2世帯が快適に暮らせる間取りとは?
オススメの間取りをご紹介!

子育てや介護などをきっかけに、2世帯住宅を検討される方も多いのではないでしょうか。 共働きや働く祖父母世代の増加など、ライフスタイルの変化に伴い、程よい距離感を保ちながら必要なときに協力し合える間取りが注目されています。
本記事では2世帯住宅の間取りにするメリットや、間取りのタイプ、快適に暮らすためのポイントを解説します。2世帯住宅の間取りを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
2世帯住宅の間取りとは?

2世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に暮らす住宅の間取りです。一口に2世帯住宅と言っても、2世帯がどの間取りを共有するかは時代によって大きく変化してきました。
1960年代以前は、親子が完全に同居する間取りが主流でした。しかし1960年以降は核家族化が進み、親世帯と子世帯が独立して住める間取りが選ばれるようになります。そして現代では、若者のシェア志向が高まった影響もあり、2世帯で一部の空間を共有し合理的に暮らせる間取りが人気です。
2世帯住宅の間取りにするメリット

2世帯住宅を選択すると、以下のメリットが期待できます。
- 2世帯がお互いに助け合える
- 住宅購入コストが軽減できる
- 相続税を抑えられる
次の項目からは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
2世帯がお互いに助け合える
2世帯住宅では親世帯と子世帯の物理的な距離が近いため、困った時に助け合うことができます。たとえば子世帯が仕事で不在のときに親世帯が子どもの面倒を見たり、親世帯が体調を崩したとき子世帯が看病したりなどです。
近年は、夫婦共働き世帯の増加から、子世帯のほうから同居を提案するケースが増えています。親世帯に協力してもらうことで、家事や育児の負担が軽くなるだけでなく、日中親世帯が在宅している場合は、防犯面でも安心です。
一方で親世帯は、高齢になるにつれて普段の生活で困ることが増えていくため、老後に不安を抱えている方も少なくありません。2世帯で暮らしていれば、困ったことがあったときにすぐに子世帯に相談できるため、日々の不安が解消されます。
住宅購入コストが軽減できる
2世帯住宅は共有部分が多いほど、コスト軽減につながります。たとえば、購入する土地は1箇所なので、購入費用のほか仲介手数料や税金負担が減らせます。また、建築費についても、戸建てを2軒建てるより1軒にまとめたほうが安くなるでしょう。家を建てるときの高額な初期費用を2世帯でシェアして負担できるので、経済的なメリットが大きいのが魅力です。
さらに、住み始めた後も、電気・ガス・水道などの水光熱費を親世帯と子世帯で分担できます。契約を1本にまとめれば、基本料金も1世帯分で済むためお得になるでしょう。ただし、水光熱費をどのように分担するのか、事前の話し合いは十分に行う必要があります。使用量に応じて厳密に分ける場合は、子メーターを設置してそれぞれの世帯の利用量を計測しましょう。
相続税を抑えられる
2世帯で同居した場合、「小規模宅地の特例」を受け、相続税の課税価格を最大80%減額できる可能性があります。小規模宅地の特例には複雑な適用条件がありますが、2世帯住宅で適用を受けるには最低限以下の要件を満たす必要があります。
- 同一の建物に親子が住んでいる
- 建物の敷地は親の名義である
- 子は建物を親から無償で借りている
さらに相続の発生から10カ月まで、引き続き2世帯住宅に所有者として住んでいることが条件です。相続税の節税目的で短期間だけ同居するケースや、家を区分所有登記しているケースでは適用を受けられないため、注意しましょう。
2世帯住宅の間取りにするデメリット

2世帯住宅にはさまざまなメリットがある一方で、以下のデメリットも認識しておく必要があります。
- 気を遣う
- 広い土地が必要になる
次の項目からは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
気を遣う
2世帯で同居すると、お互いに気を遣ってしまう可能性があります。今まで別々に暮らしていた世帯が一緒に暮らすため、生活時間やライフスタイルが合わないこともあるでしょう。思うように生活できず、窮屈に感じてしまう可能性がある点は、留意しておきましょう。
また、誰と同居するかによっても、気の遣い方は変わります。子世帯から見て同居するのが実の両親か義理の両親か、親世帯から見て同居するのが娘家族か息子家族かは、心理的な距離に大きな違いがありそうです。
とくに、共有部分を使用する際は気を遣います。たとえばリビングを共有している間取りでは、子世帯が就寝したら親世帯は静かに過ごさなければなりません。浴室が1つの場合は、先に入っている家族がお風呂の順番待ちに気を使うこともあるでしょう。本来なら一番のびのびできるはずの家で気を遣い続けるのは、精神衛生上良くありません。
広い土地が必要になる
2世帯分の機能を設けるためには、まとまった面積の土地を確保しなければなりません。玄関や水回りを分離した間取りにするだけでも、それぞれ2カ所ずつ設置するのに十分な広さが必要でしょう。一般的に2世帯住宅は、60坪以上の敷地面積を確保したほうが良いと言われています。
もし60坪未満の土地であれば、玄関や水回りを2世帯で共有する間取りになるでしょう。高さ制限が厳しくないエリアであれば、3階建てにして縦に積む工夫もできます。ただし、高齢になると階段の多い家は住みにくくなるため、慎重な判断が必要です。
2世帯住宅の間取り3タイプ

