糖質制限ダイエットは何を食べる?
おすすめの食事やNG食材を解説
ダイエット方法として広く定着してきた糖質制限ダイエットですが、何をどれだけ食べたらよいか知っていますか?過度な糖質制限には、健康面へのデメリットもあります。この記事では、糖質制限で健康的にダイエットするための食事のポイントと、避けたい食品について解説します。
糖質制限ダイエットとは?
質制限ダイエットとは、カロリーのある栄養素である糖質・脂質・たんぱく質のうち、糖質を控えるダイエット方法のことです。「低糖質ダイエット」「低炭水化物ダイエット」などとも呼ばれます。
「糖質制限食」の糖質が何グラムなのかについては、明確な定義はありません。よく知られているやり方には、1日の糖質摂取量を20~40gに制限するものと、70~130gに制限する「ロカボ」と呼ばれるものがあります。
糖質制限の食事でダイエットできる理由
糖質を減らした分、食事全体のカロリーが減るため、減量につながります。
カロリーを持つ栄養素のうち、糖質を減らすことがダイエットに特に効果的というわけではありません。同じカロリーの食事であれば、糖質・脂質・たんぱく質の割合が異なっても、減量効果は同じであることが知られています。
糖質に着目するメリットは、ルールとして分かりやすく、実践が始めやすいことです。ご飯やパン・麺などの主食の量を調節すればその他の制限は少なく、食べていいものも幅広いため、取り組みやすいといえるでしょう。
過度な糖質制限にはデメリットも
手軽に実践できる糖質制限ですが、過度な制限にはデメリットもあります。糖質制限を行う場合は、以下のデメリットを踏まえ、健康を害さないやり方で実践することが大切です。
エネルギー不足によるイライラ、頭痛
糖質は、体のエネルギー源として必要な栄養素の一つです。特に、脳の活動には必須とされています。不足して血糖値が下がりすぎると、イライラや頭痛などの症状にもつながります。
リバウンドの恐れ
糖質を極端に制限した食事では、食後に血糖値が十分に上がらないため満腹感を得にくくなります。ルールとしては実践しやすくても、満腹にならない食事を長く続けていくのは難しいでしょう。
実際に糖質制限を始めても、続けていくうちに徐々に制限がゆるくなり、元の食事に戻っていくことも知られています。継続できないと、一度やせたとしてもリバウンドを引き起こします。
腸内環境の乱れ、便秘
糖質の多い主食や根菜類などの食材には、食物繊維も多く含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、腸を刺激してお通じを助ける働きがあります。糖質制限によって食物繊維の摂取量が減ると、腸内環境が乱れ、便秘になる可能性があるのです。
長期的な健康への影響
毎日の食事からある程度の糖質をとることは、長期的な健康を保つために必要です。
1日に摂取したカロリーのうち、50~55%を糖質からとった場合がもっとも長生きだったという研究報告があります。これは1日に1800kcalとる人では、糖質を225~248g摂取する計算です。
糖質の摂取量がこれより多くても少なくても、健康を害するリスクが高まります。
糖質制限でダイエットするための食事のポイント
リバウンドや健康へのデメリットを避けながら減量するため、糖質は極端な制限をせず、適度に食べるよう意識して行うことをおすすめします。
ここでは、糖質を制限して健康的にダイエットするには何を食べるとよいか、基本的なやり方を解説します。
主食は小盛りにする
糖質制限の基本は、主食の量を調節することです。体格によって個人差がありますが、ご飯は小盛り(100~150g)パンは6枚切りの食パン1枚程度を目指すとよいでしょう。
現在の食事でご飯を何グラム食べているか把握し、それより量を減らすだけでも減量効果は見込めます。大盛りは控え、ラーメンとチャーハンなどの炭水化物の重ね食いも避けましょう。
白米に玄米、もち麦、雑穀を加える
玄米やもち麦、雑穀などはつぶつぶ感があり、よく噛んで食べることで満腹感を上げられます。また食物繊維も摂取できるため、便秘予防にも役立つでしょう。
ただし、玄米・もち麦・雑穀にも糖質が含まれています。そのため、白米に加えたとしても食べる量は増やさず、全体で小盛りにしましょう。
メインのおかずを増やさない
肉や魚、卵、大豆製品などのおかずを多く食べると、たんぱく質や脂質の摂取量が増え、摂取カロリーも高くなってしまいます。特に脂質は、同じ重さの糖質やたんぱく質の2倍以上のカロリーがあります。食事全体のカロリーに影響しやすいため、摂取量には注意しましょう。
