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入院にかかる平均費用は?
金額相場から治療の内訳、自己負担を減らす方法まで解説

2023/05/02
(提供元:CyberKnot

不測の事態は突然起こります。病気やケガによる入院は人生においても大きな出来事であり、まとまった金額の支出も伴うものです。この記事では入院費用の平均金額に関する調査データを紹介し、費用内訳や自己負担額を抑える方法について解説します。

入院費用の平均額はいくら?

入院費用の平均額はいくら?

入院時にかかる費用の相場は、平均いくらなのでしょうか。まずは、生命保険文化センターによる調査データを紹介します。

公益財団法人生命保険文化センター:「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」調査結果 第Ⅱ章 医療保障

1日あたりの入院費用平均

この調査によると、過去5年に入院して自己負担費用を支払った人の入院費用は、平均2万700円でした。
入院期間別に見ると、1年以内の人で平均1万9,400円、1年超から3年以内で平均2万1,600円、3年超から5年以内では2万700円です。

1万〜1万5,000円が最多

1日あたりの入院費用を金額別で見ると、最も多かったのが1万〜1万5,000円と回答した人で、全体の23.3%でした。次いで2万〜3万円未満が16%、5,000円未満が13.8%となっています。

入院したときの自己負担費用の平均

入院期間中にかかる費用の相場は、合計でいくらなのでしょうか。
高額療養費制度の利用有無に関わらず、入院経験のある人が支払った入院費用は平均19万8,000円でした。
費用分布を見ると、10万〜20万円未満が33.7%と最も多く、次いで5万〜10万円未満の26.5%、20万〜30万円未満の11.5%となっています。

入院期間ごとの自己負担額は?

入院期間別の回答では、入院日数に比例して入院費用総額も増える傾向が見られます。

入院期間別の自己負担総額は、以下のとおりです。

  平均
全体 19万8,000円
5日未満 8万7,000円
5~7日 15万2,000円
8~14日 16万4,000円
15〜30日 28万4,000円
31〜60日 30万9,000円
61日以上 75万9,000円

※データを元に筆者が作成

入院費用の主な内訳

入院費用の主な内訳

入院したら、どんな種類の費用が発生するのでしょうか。入院費用の主な内訳は、次のとおりです。

入院基本料

入院基本料とは、入院時にかかる1日あたりの料金を指します。主な内訳としては、診察料や看護費用、部屋代などが挙げられます。
入院基本料は、公的医療保険の適用対象です。そのため、かかった入院基本料の3割が自己負担額になります。

治療費

病気・ケガの治療で支払う治療費も入院時にはかかります。治療費には検査や注射、点滴、投薬、リハビリ費用などが含まれます。
治療費も公的医療保険の対象になるため、自己負担額は3割です。

先進医療の治療費は全額自己負担

ただし、最先端の技術を用いて治療を行う先進医療や、厚生労働省の承認を受けていない自由診療の治療費は全額自己負担となります。

差額ベッド代

一般病棟の大部屋以外の部屋を希望する場合、差額ベッド代がかかります。差額ベッド代は、個室や2〜4人部屋など、病室の種類により料金が変わります。

食費

入院中の食費は全額自己負担です。現在、入院時の食事代(標準負担額)は1食460円と定められています。ただし、住民税非課税世帯については、この標準負担額が軽減されます。

日用品・消耗品

入院中に使用する消耗品も、全額自己負担となります。費用の種類として、着替えやスキンケア用品、入浴セット、飲み物などがあります。
入院が長引く場合、これらの出費がかさんで入院費用が増えてしまうケースも多いのです。

交通費・宿泊費

入院患者の家族が病院に通う費用も考慮する必要があります。付き添いや荷物の差し入れ、お見舞いなど、家と病院を往復する交通費も全額自己負担です。
家から病院が遠い場合、家族は特急列車を使ったり、ホテルなどの宿泊施設を利用したりすることもあるでしょう。こうした交通費や宿泊費負担も発生します。

入院費用の自己負担額はどう抑える?

入院費用の自己負担額はどう抑える?

自分や家族が入院することになったとき、まとまった金額を入院費用として準備できるか不安な人もいるのではないでしょうか。あらかじめ入院費用の自己負担額を抑える方法を知っておくと安心です。

高額療養費制度を利用する

代表的な方法として、高額療養費制度があります。
高額療養費制度とは、公的な保障制度です。国民健康保険など、公的な医療保険に加入している人が対象になります。
1ヶ月(1日から月末)に発生した医療費について、年齢や収入額に応じた自己負担限度額を超えた場合に超過分が還付されます。役所で申請すると後日、還付金が戻る仕組みです。

限度額適用認定証をあらかじめ準備

高額療養費制度を利用する場合、事前に限度額適用認定証を取得しておくと便利です。この認定証を医療機関で提示することで、会計の際に自己負担限度額まで支払えばよくなります。
通常、高額療養費制度では、申請後に還付金を受け取る流れです。入院費用の支払い時には一旦、自己負担限度額を超える請求額を支払う必要があります。
できるだけ支払う金額を抑えたい場合は、限度額適用認定証を取得しておきましょう。

高額療養費受領委任払い制度を適用することも

自営業やフリーランスで働く人は、国民健康保険に加入しています。国民健康保険には「高額療養費受領委任払い制度」があります。
高額療養費受領委任払い制度とは、限度額適用認定証を持っていなくても、自己負担限度額内の窓口支払いに抑えられる仕組みです。
ただし、病院や自治体により対応が異なります。利用できるか事前に確認しておきましょう。

高額療養費貸付制度を上手に活用

限度額適用認定証の手続きが間に合わない場合、高額療養費貸付制度を活用するのも一手です。
高額療養費貸付制度とは、本来、高額療養費制度により還付されるお金のうちおよそ8割を無利息で借りられる制度です。国民健康保険の場合は、およそ9割の無利息貸付を利用できます。
借りたお金は後日、高額療養費の還付金で相殺されるため、返済の必要はありません。また、還付残金の2割(国保は1割)は後日、受け取れます。

医療費控除の手続きをする

その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が世帯全体で10万円を超過した場合、医療費控除を受けられます。総所得金額等が200万円未満の場合には、総所得金額等の5%を超えた場合に適用されます。
具体的には、超過した医療費の一部を課税対象となる所得額から差し引くことが可能です。支払う税金額を減らすことで、医療費負担の軽減を図ります。医療費控除の手続きは、確定申告時に行います。

傷病手当金を申請する

会社に勤めている人で入院による休職で十分な報酬が得られない場合には、傷病手当金を申請できます。入院費用を直接的に減らすことはできませんが、費用負担を軽減する方法として有効です。
傷病手当金は業務外の事由による病気やケガで会社を休んだ場合、休業期間に給与を受けられなかった人に支給されるお金です。受給するにはいくつかの条件があります。当てはまる場合は活用しましょう。
全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

まとめ

入院費用の相場を踏まえ、日頃から医療費負担について準備しておきましょう。公的保険制度や、民間の保険会社が提供する医療保険や所得保障保険などを利用してみてください。
入院費用以外にも、入院前後の通院や世帯収入の減少など、複数の視点で捉えることが欠かせません。銀行や保険会社のライフプランシミュレーションなどで、将来の見通しを立てておきましょう。



著者プロフィール

著者 もろふし ゆうこ

FP技能士2級、証券外務員会員一種

大手証券会社、銀行の個人営業職を経験した後、26歳で独立系ファイナンシャルプランナーとして独立。個人を対象に相談業務やセミナー・講演会の講師業、各種メディアへ出演し情報提供を行う。現在はFPの知識を活かした執筆活動を中心に活動している。

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