2世帯住宅の間取りは、共有する範囲に応じて以下の3タイプに分類できます。
- 完全共有
- 部分共有
- 完全分離
次の項目からは、3タイプがどのような間取りなのか、メリット・デメリットをご紹介します。
完全共有
完全共有タイプは、ほとんどのエリアを2世帯が共有する間取りです。玄関や水回り、リビング・ダイニングは1つで、食事の時間は2世帯揃ってテーブルを囲みます。
完全共有タイプのメリットは、2世帯の距離感が近くコミュニケーションをとりやすい点です。顔を合わせる頻度が高いため、いつもお互いの様子を見守り合うことができます。
また、共有部分が多い間取りは、建築費や水光熱費などコストを削減できる可能性が高くなります。完全共有タイプの場合は、水回りやリビング・ダイニングを2カ所ずつ用意する必要がないため、節約できたスペースを居室や寝室に充てられるでしょう。
反対にプライバシーを確保しにくい点は、完全共有タイプのデメリットと言えます。親世帯の部屋は1階、子世帯の部屋は2階というように、世帯ごとにフロアを分けた間取りにするなど、最低限のプライバシーを確保して、お互いにストレスを感じないよう工夫しましょう。
一部共有
一部共有タイプは、玄関や水回りなど生活空間の一部分だけを共有している間取りで、完全共有タイプと完全分離タイプの中間に位置しています。
一部共有タイプのメリットは、つかず離れずの程よい距離感を保てる点にあります。シェアする空間や割合を自分たちで調節できるため、バランスのとれた同居生活を実現できるでしょう。
また、完全分離タイプと比べると、建築費や水光熱費などのコスト削減も期待できます。一部共有タイプにして分離したい部分を減らすほど、大幅なコストダウンにつながります。
デメリットは、共有部分の使い方を巡ってトラブルになりやすい点です。たとえば、水回りが汚れていても親世帯しか掃除しないことが原因で揉めるケースなどが考えられます。トラブル防止策として、共有部分のルールを作っておくとよいでしょう。
完全分離
生活空間を世帯ごとに分けている間取りのことを、完全分離タイプと言います。世帯の分け方によって、左右分離型と上下分離型の2種類に分類できます。
完全分離型のメリットは、十分なプライバシーを確保できる点にあります。水回り、リビング・ダイニングはもちろん、玄関も別々なので、完全共有や一部共有タイプのように世帯間が交わる共有部分はありません。用事があるとき以外は顔を合わせずに生活できるため、余計な気を遣わずに過ごせるでしょう。
ただし、完全分離タイプは2世帯分の生活空間が必要になるため、コストは割高です。また、双方がコミュニケーションをとる機会が少ないため、困っているときに助け合えない可能性もあります。両方の世帯が使える中庭を設けるなど、コミュニケーションが生まれる間取りを加えると良いでしょう。
2世帯にオススメの間取り・機能

2世帯での暮らしは、間取りや機能を工夫することで快適性が高まります。
おすすめは、以下の間取りや機能です。
- 広々とした「リビング・ダイニング」
- 適度な距離を保てる「中庭」
- 高齢になっても安心「バリアフリー」
- 一人の時間を過ごせる「書斎」
- 子どもがのびのび遊べる「防音材」
- 行き来するのに便利「インターホン」
それぞれを詳しく見ていきましょう。
広々とした「リビング・ダイニング」

リビング・ダイニングは、家族が集まる憩いの場です。とくに完全共有や一部共有タイプでリビング・ダイニングを共有する場合は、ゆったりとした広さを確保するのがおすすめです。同居する人数にもよりますが、リビング・ダイニングの面積は12畳以上、できれば15〜18畳程度確保できると良いでしょう。
さらに吹き抜けを作って天井を高めにすると、開放的な空間を演出できます。2世帯が一緒に食事をとれる大きめのダイニングテーブルや、深く腰掛けてくつろげるソファなど、家具選びも重要です。
リビング・ダイニングの居心地が良いと、2世帯が一緒に過ごす時間が増えコミュニケーションをとりやすくなるでしょう。吹き抜けを作ったり大きな窓を設けたりする場合は、断熱性能にこだわることも重要です。冬は温かく夏は涼しい空間になると、リビング・ダイニングは家族にとって快適な空間になります。
適度な距離を保てる「中庭」