1食のたんぱく質源の量は、自分の手のひらと同じ大きさが目安です。目分量でよいので、ルールとして意識しながら食べる量を決めましょう。
野菜、海藻、きのこ類のおかずを増やす
野菜、海藻、きのこ類は基本的に糖質が少なく、カロリーも低い食材です。積極的にとり、満腹感を増すのに役立てましょう。食物繊維が摂取できるため、便秘予防にもなります。
野菜類の量は1食に120g以上、両手に一杯分が目安です。カット野菜や冷凍野菜、コンビニのサラダやお惣菜なども活用するとよいでしょう。ブロッコリー、枝豆、オクラ、水菜は特に食物繊維が多いためおすすめです。
ゆっくりよく噛んで食べる
何を食べるにしても、よく噛むことが大切です。満腹中枢を刺激し、満腹感を得やすくなります。また消化を助け、便秘対策にも役立ちます。
目安として、1口30回を意識して食べましょう。食材を大きめに切る、一口ごとに箸をおく、一口の量を少なくする方法もよく噛みやすくなるため、おすすめです。
水分をとる
水分を十分にとることも便秘予防に大切です。汗や尿などから失われる水分を補うには、1日に1.2L以上の摂取が必要とされています。水やお茶などの無糖の飲み物を、こまめにとりましょう。
糖質制限ダイエットで注意すべき食材・料理
ご飯やパンなどの主食以外にも、糖質の多い食材や料理があります。糖質制限中は控える必要がありますが、禁止すると反動で食べ過ぎてしまう恐れもあります。これまでより量や頻度を控え、付き合い方を見直しましょう。
ここでは、糖質が多く含まれる食べ物と、量を控えるための対策を紹介します。
お菓子、ジュース、砂糖入りの飲み物
ダイエット中は、お菓子・飲み物で合わせて1日100kcal程度に抑えるのがおすすめです。何を何グラムとると100kcalになるか、以下のリストを参考にしてみてください。
約100kcal分のお菓子・飲み物
- チョコレート…20g(板チョコ1/3)
- ポテトチップス…20g(1/3袋)
- せんべい…25g(1枚)
- アイスクリーム…50g(ミニカップ1/2個)
- オレンジジュース・りんごジュース…200mL
- 缶コーヒー(ミルク・砂糖入り)…250mL
- スポーツドリンク…500mL
出典:文部科学省「食品成分データベース」
糖質ゼロ・ゼロカロリーにも要注意
お菓子や飲み物を、糖質ゼロの商品に置き換えるのも手です。ただし糖質ゼロのお菓子には脂質が多く含まれるものもあり、必ずしもカロリーが低いわけではないため、気をつけて選びましょう。
また、ゼロカロリー甘味料は、体重コントロールに効果的ではないということも明らかになっています。砂糖が入っていないからといって、食べすぎや飲みすぎには注意が必要です。
揚げ物や中華のあんかけ料理
揚げ物の衣、あんかけのあんにも糖質が多く含まれます。またこれらの料理は油も多く使うため、カロリーも高いのが特徴です。 食べる頻度を今より減らしましょう。何を食べるか迷った際は、焼き料理や蒸し料理を選ぶのがおすすめです。
砂糖の多い料理
見落としがちなのが、調味料に含まれる糖質です。砂糖以外にも、はちみつ、みりんなどにも糖質が含まれています。使いすぎを避け、薄味でもおいしく食べられる料理の工夫を心がけましょう。以下の対策も参考にしてみてください。
料理を薄味にする工夫
- こしょうやカレー粉などの香辛料を使う
- しょうがやしそ、みょうがなどの薬味を入れる
- だしを効かせる
- オリーブオイルやごま油を数滴加えて風味づけする
ごぼう、れんこん、かぼちゃ、いも類
糖質が多く含まれるため、野菜がこれらの種類ばかりに偏ると食事全体のカロリーが高くなる原因になります。先ほど紹介したその他の野菜も取り入れ、さまざまな種類の野菜を食べるとよいでしょう。
まとめ
糖質制限は分かりやすく取り組みやすい方法ですが、過度な制限は逆効果になる可能性や、健康へのリスクもあります。糖質を適量とったうえで、肉や魚などのたんぱく質源、野菜・海藻・きのこを組み合わせ、バランスよく食べるよう心がけましょう。
大学院修士課程修了後、製薬会社での勤務を経て、特定保健指導に従事。併せてフリーのライターとして健康・栄養コラムを執筆している。またパーソナル栄養相談やレシピ開発、ラジオ出演など幅広く活動。食事に悩む時間や精神的なストレスを減らし、前向きに暮らせるようサポートしている。