キャピタルゲインとインカムゲインを比較!
それぞれの違いやメリットとは

資産運用する際には、どれくらい利益が出るのかが気になるでしょう。資産運用の利益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類があります。両者の違いを知っておき、利益の見通しも立てておきましょう。本記事では、キャピタルゲインとインカムゲインの違いやそれぞれのメリットについて説明します。
キャピタルゲインとインカムゲインの違いを知ろう

金融商品に投資した場合の利益は、キャピタルゲインとインカムゲインに分かれます。まずは、それぞれの意味を理解し、違いを知っておきましょう。
資産運用で得られる利益には2種類ある
現在の金利条件では、預貯金を保有していてもお金はほとんど増えません。株式や投資信託、債券などの金融商品に投資して資産運用すれば、利益が出てお金が増える可能性があります。
資産運用による利益の出し方は、2種類に分かれます。1つは保有している商品を売却する方法、もう1つは保有している商品について配当金などを得る方法です。
キャピタルゲインとは
株式などの金融商品を購入した後は、自由に売買取引ができます。値段が上がったときに売却すれば、売却差益が得られます。キャピタルゲインとは、この売却差益のことです。
たとえば、2000円で購入した株式を2500円で売却した場合、500円のキャピタルゲインが得られます。購入後それほど時間が経っていなくても、保有している商品の値段が上がってさえいれば、利益は発生することになります。
なお、購入時より値段が下がったときに売却すれば、逆に損失が出てしまうでしょう。売却損が出る場合には、キャピタル・ロスと呼ばれます。
インカムゲインとは
金融商品を保有している場合、保有しているだけでも得られる利益があります。インカムゲインとは、金融商品の保有によって得られる利益です。
株式の配当金、投資信託の分配金、債券の利息などがインカムゲインに該当します。株式発行会社から受けられる株主優待も、インカムゲインの1つです。
キャピタルゲインとインカムゲイン。狙うならどっち?

資産運用を始める際には、どのようにして利益を得るかを考えておきましょう。ここからは、キャピタルゲインとインカムゲインを比較し、どちらを狙えばよいかについて考えてみます。
キャピタルゲインのメリットとデメリット
キャピタルゲインのメリットは、短期間で大きな利益が得られる可能性がある点です。株式や投資信託は、購入後すぐに値段が上がることもあります。比較的短期間でお金を増やしたい場合には、キャピタルゲインを狙ったほうがよいでしょう。
ただし、金融商品の値段は想定どおり動くとは限りません。キャピタルゲインを狙って購入しても、値段が上がらなければ利益は得られないことになります。また、購入時より値段が上がっていても、売買取引のタイミングには悩んでしまうものです。迷っている間に値段が下がってしまうかもしれません。
キャピタルゲインの場合、大きな利益が期待できる反面、大きな損失が出てしまうリスクもあります。キャピタルゲインを狙いたいなら、商品選びや売買のタイミングを慎重に検討しましょう。
インカムゲインのメリットとデメリット
株式を保有している場合には、株式を発行している会社から、継続的に配当金を得られます。配当金は市場価格の影響も比較的受けにくく、安定した収入になります。保有しているだけで定期的な収入となるのは、インカムゲインの大きなメリットです。
インカムゲインを狙う場合には、売却のタイミングに悩む必要もありません。価格変動をチェックしなくてもよいので、忙しい人でも投資の利益を得やすいでしょう。
インカムゲインは安定した収入になりますが、投資額が少なければ大きな金額にはならないのがデメリットです。会社の業績が悪化した場合には、配当金や株主優待が廃止される可能性もあります。
バランスを考えた投資が重要
資産運用を始めるときには、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらに比重を置くかを考えておきましょう。キャピタルゲインとインカムゲインは両立するものです。どちらか一方を狙うのではなく、バランスを考えて両者を併用するのがおすすめです。
たとえば、投資に回す資産のうち3割はキャピタルゲインを狙い、残りの7割でインカムゲインを得るといった投資スタイルもあります。投資の目的や投資に回せる金額、リスク許容度から、どのような形で利益を得るかを考えておきましょう。
資産運用で注意しておきたいこと

資産運用では利益が期待できる反面、損失が生じるリスクもあります。投資で利益を得ながら必要な資金を着実に用意するために、注意しておくべきことを説明します。
投資の目的を明確にしておく
まずは、何のための資金を準備するのか、投資の目的を明確にしておきましょう。目的や使う時期がわかっていれば、そこから逆算して投資スタイルを考えることができます。
たとえば、老後資金を準備する場合には、長期的な投資が可能です。継続してインカムゲインを得ることで、効率よく資産形成できます。
キャピタルゲインもインカムゲインも原則課税される
投資で得た利益は、そのまま自分のものになるわけではありません。金融商品の運用により得られた利益には、税金がかかります。
キャピタルゲインは譲渡所得となり、譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。譲渡所得税の税率は、所得税15.315%(復興特別所得税含む)、住民税5%の合計20.315%です。
インカムゲインは配当所得となります。配当所得にかかる税率も20.315%(復興特別所得税を含む所得税15.315%、住民税5%)となっています。配当金にかかる税金は源泉徴収されているため、確定申告は原則不要です。
非課税投資ができる制度を活用
キャピタルゲインやインカムゲインには、原則的に課税が行われます。ただし、NISAやiDeCoといった制度を使うと、キャピタルゲインもインカムゲインも非課税にできます。これから資産運用を始めるなら、NISAやiDeCoの利用を検討してみましょう。
NISA
毎年一定額までの投資にかかる利益が一定期間非課税になる制度です。2024年1月からは新NISAがスタートし、年間投資枠や非課税保有限度額が拡大します。非課税期間も無期限化し、さらに投資がしやすくなります。
iDeCo
毎月掛金を拠出し、自分で運用して老後資金を準備する私的年金制度です。拠出できる掛金額は職業等によって変わります。iDeCoを利用した場合にも、キャピタルゲインやインカムゲインは非課税になります。
まとめ
キャピタルゲインとは金融商品を売却して得られる売却差益、インカムゲインとは売却しなくても得られる配当金や分配金を意味します。投資するときには、両者の違いを理解し、どちらの利益を狙うのが向いているかを考えておきましょう。

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。