ゴールベースアプローチとは?
資産運用における目標設定の必要性や今後の動きについて

ゴールベースアプローチとは、ゴールを明確にしたうえで資産運用を行う手法です。本記事では、ゴールベースアプローチとは何かについて説明します。投資の際に目標設定が必要な理由を認識し、ライフプランに合った運用計画を立てましょう。
ゴールベースアプローチによる資産運用とは?

資産運用には「ゴールベースアプローチ」と呼ばれる考え方があります。どんな考え方なのか、概要を理解しておきましょう。
ゴールベースアプローチとは
ゴールベースアプローチの「ゴール」とは、将来の目標を意味します。ゴールベースアプローチ(ゴールベース運用)は、達成したい目標を設定し、目標達成のための運用計画を立てて投資を実行する手法です。米国では1990年代から普及しており、近年日本でも注目されています。
具体的な目標から逆算する資産運用法
ゴールベースアプローチにもとづく資産運用では、最初に人生で実現したい具体的な目標を設定します。たとえば、次のような目標です。
・マイホームを購入したい
・子どもの教育資金を貯めたい
・老後の生活資金を準備したい
・海外旅行の資金を用意したい
ゴールを決めれば、必要な資金の算出が可能です。ゴールベースアプローチでは目標達成のための金額を明確にし、ゴールから逆算して運用計画を立てます。運用成績よりも目標の達成を重視する手法で、長期的な運用に適しています。
マーケットベースとゴールベースの違い
ゴールベースアプローチと対照的な手法が、マーケットベースアプローチです。マーケットベースアプローチでは、市場の動向に合わせて投資戦略を考えます。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指標を基準にし、短期で利益を得ることを目指します。
ゴールベースアプローチが注目される理由
日本でも資産管理の手法として、ゴールベースアプローチが普及しつつあります。ゴールベースアプローチが注目されている理由を考えてみましょう。
「貯蓄から投資へ」の流れが加速
我が国の国民の個人金融資産に占める投資商品の割合は、欧米に比べてかなり低くなっています。政府は「貯蓄から投資へ」をスローガンに、NISAやiDeCoなど投資を促す制度を設けてきました。
その結果、最近では多くの人が投資に関心を持ち始めています。将来必要な資金を準備するために投資という方法もあることを、国民が認識するようになったのです。
老後の資金不安を抱える人が多い
我が国では男女とも平均寿命が80歳を超えており、老後の期間が以前よりも長くなっています。勤労収入がなくなってからの生活資金に、不安を感じる人も多いでしょう。
公的年金だけで老後の生活資金をまかなうのは困難です。ゴールベースアプローチにより、計画的に老後資金を準備しておく必要性が増しています。
ゴールベースアプローチによる資産運用の手順
ゴールベースアプローチで資産運用を行う場合、どのような手順になるのかをみてみましょう。
具体的な目標を設定
まずは資産運用のゴールを設定します。「子どもの教育資金として10年後までに500万円を用意する」「老後の生活資金として65歳までに1000万円を確保する」など、具体的な目標を立て、ゴールを明確にしましょう。
運用計画の策定
ゴールが決まったら、目標達成までの期間や現在の保有資産、今後の収入の見通しなどを整理します。整理した情報をもとにゴールまでの道筋を考え、運用計画を立てます。
運用計画の実行
運用計画ができたら、計画を具体的に実行していきます。ゴールまでの期間やリスク許容度に合わせて運用商品や資産配分を決定し、ポートフォリオを組みます。
運用状況の確認・見直し
運用計画は、定期的な見直しも必要です。運用状況を確認し、必要に応じて運用商品や資産配分を変更しながらゴールを目指します。
ゴールベースアプローチはなぜ必要?

投資により目的達成のための資金を用意したいなら、ゴールベースアプローチは欠かせません。ゴールベースアプローチの必要性について整理しておきます。
ゴールごとに最適な運用計画を立てられる
将来的に資金を用意したい目標は、住宅取得資金、教育資金、老後資金などいくつもあるのが一般的です。それぞれの目標ごとに、必要な時期や金額も異なるでしょう。ゴールベースアプローチなら、各ゴールまでの期間や金額に合わせ、最適な運用計画を立てられます。
1つのゴールを変更しても、他のゴールへの影響を抑えられるのもメリットです。
リスクを適切にコントロールできる
ゴールがあいまいなまま投資すると、利益を出すことを重視して、ハイリスクな商品に投資してしまうこともあるでしょう。最初にゴールを明確にすれば、目標達成に必要な利回りも把握できます。リスクを適切に管理しながら、安定的な資産運用が可能になります。
長期的な運用が可能になる
資産運用は、長期的に続けることで成果が出やすくなるものです。ゴールを設定してから運用すれば、短期的な値動きで一喜一憂せずにすみます。ゴールベースアプローチにより、長期的に安定した利益を出しながらの運用が実現するでしょう。
ゴールベースアプローチの今後の動き

ライフプラン実現のために、投資を活用する人は増えつつあります。ゴールベースアプローチは、日本でも今後ますます注目されるでしょう。ゴールベースアプローチの普及により、どのような変化が起こるのかを考えてみます。
適切なアドバイザーが求められる
ゴールベースアプローチでは、目的達成のための運用計画を立てなければなりません。しかし、投資初心者は自分自身ではどのように運用計画を立ててよいかわからないでしょう。
ゴールベースアプローチには、最適な運用計画を立て、計画の実行をフォローするためのアドバイザーが欠かせません。ファイナンシャルプランナーやIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が求められる場面が増えるでしょう。
金融機関の役割の変化
これまで金融機関は商品の販売の仲介が主な役割で、顧客のライフプランに深く関与することはあまりありませんでした。ゴールベースアプローチが普及すれば、金融機関の役割も変化するでしょう。これからの金融機関には、顧客のライフプランに合わせた資産運用のコンサルティングを行う役割が期待されます。
まとめ
ゴールベースアプローチでは将来の目標を明確にしたうえで、資産運用して必要な資金を準備します。特に、老後資金など長期的に準備したいお金は、ゴールベースアプローチにより運用計画を立てるのがおすすめです。専門のファイナンシャルアドバイザーや金融機関に相談しながら、ライフプランや運用計画を考えましょう。

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。