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住宅ローンの一括返済は得する?
メリットや適切なタイミング、注意すべきこととは

2023/05/17
(提供元:CyberKnot

ボーナスや退職金などのまとまった収入があれば、住宅ローンの一括返済を考えることも多いでしょう。住宅ローンの一括返済には、メリットとデメリットがあります。焦って実行するのではなく、タイミングを考えて行いましょう。本記事では住宅ローンの一括返済を迷っている人のために、タイミングや注意点を説明します。

住宅ローンを一括返済するメリット

住宅ローンを一括返済するメリット

住宅ローンの一括返済とは、残っている住宅ローンの全額をまとめて返済し、ローンを完済することです。手続きの流れは金融機関によって異なりますが、インターネットでも手続きできることが多くなっています。まずは、住宅ローンの一括返済にはどんなメリットがあるのかを確認しておきましょう。

ローンの総返済額を減らせる

住宅ローンを一括返済すれば、本来払う予定だった利息を払わずにすみます。これにより、住宅ローンの総返済額を減らせます。

払う予定だった利息の支払いがなくなる

住宅ローンは、元本に利息を加えて返済しなければなりません。利息とは金融機関に支払う手数料のことで、お金を借りている期間中ずっと発生します。全額を返済すれば、完済日以降の利息は発生しません。一括返済により、金融機関にトータルで支払う金額を減らせます。

月々の負担をなくせる

住宅ローンの支払いは、家計の中でも大きな割合を占めるものです。一括返済すれば毎月の負担がなくなり、家計に余裕ができます。

自宅を失うリスクもなくなる

家計が苦しくても、住宅ローンは毎月払わざるを得ません。もし住宅ローンの返済ができなかった場合、自宅を競売にかけられてしまう可能性もあります。

一括返済すれば、ローン滞納により自宅を失うリスクもなくなります。精神的に大きな安心感が得られるでしょう。

保証料が戻ってくることがある

住宅ローンを利用する場合、保証会社の保証を受けなければならないケースが多くなっています。保証会社が付いていれば、保証料がかかります。一括返済すれば、既に払った保証料が返還されることがあります。

返金されるケース

保証料の支払方法には、借り入れ時に一括で払う方法(外枠方式)と、金利に上乗せして払う方法(内枠方式)があります。外枠方式の場合には、一括返済により、残りの返済期間に対応する保証料が返金されます。

住宅ローンの一括返済で注意すべきこととは?

住宅ローンの一括返済で注意すべきこととは?

住宅ローンの一括返済は、メリットばかりではありません。一括返済のデメリットや注意点についても知っておきましょう。

手元に資金を残しておく

預貯金を全部使って住宅ローンを一括返済すると、手元の資金がなくなってしまいます。この場合、一括返済後に急な出費が発生したら困ってしまうでしょう。これから先の出費に備え、貯蓄を残しておくことも重要です。

一部繰上返済という選択肢もある

ある程度の資金があるけれど、一括返済すれば資金がなくなってしまう場合、一部繰上返済も検討してみましょう。

一部繰上返済とは、ローン残高の一部を前倒しで返済することです。繰上返済により元金を減らせますが、元金に対応する利息も減らせるため、総返済額を圧縮できます。

一括返済には手数料がかかる

住宅ローンを一括返済すれば、支払う利息を減らせる一方で、一括返済の手数料が発生します。一括返済手数料は、金融機関や手続き方法によって異なります。無料の場合もありますが、1万~5万円程度かかるケースが多くなっています。

残りの返済期間が短い場合には注意

返済期間が残り少ない場合、一括返済により減らせる利息より手数料が上回る可能性もあります。手数料も考慮して、一括返済のメリットを判断しましょう。

抵当権抹消登記が必要

住宅ローンは、住宅を担保にお金を借りる契約です。住宅ローン契約時には、住宅に金融機関または保証会社の抵当権が設定され、抵当権設定登記が行われます。住宅ローンを完済したら抵当権は消滅しますが、抵当権の登記が自動的に消えるわけではありません。完済後に抵当権抹消登記をする必要があります。

抵当権抹消登記の流れ

住宅ローンを完済後、金融機関から抵当権抹消登記の必要書類が届きます。登記申請書を作成し、必要書類と一緒に管轄の法務局に提出するという流れになります。

登記申請書の書式や注意事項は、法務局のホームページで参照できます。抵当権抹消登記手続きは、司法書士に依頼することも可能です。

参考:法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)

抵当権抹消登記の費用

抵当権抹消登記の申請時には、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。土地と建物に抵当権が設定されている場合、登録免許税は2,000円です。

なお、登記手続きを司法書士に依頼した場合には、別途司法書士の報酬も発生します。

住宅ローンの一括返済に最適なタイミングは?

住宅ローンの一括返済に最適なタイミングは?

住宅ローンの一括返済はメリットばかりではないため、タイミングを考えて行わなければなりません。住宅ローンの一括返済におすすめの時期について説明します。

十分な貯蓄がないなら焦って一括返済しない

最も重要なのは、一括返済したら貯蓄がなくなる場合には、無理して一括返済しないことです。「返済の負担がなくなればよい」というものではありません。急な支出に対応できるよう、ある程度の貯蓄は確保しておく必要があります。

退職金で一括返済した方がよい?

退職金が出たときに住宅ローンの一括返済を考える人は多いでしょう。毎月の返済負担を減らせても、老後の資金がなくなってしまうと不安です。もしお金が足りなくなっても、高齢では借金も難しくなります。

住宅ローンは他のローンよりも低金利であるため、無理して返さない方がよいとも考えられます。ライフプランや資産状況をよく考えて判断しましょう。

教育費などの出費が多い時期は避ける

未成年の子どもがいる場合には、教育費の出費が大きくなります。教育費の目途が立っていない場合、住宅ローンを一括返済するのは避けた方が無難です。

教育ローンは住宅ローンより高金利

教育費が足りなくなったら、教育ローンの利用を考えるかもしれません。教育ローンの金利は、一般的に住宅ローン金利より高くなっています。これから教育費が必要な人は、住宅ローンの一括返済よりも、教育費に優先的に貯蓄を回した方がよいでしょう。

住宅ローン控除が受けられる間は注意

住宅ローンを一括返済すると、住宅ローン控除が受けられなくなります。住宅ローン控除の金額は大きいため、控除が受けられる期間中の一括返済には慎重になりましょう。

住宅ローン金利により損得が分かれる

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%の金額が税金から控除される制度です。条件を満たしていれば、13年間(既存住宅は10年間)控除が受けられます。

一括返済で迷ったら、完済により減らせる利息と住宅ローン控除で減らせる税金を比較して考えましょう。住宅ローン金利が0.7%未満なら、一括返済の利息軽減効果よりも、住宅ローン控除による税額軽減効果の方が大きくなります。

まとめ

住宅ローンを一括返済すれば、トータルでの返済額を減らせます。ただし、一括返済により貯蓄がなくなるようなら、焦って返済しないようにしましょう。住宅ローンの一括返済は、メリットとデメリットを確認し、タイミングを考えて実行することが大切です。



著者プロフィール

著者 森本 由紀

AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。

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