500万円預けるならどこがよい?
定期預金やお金の管理をわかりやすく解説

500万円というまとまった資金の預け先として、定期預金など、どこを選ぶべきかお悩みでははないですか。500万円の運用方法や管理方法は、人によってさまざまです。自分に合った預け先を見つけ、適切に管理することが大切です。この記事では、安全性、流動性、収益性の3つの視点から、預入先や管理方法がわかるポイントについて解説します。
500万円を預けるなら?預入先を決める3つのポイント

500万円を預ける際には、安全性、流動性、収益性の3つのポイントを考慮することが重要です。それぞれについて、理解を深めていきましょう。
安全性:預け入れたお金は返ってくるか
日本の金融機関では預金保険制度により、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護されます。500万円の預金であれば、たとえ預入先の金融機関が破綻したとしても、預金保険制度によって全額が保護されます。
安全かどうかを確認するためには、元本保証の有無も重要です。普通預金や定期預金などの元本は保証されていますが、投資信託や株式などの金融商品は元本保証がありません。元本が保証された商品であれば、安全性は高いといえます。
流動性:急な出費に対応できるか
流動性は、必要なときにすぐにお金を引き出せるかどうか、資産を現金化する容易さのことです。普通預金は、いつでも簡単に引き出すことができます。一方、定期預金は中途解約時に期日前解約利率が適用され、普通預金の金利水準となります。ただし、外貨建定期預金の場合、一般的に満期日前に解約できません。
急な出費に備えるためには、バランスの取れた資金配分を考えることが大切です。ある程度の資金を流動性の高い商品で運用しておき、残りを定期預金やほかの金融商品に振り分けるなど、工夫してみてください。流動性を意識しておけば、すべての資金を普通預金に預けなくても、運用しながら万一に備える柔軟性を確保できるでしょう。
収益性:どのくらい増えるか
収益性を考える際には、インフレ率や金利との関係を理解することも重要です。現在の日本では預金金利が非常に低いため、預金だけでは資産価値が目減りしてしまう可能性があります。より高い収益を求めるなら、リスクとのバランスを考慮しつつ、投資信託や株式などの金融商品を検討しましょう。
長期的な視点で考えると、複利効果のあるものを選ぶことで、少額の差が大きな違いを生み出す可能性があります。そのため、長期運用を前提とする場合は、より高い収益が期待できる商品を選択することも一案です。
定期預金を活用するタイミング

定期預金は商品によって違いはありますが、安全性と流動性は高い一方、収益性はあまり期待できないという特徴があります。この特徴を踏まえ、500万円を定期預金で活用するタイミングについてまとめます。
定期預金をおすすめできるケース
まずは、定期預金をおすすめできるケースを紹介します。
1、2年以内に使う予定がある場合
近い将来に具体的な支出を計画している場合、定期預金は理想的な選択肢です。定期預金の期間は一般的に1ヶ月から10年以内で、自由に選択できるため、計画に合わせて期間を選べます(金融機関によって預入期間は異なります)。
たとえば、結婚資金や住宅の頭金など、比較的短期間で使用する予定の資金を安全に運用できます。定期預金であれば普通預金と比べて解約しないと引き出せないため、いつの間にか資金が減ってしまうことも避けられるでしょう。
元本の安全性を最優先する場合
リスクを極力避けたい投資初心者や、退職金の運用など、元本割れを絶対に避けたい場合には、定期預金が適しています。預金保険制度によって保護されるため、安心して預け入れることができます。資金が減ってしまうと計画が達成できない場合に選択するといいでしょう。
将来の支出に向けた計画的な準備をする場合
教育資金や老後の生活費など、将来の大きな支出に向けて計画的に貯蓄する場合、定期預金を活用することで目標額に向けて着実に積み立てられます。
ただし、中長期的な計画の場合はインフレリスクも考慮して、定期預金だけでなく投資信託や株式などと併用するといいでしょう。
ほかの金融商品との組み合わせを考える場合
ポートフォリオの一部として定期預金を組み込むことで、全体のリスクを抑えつつ、安定した運用が可能になります。たとえば、投資信託と組み合わせることでリスクの分散を図れます。預金と投資信託の割合を調整し、自分に合った組み合わせを見つけるといいでしょう。
定期預金をおすすめできないケース
定期預金をおすすめできないケースは、以下のとおりです。
インフレ対策が必要な場合
現在の日本のように低金利の環境では、定期預金の金利がインフレ率を下回ることがあります。このような状況では実質的な資産価値が目減りしてしまうため、インフレに対応できるほかの投資手段を検討する必要があります。
より高い収益性を求める場合
長期的な資産形成や高い収益を目指す場合、定期預金だけでは十分な運用成果を得られない可能性があります。十分な利益を求める場合は、投資信託や株式など、リスクは高くても潜在的なリターンが大きい金融商品を検討すべきです。
頻繁な入出金が必要な場合
生活資金や事業資金など、頻繁に入出金が必要な資金を定期預金に預けると、中途解約によるペナルティ(期日前解約利率の適用)が発生する可能性があります。このような資金は、より流動性の高い普通預金などの口座で管理するのが適切です。
長期の資産形成を目指す場合
若年層や長期的な資産形成を目指す人にとっては、定期預金の低金利では十分な資産増加が見込めません。このような場合は、時間の経過とともに複利効果が大きくなる投資信託や株式投資など、より成長性の高い金融商品を検討することをおすすめします。
定期預金以外でお金を管理する方法

