家の住宅ローンが払えない!
返済できないときに知っておきたい3つの対応方法について
収入の減少などで家計が苦しくなると、住宅ローンを滞納してしまう可能性があります。返済期間中に住宅ローンが払えなくなると、住んでいる家やローン残高はどうなるのでしょうか。今回は、住宅ローンが払えないときの対応方法を3つ紹介します。
家の住宅ローンが払えない理由
家の住宅ローンが払えない理由は人それぞれです。しかし、大きくは以下の3つに分けられます。まずは、住宅ローンが払えなくなる理由を確認していきましょう。
収入が減ってしまった
住宅ローンを借りたときより収入が減ってしまうと、返済できなくなる可能性があります。収入が減少する主な要因をまとめました。
・病気・ケガ
・リストラ
・転職
・離婚
・介護
突然の病気やケガで長期間働けなくなると、通常は収入が減少します。リストラや転職によって仕事が変わると、前職に比べて収入が下がるケースもあります。また、離婚や介護離職も世帯収入の減少要因です。
支出が増えて家計が苦しくなった
住宅ローン借入時よりも支出が増えて、家計が苦しくなってしまうパターンです。子育て世帯は、子どもが大きくなるにつれて教育費の負担が増える傾向にあります。家計をうまく管理できず、無駄な出費が増えてしまうと、住宅ローンの返済に影響を与えるでしょう。
返済計画を立てていなかった
住宅ローンを借りる前に返済計画を立てていないと、途中で返済が苦しくなることがあります。住宅ローンは返済期間が長いため、無理な借り入れをすると予期せぬ収入減や支出増に対応できません。退職後もローンが残ってしまうと、返済が困難となる恐れがあります。
住宅ローンを滞納するとどうなるのか
住宅ローンが払えなくなり、滞納するとどうなるのでしょうか。すぐに住めなくなるわけではありませんが、滞納が続くと最終的には家を売却することになります。
具体的には、以下のような流れで手続きが進められます。
督促状や催告書が届く
住宅ローンを滞納すると、金融機関から督促状や催告書が届きます。
督促状と催告書の違いは、以下のとおりです。
・督促状:滞納している債務の支払いを促す請求書
・催告書:滞納している債務の最後通告の意味がある請求書(法的措置に関する記載あり)
まずは督促状が数回届きます。督促状を無視して連絡や支払いをしないと、その後は催告書が届くのが一般的な流れです。催告書には最終通告の意味があり、最終支払期限(期限の利益の喪失も含む)や法的措置に関する記載があります。催告書は内容証明で郵送されるため、債務者は「書類が届いていない」と主張できません。
☆期限の利益の喪失とは、住宅ローンを分割返済する権利を失うことです。
残高の一括返済を求められる
催告書には残高の一括返済を求める内容が記載されています。
一括返済の請求額には、債務残高に利息や遅延損害金が加算されます。滞納したことが信用情報に記録され、新たな借入が難しくなるのもデメリットです。
保証会社を利用している場合は、保証会社が代わりに返済し、その後は保証会社から債務者に請求されます。
自宅に住めなくなる可能性がある
さらに滞納を続けると、金融機関(保証会社)は抵当権を実行します。抵当権が実行されると、担保とした住宅は差し押さえられます。競売が開始(進行)されるため、自宅に住み続けるのは難しいでしょう。
住宅ローンを払えないときの3つの対応方法
住宅ローンの返済が苦しいと感じたのであれば、収入アップや家計改善に取り組み、返済資金を確保する必要があります。それでも払えない場合は、以下3つの対応方法を検討しましょう。
金融機関に相談する
住宅ローンが払えなくなる前に、早めに金融機関に相談することが大切です。担当者に相談すれば、返済条件の見直し(リスケジュール)に応じてくれるかもしれません。
リスケジュールには、以下のような選択肢があります。
・借入期間の延長
・元金返済措置(一定期間)
借入期間が延長されれば、1回あたりの返済額を抑えることが可能です。期間は限定されますが、元金返済措置を提案してもらえるケースもあります。元金返済措置とは、一定期間は元金を返済せず、利息のみを返済することです。
住宅ローンの借り換えを検討する
金利が高い時期にローンを契約している場合は、住宅ローンの借り換えによって返済額の軽減が期待できます。
住宅ローンの借り換え効果を得られる目安は、以下のとおりです。
・借り換え前後の金利差が年利1%
・借入残高が1,000万円以上
・残りの返済期間が10年以上
住宅ローンの借り換えでは、一括返済手数料や事務手数料といったコストがかかります。返済軽減効果がコストを上回るなら、借り換えるメリットがあります。上記の目安に当てはまる場合は、住宅ローンの借り換えを検討しましょう。
家の売却を検討する
住宅ローンを払えない場合は、家を売却するのも選択肢です。売却価格によっては、住宅ローンを完済できます。不動産会社に自宅の査定を依頼し、高く売れそうなら仲介を依頼しましょう。売却代金でローンを完済できない場合は、金融機関の合意を得て任意売却する方法もあります。
引っ越したくない場合は、家賃を払うことで売却した自宅に住み続けられる「リースバック」というサービスもあります。
住宅ローンを払えないときにやってはいけないこと
住宅ローンを払えなくなったときに、やってはいけないことがあります。最悪の事態を避けるためにも、以下の2つは絶対に避けましょう。
何もせずに放置する
住宅ローンを払えなくなっても、何もせずに放置するのは避けましょう。住宅ローンを滞納した際に金融機関からの連絡を無視すると、残高の一括返済を求められます。最終的には競売にかけられ、自宅を手放すことになるかもしれません。
「返済が苦しい」と感じた段階で早めに金融機関に相談すれば、リスケジュールに対応してもらえる可能性があります。返済負担が軽減され、これまで通り自宅に住み続けられるかもしれません。
キャッシングやカードローンでお金を借りる
住宅ローンが払えなくなると、キャッシングやカードローンでお金を借りることを考える人もいるでしょう。高金利のキャッシングやカードローンを借りると、一時的にはしのげるかもしれませんが長期的には返済負担が増えてしまいます。
家計改善や返済条件の見直しに取り組み、それでも返済のめどが立たない場合は、自宅を手放すことを視野に入れましょう。
まとめ
住宅ローンを払えなくなった場合は、早めに金融機関に相談することが大切です。借入期間の延長など、返済条件の見直しに応じてもらえる可能性があります。状況によっては、ローンの借り換えや自宅の売却も選択肢です。ひとりで悩まず、誰かに相談することを心掛けましょう。
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。