積立預金のおすすめを探すには?
メリットやデメリット、比較の仕方を解説
「お金を貯める必要性はわかっていても、ついつい使いすぎてしまってなかなか貯められない」という悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。貯蓄の苦手な人におすすめなのが、自動的にお金を貯められる積立預金です。この記事では、積立預金の特徴やメリット・デメリット、選び方を解説します。
積立預金とは
最初に、積立預金とはどのような金融商品なのかを確認しておきましょう。
積立預金の特徴
積立預金とは「毎月1万円ずつ」のように、定期的に決まった額を積み立てる預金のことです。都市銀行や地方銀行、ネット銀行といったさまざまな金融機関で取り扱っています。 預け入れ期間は期間の定めのないものや短期から長期まで選択できるタイプなど、金融機関によって異なります。
積立金額など
積立金額も金融機関ごとに、5,000円以上1,000円単位、1万円以上1円単位などがあります。毎月の積立以外に、ボーナス時の増額設定や任意のタイミングで追加入金できる商品もあります。適用金利は、預け入れのタイミングで決まる仕組みです。積立期間が終了し、据え置き期間を経過した日が満期日になります。
積立預金には元本保証があり、預金保険制度(ペイオフ)の対象にもなっています。また、入出金に手数料はかかりません。
積立預金と定期預金の違い
積立預金と定期預金の違いがよくわからない人もいるでしょう。両者の主な違いは預け入れ方法で、積立預金は定期的に少額を預けるのに対し、定期預金は一括でまとまったお金を預けます。
その他、積立預金と定期預金の主な違いを以下の表にまとめます。
積立預金 | 定期預金 | |
預け入れ方法 | 定時定額で預け入れ | 一括でまとまったお金を預け入れ |
金利 | 定期預金より低め | 積立預金より高め |
引き出し | 満期日にかかわらず必要に応じて引き出せる商品が多い | 満期前の引き出しには中途解約利率が適用される |
預け入れ期間 | 期間の定めのないもの、6カ月以上5年以内など | 1カ月から10年などから選べる |
積立預金の種類
積立預金には預貯金以外に、制度で利用できるものもあります。主な積立預金を3種類紹介します。
積立定期預金
誰でも手軽に利用できるのは、金融機関の積立定期預金です。給料の振込口座がある銀行や、近くに店舗がある銀行であれば窓口で申し込めます。通常、普通預金より高めの金利が設定されています。
社内預金
会社によっては社内預金制度を設けている場合があり、給与天引きで積み立てられます。社内預金は労働基準法で利息の支払いが義務づけられており、厚生労働省によって下限利率も決められています。
最新の下限利率は年0.5%と、一般的な金融機関の定期預金の金利と比べると非常に高い水準です。勤務先に社内預金の制度がある人は、利用するとよいでしょう。
財形貯蓄
財形貯蓄制度は給与天引きにより、金融機関の商品を積み立てる制度です。財形貯蓄を取り扱う金融機関には銀行、保険会社、証券会社などがあり、積み立てる金融商品がそれぞれ異なります。全体的に安全性の高い商品ではありますが、保険会社および証券会社の商品は場合によっては元本割れするケースもある点に注意が必要です。
積立預金がおすすめな人
積立預金がおすすめなのは、以下のような人です。
まとまったお金がない人
積立預金は毎月数千円程度の少額から始められるので、まとまったお金を預けられない人でも利用できます。毎月コツコツ積立を続けていけば、将来は大きな資産になっていきます。積み立てる金額も見直しながら、無理のない範囲で資産形成をしていきましょう。
貯金が苦手な人
貯金が苦手で毎月の収入を使い切ってしまう人は、積立預金が向いています。自動積立のように毎月口座からお金が引き落としになれば、自然にお金が貯まっていくためです。決めた金額を積立に回し、残ったお金で生活をやりくりする習慣をつけましょう。
着実にお金を貯めたい人
積立預金は、元本割れせずに着実にお金を貯めたい人も安心して利用できます。投資信託などの運用では資産を大きく育てる可能性がある反面、損をする可能性もあるので手堅くお金を積み立てることを重視する人は、積立預金を利用するとよいでしょう。
積立預金のメリット・注意点
まとまったお金がなくても始められる積立預金には、メリットもあれば注意点もあります。
積立預金のメリット
積立預金には、以下のようなメリットがあります。
少額から始められる
積立預金は毎月1,000円程度の少額から始められます。社会人になりたての若い人や、子育て中で家計に余裕がない人でもできる範囲で続けられます。
自動的に預金できる
積立預金は「毎月10日に引き落とし」のように、自動的に貯蓄ができます。引き落としの設定ができればお金が貯まっていくため、手間もかかりません。
元本が保証されている
積立預金は中途解約をした場合でも、元本割れはしません。投資信託などは売却のタイミングによっては、損をする場合があります。使う時期や使い道が決まっているお金の準備には、積立預金を利用するとよいでしょう。
積立預金の注意点
積立預金について、以下のような注意点を知っておきましょう。
定期預金より金利が低い場合がある
積立預金の金利は金融機関によって異なり、定期預金より低い場合もあります。同じ金額を積み立てるなら利息を多く得られるほうが有利なため、預ける場合はなるべく金利の高い金融機関を選びましょう。
入金に手間のかかる場合がある
給与が振り込まれる銀行と積立預金の銀行を別にすると、入金に手間がかかります。給与を受け取る銀行で設定すると、自動でお金が振り替えられます。
振替日に残高不足になる可能性がある
普通預金から積立預金への振替日を給料日直前にすると、残高不足になるおそれがあります。振替日はなるべく給料日直後にして、「先取り貯蓄」を心がけましょう。先取り貯蓄とは収入から決まった金額を先に貯蓄に回し、残ったお金で生活する方法です。積立預金を利用すれば、先取り貯蓄を実践できます。
積立預金の比較ポイント
積立預金は多くの金融機関が取り扱うため、選ぶのに迷う人もいるでしょう。ここでは、比較するポイントを解説します。
金利は何%か
積立預金で複数の金融機関を比較するなら、なるべく高金利の金融機関を選びましょう。金利が高ければ受け取る利息も多くなり、効率よく運用できるためです。
いくらから積み立てられるか
積立預金を始める場合、最低積立金額はいくらかを確認しましょう。最低積立金額は金融機関によって異なり、500円から始められる銀行もあります。最初は少額から始められるほうが望ましいので、最低積立金額が低めの金融機関を選びましょう。
自動積立機能があるか
ほとんどの金融機関には自動積立機能のある積立預金がありますが、ない場合もあります。自動積立の機能により普通預金から自動的に積立預金口座に振り替えられるので、確実にお金を貯められます。
まとめ
積立預金はまとまったお金がなくても始められ、設定をすれば貯蓄の手間もかかりません。マイカーの購入費用のような資金準備に活用できます。積立預金を有効利用するには、生活費と区別した貯蓄専用の口座として扱いましょう。
国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。