中庭は、世帯間の距離感を調節するのに便利な空間です。家の真ん中に中庭を設けると、中庭を囲むような回遊動線ができます。中庭に向かって窓を設けると、視線が自然に中庭に向かい、互いに見守り合うことができるでしょう。長い会話でなくても、目が合えば気軽に挨拶を交わせます。
とくに完全分離タイプの間取りは、共有部分がないためコミュニケーションをとる機会があまりありません。もう少しコミュニケーションを増やしたいとき、世帯と世帯との間に中庭があれば、食事や団らんの場として活用できます。
さらに中庭は、小さな子どもの安全な遊び場として活躍したり、自宅でリモートワークをする際の気分転換をしたりする場所としても最適です。
高齢になっても安心「バリアフリー」

2世帯住宅を計画する際は、両家族が高齢になったときを見据えてバリアフリーを検討しましょう。歳を重ねると徐々に転倒しやすくなったり、階段の上り下りが厳しくなったりするなど、これまでの間取りに暮らしにくさが出てくることが想定されます。「今はまだ必要ないから」と言ってバリアフリー化を後回しにしていると、将来本当に必要になったときに大規模なリフォームをすることになりかねません。
バリアフリー化を進めるポイントとしては、段差解消や転倒防止対策が不可欠です。また、車椅子を利用する可能性を考慮し、通路幅を十分に確保することをおすすめします。車椅子で移動する場合は、たった少しの段差でも乗り越えるのが困難です。手すりは段差が大きい階段や玄関をはじめ、通路やトイレ、浴室などに付けておくと良いでしょう。浴室やトイレの面積に余裕を持たせておくと、将来介助する側も楽になります。
土地の面積が広い場合は、階段を使わなくても生活できるよう平屋建てにするのも手です。面積が限られている場合は、親世帯だけでも1階で生活が完結できるのが望ましいでしょう。
一人の時間を過ごせる「書斎」

2世帯の共有部分に書斎を設けると、何かと重宝します。賑やかな雰囲気が2世帯住宅の魅力ですが、たまには一人で静かに過ごしたいときが出てくるかもしれません。リビングの近くに書斎を設ければ、家族の存在を感じながら一人の時間を過ごせます。
プライバシーを確保するための用途のほかにも、書斎はさまざまな使い方ができます。本来の機能であるリモートワークスペースや、子どもたちの勉強部屋としてはもちろん、コロナ禍においては、万が一罹患した場合の自宅療養スペースにもなります。
書斎の広さは、2.5畳〜4.5畳程度が目安です。面積に余裕がない場合は、2畳程度でも書斎を作ることはできます。少ない面積で作れるため、プライバシーを確保したい方は書斎の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
子どもがのびのび遊べる「防音材」

2世帯が暮らす間取りでは、音に関するトラブルに注意しなければなりません。完全分離や一部共有タイプでは1階が親世帯、2階が子世帯で分けるのが一般的です。しかし、2階に子世帯が暮らしていると、子どもが走り回る音が1階に響いて、親世帯がうるさいと感じることがあります。とくに就寝している時間帯に音が響くと、気になって眠れないということもあるでしょう。親世帯からクレームがなくても、子どもを遊ばせるときに気を遣ってしまうこともおおいにあり得ます。
音のトラブルを予防するには、床の防音対策が必要です。床を二重に張る二重床という方法は、遮音性を高める効果が期待できます。さらに床やマットの材料は、遮音性や吸音性を意識して選ぶと良いでしょう。壁を伝って音が響く場合もあるため、壁も遮音パネルなどにするとより安心です。
行き来するのに便利「インターホン」

完全分離タイプでは、親世帯と子世帯で生活空間が完全に分かれています。親子といえども、なにも言わず生活空間に入ってこられると抵抗を感じる方は多いでしょう。お互いの生活空間に入るときにインターホンがあれば、ワンクッション置くことができます。
最新のインターホンはさまざまな機能を備えていて、2世帯で使える機能も満載です。たとえば世帯間で室内通話ができたり、子世帯が不在時に外部からの通話を親世帯へ転送できたりする商品があります。ちょっとした用事だけであればインターホンごしに用件だけを伝えれば済むでしょう。
まとめ

2世帯住宅は、家事や育児、コストの負担をシェアできるメリットがあります。一方で、お互いが気を遣わず快適に暮らすためには、最適な間取りタイプを選び、必要な機能を取り入れていくことが重要です。ただ、いざ家作りを進めるとなると、「予算内に収まるか不安」「建築会社の選び方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
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