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新NISAの制度とは?
上手に活用させるおすすめの運用方法とタイプ別の商品を紹介

2023/04/11
(提供元:CyberKnot

2024年から導入される新NISAは制度そのものや非課税期間が無期限になり、投資枠も拡大されます。現行制度ではできなかった運用もできるようになるため、有効活用するには新制度の仕組みを理解する必要があります。今回は新NISAの改正のポイントと、上手な運用方法や商品選びについて解説します。

当記事は2023年3月28日時点の情報に基づいた内容です。今後の改正の動向によっては変更される可能性があります。

新NISAの概要

新NISAの概要

現行では、一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選択する必要があります。しかし、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠に引き継がれて一本化されます。

最初に、新NISAの概要を表にまとめました。以下、主な変更のポイントについて解説します。

  つみたて投資枠(旧つみたてNISA) 成長投資枠(旧一般NISA)
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有限度額 合計1,800万円
※売却後の枠の再利用が可
1,200万円まで
口座開設期間 恒久化 恒久化
非課税保有期間 無期限化 無期限化

出典:金融庁「新しいNISA」より筆者作成

制度が恒久化され非課税期間も無期限に

現行の一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと期限が決まっていました。投資期間が限定されると将来のための資産形成が十分にできず、制度のメリットが活かしきれません。新NISAは制度に期限がなくなり、恒久化されます。また、一般NISAで5年、つみたてNISAで20年だった非課税期間も撤廃され、無期限での非課税投資が可能です。
制度そのものと非課税期間の無期限化により、長期投資のメリットを活かした資産形成が期待できます。

非課税投資枠の拡大と生涯非課税限度額の新設

新NISAの非課税投資枠は現行の一般NISAの年額120万円から成長投資枠の240万円、つみたてNISAの40万円からつみたて投資枠の120万円と拡大されます。年間の投資枠は、合計で360万円です。
無期限化と非課税投資枠の拡大に伴い、個人単位の非課税保有限度額1,800万円(買付価格ベース)が新設されます。このうち、成長投資枠は1,200万円が上限となります。

空いた非課税枠の再利用ができる

現行NISAでは保有する商品の売却は自由にできましたが、空いた非課税枠の再利用はできませんでした。新NISAでは商品の売却後は非課税保有限度額の買付価格ベースの枠が復活し、再度商品の買付ができるようになります。
たとえば、買付価格ベースで1,500万円分の資産のある人が500万円分を売却すると、空き枠は300万円から800万円に増えます。ただし、500万円分を一気にではなく、年間の投資枠の範囲で使えるようになるだけです。

新NISAの運用方法

新NISAの運用方法

新NISAは現行NISAにあったいくつかの制限がなくなり、柔軟な運用ができるようになります。

つみたて投資枠と成長投資枠の投資対象

新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の、それぞれの投資対象を解説します。

つみたて投資枠

つみたて投資枠は積立投資だけに特化しており、投資対象はつみたてNISAの対象商品と同様です。つみたてNISAの投資対象とは、金融庁が選定した長期の積立・分散投資に適した投資信託です。

成長投資枠

成長投資枠では一括買付も積立投資も可能で、投資対象は上場株式・投資信託等です。上場株式では整理・監理銘柄が対象外となります。投資信託では外国債券で運用するアクティブ運用の商品や毎月分配、運用期間20年未満の商品が除外され、2,000本程度に絞られる予定です。

総枠をつみたて投資枠に使ってもかまわない

新NISAでは1,800万円の非課税保有限度額があり、成長投資枠には上限がありますが、つみたて投資枠にはありません。つまり、非課税限度額の全部の枠をつみたてNISAで使ってもかまわないのです。

つみたて投資枠は年間120万円までで月あたり10万円が上限ですが、上限いっぱいに使う必要はありません。3万円ずつでも5万円ずつでも、家計から無理なく積立てられる金額を設定すればよいのです。また、状況に応じて金額の増減もいつでもできます。

教育資金を使ってから老後資金の準備もできる

新NISAでは資産を引き出してから空いた枠で商品の買付ができるようになるため、複数のライフイベントの資金準備がしやすくなります。

たとえば、子どもの教育資金を準備して大学進学時に全額引き出したとします。すると、再び1,800万円分の非課税投資ができるため、そこから老後資金準備をスタートさせることも可能です。必要な資金を引き出して使うことで非課税枠が復活し、1,800万円以上の非課税投資ができるようになるのです。

余裕のあるときに多めの投資ができる

新NISAの年間投資枠が拡大したからといって使い切る必要はなく、お金に余裕があるときに多めに投資できる点がメリットです。現行の一般NISAは年間の投資枠が120万円と多めでしたが期限があり、枠を使い切れないケースも少なくありませんでした。

しかし、新NISAは無期限になったため、家計の状況に応じて投資額を増減できます。子どもの教育にお金がかかるときは少額で、住宅ローンが終わって余裕資金ができたときは多めになどの柔軟な活用が可能です。

新NISAのタイプ別おすすめ商品

新NISAのタイプ別おすすめ商品

新NISAの特色を踏まえ、運用のタイプ別のおすすめ商品を紹介します。

運用のタイプとは

運用のタイプとは、個人のリスク許容度に合った運用を意味します。リスク許容度とは投資対象が値下がりした場合に、どの程度の損失までなら耐えられるかという度合いのことです。

リスク許容度が低めの人は、値動きの振れ幅の低い投資対象を中心とした「堅実タイプ」に分類されます。また、高めの人はリスクを許容して大きな利益を狙う「積極タイプ」となります。

堅実タイプのおすすめ商品

堅実タイプは、値動きの振れ幅の少ない商品で運用していきます。リスクの少ない金融商品としては、国債などの債券があります。しかし、NISAでは債券への直接投資はできません。

そこで、投資信託を利用して間接的に債券に投資します。つみたて投資枠の対象となる投資信託には、債券だけに投資するタイプがありません。債券に投資するには債券の投資比率が高めのバランスファンドがおすすめです。成長投資枠では、債券に投資するタイプの投資信託を選ぶとよいでしょう。

堅実タイプのおすすめ商品は、以下のとおりです。
・つみたて投資枠:リスクの少ないバランスファンド
・成長投資枠:つみたて投資枠と同じ商品も可・債券に投資する投資信託

積極タイプのおすすめ商品

適切なリスクを取りながら積極的に利益を狙う積極タイプでは、つみたて投資枠では株式に投資するインデックスファンドを積立てましょう。値動きが大きめの株式の投資信託も積立てることで購入単価が平均化され、比較的安定した成果を期待できます。

バランスファンドを積立てるなら、株式の比率の高い積極運用タイプを選ぶとよいでしょう。成長投資枠では、つみたて投資枠にはない投資信託を選べます。積極的に運用するなら、国内外のREITや金などで運用する投資信託を取り入れてもよいでしょう。

積極タイプのおすすめ商品は、以下のとおりです。
・つみたて投資枠:株式に投資するインデックスファンド・積極運用タイプのバランスファンド
・成長投資枠:つみたて投資枠と同じ商品も可・国内外のREITに投資する投資信託

まとめ

新NISAでは現行NISAにあったいくつかの制限が取り払われ、柔軟な運用が可能になります。投資できる金額も大きく増えるため、ライフイベントのさまざまな必要資金の多くを非課税で準備できるようになります。今後はつみたて投資枠、成長投資枠を上手に活用して着実に資産形成をしていきましょう。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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