事は2023年3月27日時点の情報に基づいた内容です。今後の改正の動向によっては変更される可能性があります。

NISAはいつから恒久化されるのか

NISAはいつから恒久化されるのか

最初に、2024年のNISA改正のスケジュールについて解説します。

新NISAは2024年から

新NISA制度は、2024年から開始される予定です。新制度開始に伴い、現行制度は2023年までとなる見込みです。

現行NISAはどうなるか

現行のつみたてNISAと一般NISAは、2023年までは新規の口座開設が可能です。現行NISAで投資した資産は、新NISAとは別枠でそれぞれの非課税期間終了まで保有できます。非課税期間終了後は現行NISAの資産を特定口座または一般口座に移すか、売却して現金化するかから選択することになります。

一般NISAには、5年の非課税期間終了後に翌年以降の非課税枠に移行する「ロールオーバー」という仕組みがあります。しかし、現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできません。

現行NISAと新NISAの違い

現行NISAと新NISAの違い

現行NISAと2024年からの新NISAの違いについて、比較表にまとめました。以下で、主な変更点について解説します。なお、新NISAのつみたて投資枠は現行のつみたてNISA、成長投資枠は一般NISAを引き継ぐ枠です。

  現行NISA 新NISA
制度存続期間 つみたてNISA:2042年まで
一般NISA:2028年まで
(買付は2023年まで)
恒久化
年間投資枠 つみたてNISA:40万円まで
一般NISA:120万円まで
つみたて投資枠:120万円まで
成長投資枠:240万円まで
非課税保有期間 つみたてNISA:最長20年間
一般NISA:最長5年間
無期限化
非課税保有限度額 つみたてNISA:800万円
一般NISA:600万円
買付額ベースで1,800万円まで
(うち、成長投資枠は1,200万円まで)
売却後の投資枠再利用可能
両制度の併用 不可 可能

出典:金融庁「新しいNISA」より筆者作成

制度と非課税期間が無期限に

現行制度では一般NISAが2023年、つみたてNISAが2042年までと時限的な制度でした。しかし、2024年からは恒久化されます。
また、現行制度ではつみたてNISAで20年、一般NISAで5年の非課税保有期間がありますが、新NISAの非課税期間は無期限です。期限があることで、成年年齢に達していない人などは投資できる期間が短くなる不利益がありました。しかし、新NISAでは世代間の不公平も解消されます。

非課税投資枠の拡大と生涯非課税限度額の新設

現行制度の年間の投資枠はつみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円です。新制度では、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円と拡大されます。

非課税保有限度額とは

新NISAでは、新たに買付額ベースで1,800万円の非課税保有限度額が設定されます。非課税保有限度額とは、個人単位で保有できる買付額の総額です。1,800万円のうち、成長投資枠は1,200万円までとなっています。

限度額いっぱいまで買付ける場合、少なくともつみたて投資枠を600万円分利用しなければなりません。保有資産を売却した場合、買付金額分の非課税枠が再利用できます。

一般NISAとつみたてNISAが統合される

現行制度ではつみたてNISAと一般NISAの併用はできず、どちらか1つを選ばなければなりませんでした。新NISAではつみたてNISAと一般NISAが統合され、つみたて投資枠と成長投資枠が同じ口座で併用できるようになります。そのため、年間の非課税投資枠はつみたて投資枠と成長投資枠の合計360万円です。

積立投資もスポット買付も可能

現行制度でつみたてNISAを選んだ人は積立投資しかできませんでしたが、新NISAでは積立もスポット買付も両方できます。
対象となる商品は、つみたてNISAとつみたて投資枠と同じ商品です。成長投資枠は、一般NISAの対象から一部除外になる商品があります。

新NISAのメリット

新NISAのメリット

最後に、新NISAの主なメリットを解説します。

非課税投資枠が大幅に増える

新NISAでは、現行NISAに比べて投資できる上限額が大きく引き上げられます。たとえば、つみたてNISAでは年間40万円、トータルで800万円までしか非課税投資ができず、月あたりの投資上限額は約3万3,000円でした。しかし、新NISAでは年間120万円、月に10万円もの積立投資が可能です。
たとえば、年利3.0%で20年間、毎月3万3,000円と7万5,000円を積立てた場合を比較してみましょう。試算には金融庁の「資産運用シミュレーション」を使用します。

毎月の積立額 3万3,000円 7万5,000円
20年分の投資元本 792万円 1,800万円
運用益 291万4,000円 662万3,000円
元利合計 1,083万4,000円 2,462万3,000円
節税額(運用益の20.315%) 59万1,979円 134万5,462円

積立金額が増えると、それだけ大きな資産形成ができ、運用益が非課税になるメリットも大きくなります。 非課税期間もなくなったことにより、自分に都合のよいタイミングで投資額を増やしたり減らしたりと柔軟な活用が可能になります。無理に非課税投資枠を使い切る必要はなく、将来のために最適な投資額での利用が大切です。

売却後に非課税枠の再利用が可能に

現行NISAでは保有する商品の売却は自由でしたが、非課税枠の再利用はできませんでした。新NISAでは、売却によって空いた非課税枠が復活します。

たとえば、買付金額1,000万円分の商品を300万円分売却したとすると、売却した分の非課税投資枠が復活するのです。その結果、空き枠は1,100万円となり、年間の投資枠の範囲で買付できるようになります。つまり、実際には1,800万円以上の非課税投資ができるわけです。

適切な投資判断ができるように

現行制度では非課税枠が再利用できないため、株式投資などで適切なタイミングでの利益確定ができないケースなども少なくありませんでした。しかし、新NISAでは非課税投資枠が大きくなり、再利用もできることから、非課税枠を使ってしまうことをそれほど気にしないで投資判断ができるようになるでしょう。

非課税期間満了時の対応が不要

現行NISAでは非課税保有期間が設定されていたため、満了時に買付けた商品をどうするかを考える必要がありました。特に一般NISAは非課税期間が5年と短く、期間満了時に値下がりしている可能性も高めでした。そのため、満了時にロールオーバーなどの対策を考えなければならなかったのです。

しかし、制度が恒久化され、非課税期間も無期限になったため、そのような対応は不要になります。新NISAでは基本的に資金が必要になったときにのみ、保有する資産を売却すればよいのです。

まとめ

新NISAでは、現行NISAで要望の多かった制度の恒久化や非課税期間の無期限化、非課税投資額の引き上げなどが実現します。制度拡充により、より自由度の高い自分に合った資産形成ができるようになるでしょう。新NISAがスタートする前にポイントを押さえ、有利な活用法を検討しておくことをおすすめします。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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