定期預金だけでは、計画を達成するのは難しいことも多いでしょう。ここでは、定期預金以外で、お金を管理する方法を、「安全性」「流動性」「収益性」の観点から解説します。自身の資金運用の目的やリスク許容度に合わせて、適切な商品を選択しましょう。
個人向け国債
安全性の特徴
個人向け国債は、国が発行する安全性の高い金融商品です。元本保証があり、預金保険制度のように、1000万円という上限を気にする必要はありません。国債は国の信用力に基づいているため、極めて安全性が高いといえます。
流動性の特徴
個人向け国債は、1年経過後なら中途換金が可能です。中途換金すると、2回分の利子相当額が差し引かれます。しかし、最低でも1年分の利子を受け取っているため、元本割れのおそれなく、緊急の現金化にも対応できます。早期の換金では運用利益に期待できませんが、流動性が高い商品といえます。
収益性の特徴
個人向け国債は定期預金より若干高い利回りに期待できます。2025年1月現在、定期預金の金利水準が0.1~0.3%程度であるのに対して、個人向け国債の年率は0.6%~0.8%程度です。
個人向け国債の期間には3年、5年、10年の選択肢があり、固定型(3年、5年)と変動型(10年)の金利から選べます。普通預金や定期預金よりも高い金利で運用できますが、高い収益性を期待することは難しいでしょう。
投資信託
安全性の特徴
投資信託に元本保証はありませんが、分散投資によりリスクを抑制することはできます。また、投資信託の投資先によってリスクは大きく異なるため、安全性を求めるなら国債中心の投資信託、安全性よりも収益性を求めるなら株式や新興国中心の投資信託へ投資するなどの対応が可能です。
また、投資家の資産は委託会社から独立して管理され、運用会社が倒産しても資産は保全されます。このような点で、安全性は高いといえるでしょう。
流動性の特徴
投資信託は、原則いつでも換金が可能です。ただし、換金時に手数料が発生することがあります。また、市場環境により換金に時間がかかる場合や緊急時には損失してでも現金化しなければならない場合があるため、注意が必要です。
このことから、定期預金と比べると、流動性は低くなります。
収益性の特徴
投資信託は価格変動による損失リスクがある一方、定期預金より高い収益を期待できます。投資対象や運用方針により期待収益は異なるため、自身のリスク許容度に合わせて選択することが重要です。
個別株式
安全性の特徴
個別株式に元本保証はなく、企業の業績や市場環境に大きく影響されます。企業の倒産リスクもあるため、安全性は比較的低いといえます。ただし、分散投資によりリスクを軽減できますが、個別株式のみで分散投資するにはまとまった資金が必要です。
流動性の特徴
個別株式は、市場が開いている時間帯であれば売買が可能です。ただし、取引量が少ない銘柄は売買が困難なこともあります。また、急激な相場変動時は売買が制限されることもあるため、注意が必要です。
収益性の特徴
個別株式には、値上がり益と配当金による高い収益の可能性があります。しかし、市場環境や企業業績により、大きな損失のリスクもあります。長期保有で配当収入が期待できるため、投資戦略に応じた活用が可能です。
まとめ
500万円を預ける場合、安全性を重視し、管理のしやすさから考えると、普通預金や定期預金がおすすめです。普通預金や定期預金であれば、流動性も高く、緊急時に現金化しやすいメリットがあります。しかし、収益性を重視する場合、投資信託や株式への投資も選択肢となります。
まとまった資金をどうするかについては、「安全性」「流動性」「収益性」を踏まえて検討してみるとわかりやすくなるでしょう。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。