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NISAとiDeCoの違いを解説!
利用する目的に合わせた選び方も紹介

2023/10/03
(提供元:CyberKnot
NISAとiDeCoの違いを解説!利用する目的に合わせた選び方も紹介

投資をしたことのない人には、「NISAとiDeCoの違いがわからない」という悩みがあるかもしれません。NISAとiDeCoはともに資産形成を支援する制度ですが、目的によって使い分ける必要があります。今回はNISAとiDeCoの違いと、目的別の選び方を解説します。

NISAとiDeCoの概要

NISAとiDeCoの概要

最初にNISAとiDeCoがどのような制度なのかを解説します。

2024年から新しくなるNISA

NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託での運用益が非課税になる制度です。現行は成年者を対象とする一般NISAとつみたてNISA、未成年者を対象とするジュニアNISAの3種類があります。NISAは2024年から制度が抜本的に変わり、一般NISAとつみたてNISAが統合されます(ジュニアNISAは終了)。

現行NISAと新NISAの違い

現行NISAと新NISAの主な違いは、以下のとおりです。

● 一般NISAとつみたてNISAが成長投資枠とつみたて投資枠に引き継がれ、併用が可能に

● 期限のある制度から恒久的な制度へ

● 非課税期間が撤廃され、無期限に

● 非課税投資枠の大幅な引き上げ

● 売却して空いた非課税枠が復活し、買付が可能に

● 非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円まで)が新設

※商品を売却して空いた枠で新規の買付は可能ですが、買付できるのは翌年以降で、1年間の投資枠の範囲内となります。

iDeCoは公的年金の上乗せの制度

iDeCo(個人型確定拠出年金)は加入者が掛金を自分で運用し、60歳以降に受け取る任意加入の私的年金制度です。公的年金の上乗せの自助努力を支援するため、掛金が全額所得控除の対象になるなどの税制優遇を受けられます。
ただし、60歳になるまで資産の引き出しができない点に注意が必要です。iDeCoの受給開始時期は、60歳から75歳になるまでの間で選べます。

NISAとiDeCoの違いを比較

NISAとiDeCoの違いを比較

ここでは、NISAとiDeCoの違いを比較します。なお、NISAに関しては2024年(令和6年)からの新NISAを比較対象とします。

NISAとiDeCoの比較
新NISA iDeCo
最低投資金額 金融機関ごとに異なる 毎月5,000円から
年間投資上限額 つみたて投資枠:120万円
成長投資枠:240万円
合計:360万円
自営業者等:81万6,000円
会社員・公務員:14万4,000円~27万6,000円
専業主婦(夫):14万4,000円
投資対象 つみたて投資枠:長期・分散・積立投資に適した一定の投資信託
成長投資枠:上場株式・投資信託など(除外される商品あり)
定期預金・保険商品などの元本確保型
投資信託
(運営管理機関が選定)
税制優遇 運用益は非課税 ・運用益は非課税
・掛金は全額所得控除の対象
・受け取り方法ごとに所得控除の対象
資産の引き出し 可能 原則として60歳まで不可

出典:金融庁「新しいNISA」・国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」より筆者作成

いくらから始められる?

新NISAの最低投資金額は金融機関ごとに決められており、つみたて投資枠(つみたてNISA)であれば月1,000円から始められる金融機関もあります。これに対し、iDeCoは毎月5,000円からと決められています。いずれにしても、まとまったお金がなくても始められる投資方法です。

1年間に投資できる金額は?

新NISAで1年間に投資できる最大の金額は、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円の合計360万円です。現行のNISAはつみたてNISAが年40万円まで、一般NISAが120万円までとなっています。
一方、iDeCoの年間の掛金上限は加入者の資格によって、以下のようになっています。

● 自営業者等: 81万6,000円

● 勤務先に企業年金がない会社員: 27万6,000円

● 企業型DCのみに加入している会社員: 24万円

● DBと企業型DCに加入している会社員: 14万4,000円

● 公務員: 14万4,000円

● 専業主婦(夫): 27万6,000円

投資対象は?

NISAとiDeCoのそれぞれの投資対象は、以下のとおりです。

NISAの投資対象

NISAの投資対象は、つみたて投資枠と成長投資枠で異なります。つみたて投資枠の投資対象は金融庁の基準を満たす投資信託で、現行のつみたてNISAの対象商品と同様です。一方、成長投資枠は上場株式や投資信託が対象となっています。
上場株式については、整理・監理銘柄は除外されます。また、投資信託については2,000本程度に絞り込まれ、2023年12月までに対象商品が順次公表される予定です。

iDeCoの投資対象

iDeCoには運営管理機関(窓口となる金融機関)ごとに商品ラインアップが決められており、必ず定期預金のような元本確保型が用意されています。元本確保型以外は投資信託で、加入者のリスク許容度に合う商品が選べるようになっています。

税の優遇は?

通常、投資の運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISAもiDeCoも売却益や分配金には課税されません。
iDeCoはそれだけでなく、掛金が全額所得控除の対象になります。たとえば、年収500万円の会社員が毎月1万円の積立をすると、所得控除によって1年間で所得税・住民税が2万4,000円軽減されます(iDeCo公式「かんたん税制優遇シミュレーション」より)。また、受給時も一時金で受け取る場合は退職所得控除の対象になり、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。iDeCoは節税効果を享受しながら、老後の資金準備ができる制度です。

途中で引き出せる?

NISAの資産はいつでも好きなときに引き出せます。現行NISAでは引き出したあとの非課税枠を再利用できませんでしたが、新NISAでは枠が復活して再度の買付ができるようになります。
一方、iDeCoの年金資産は60歳までは引き出せません。そのため、家計に合った無理のない掛金額の設定が必要です。

NISAとiDeCo、自分に合った制度の選び方

自分に合った制度の選び方

これまでの内容を踏まえ、iDeCoとNISAの目的別の選び方を解説します。

まとまった資金を運用したい人はNISA

手元にまとまったお金があり、運用で増やしていきたい人にはNISAが適しています。iDeCoは積立しかできませんが、NISAなら成長投資枠や一般NISAを利用した一括投資ができるためです。新NISAの成長投資枠は年間の投資枠が240万円と引き上げられたので、高額の投資もしやすくなります。

子どもの教育資金準備ならNISA

子どもの教育資金のように10年以上先に引き出す時期が決まっている資金を積立てるには、NISAが適しています。iDeCoは60歳にならないと引き出せないため、教育資金の準備には向きません。預貯金だけで教育資金を準備すると、長期的な学費の値上がりに対応できない可能性があります。NISAだけでの教育資金の準備が不安な人は、預貯金との併用も1つの方法です。

老後資金の積立ならiDeCo

老後資金の準備なら、手厚い税制優遇のあるiDeCoが有利です。60歳まで引き出せない点も、老後まで資産を守るためにはメリットとも考えられます。厚生年金のない個人事業主などは自助努力の必要性が高く、iDeCoでの積立が特に有効です。

NISAとiDeCoの併用は有効

NISAとiDeCoは併用ができ、運用の目的によって使い分けが可能です。夫婦世帯であれば結婚したばかりの時期はiDeCoの積立を多めに、子どもが生まれたら教育資金準備のためにNISAを増やす、などの使い方が考えられます。
生活設計や家計に合った、オリジナルプランを検討しましょう。

まとめ

iDeCoは手厚い税の優遇が受けられますが、引き出しに制限があります。一方、NISAは引き出しが自由な反面、iDeCoほどの節税メリットがありません。2つの制度のどちらが有利かは、個別の家族状況や運用目的によって異なります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った制度を選びましょう。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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