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投資の複利運用とは?
意味や単利との違い、効果のある方法などを徹底解説

2023/12/19
(提供元:CyberKnot

投資の複利運用は元本に運用益を足して運用を続ける方法で、時間をかければ資産を大きく増やす効果を期待できます。特に難しくはないので、ぜひ取り入れてほしい運用方法です。この記事では複利運用の特徴や、複利効果を得るための実際の運用方法について解説します。

投資の複利運用とは?

投資の複利運用とは?

最初に、複利の意味や単利との違いを押さえましょう。

複利とは

複利運用とは元本についた運用益に対して、さらに利益がつく運用方法のことです。運用益を受け取らずに元本に含めて投資していくため、得られる利益が増えていくのが複利の効果です。複利運用では時間の経過によって元本が増えるため、長期運用で特に効果を発揮します。

単利と複利の違い

運用の利益の計算方法には、複利の他に単利があります。複利が元本と運用益に対して利益が発生するのに対し、単利は元本に対してのみ利益が発生する計算方法です。
単利の場合、同じ利率で運用すると運用益は常時一定の金額となります。一方、複利は元本が増えていくために、運用益も増えていきます。

単利と複利をシミュレーションで比較

単利と複利の違いを具体的な数字で確認してみましょう。以下は、300万円を利回り3%(年率)で単利と複利で運用した場合の、運用年数ごとの元利合計額の推移です。

運用年数 単利 複利
1年 309万円 309万円
3年 327万円 328万円
5年 345万円 348万円
10年 390万円 403万円
15年 435万円 467万円
20年 480万円 542万円
30年 570万円 728万円

筆者作成


運用を始めて数年のうちは、単利と複利の運用成果に大きな差はありません。しかし、単利は毎年同じ元本での運用ですが、複利は徐々に元本が増えていきます。そのため、複利運用を継続すると効果が大きくなり、30年目には約160万円もの差となります。

あくまで試算であり、運用の成果は一定ではありませんが、長期運用での複利の効果を知っておきましょう。

複利運用の「72の法則」とは

「72の法則」とは、複利運用でお金が2倍になるおよその期間が簡単にわかる法則です。以下の計算式で求められます。

● 72 ÷ 金利(年率)= 資産が2倍になるまでの年数

たとえば、年率0.002%で複利運用すると、資産が2倍になるまでに約3万6,000年(72÷0.002%)もの年数がかかります。しかし、年率3%であれば、約24年(72÷3%)で2倍になるのです。
72の法則を知っていると、投資の目標設定などに応用できます。

複利の効果を活かす方法

複利の効果を活かす方法

ここでは、投資で複利効果を得るための方法を解説します。

長期投資をする

これまでの内容からも、複利効果を得るためには長期の投資が重要なポイントとなります。投資する期間が長くなるほど、資産は雪だるま式に増えていきます。そのため、投資はなるべく早く始めることが大切です。

分配金を再投資する

複利効果を得るためには、分配金再投資型の投資信託がおすすめです。投資信託では、運用の利益を分配金として投資家に還元する場合があり、「分配金受取型」と「分配金再投資型」の2種類があります。

「分配金受取型」は単利運用を意味し、複利効果を得られません。複利効果を得たい場合、「分配金再投資型」を選ぶ必要があります。また、運用成績が良好でも分配金を出していない商品を選ぶのも、1つの方法です。

積立投資をする

まとまった投資の元手がない人でも、長期で積立投資をすれば複利効果を得られます。積立投資とは「毎月1万円ずつ」のように、同じ運用商品を定期的に一定額買い付ける投資方法です。

購入する商品の値動きによって、値上がりしているときには少ない数量を、値下がりしているときにはたくさんの数量を買うことになります。その結果、長期間では平均購入単価が均され、運用商品の価格変動リスクを軽減できます。さらに複利効果が加わり、資産を増やす効果を期待できるのです。

コスト削減を意識する

投資信託のような複利運用できる運用商品を買う場合、手数料の有無や料率などを確認しましょう。投資信託では購入時に手数料がかかりますが、「ノーロード」といって手数料がかからない商品もあります。

また、全商品で保有中に信託報酬がかかります。信託報酬は保有期間中かかり続けるため、できるだけ低い商品を選ぶことが大切です。

ただし、必ずしもコストが低いものを選べばよいというわけではありません。いわゆるインデックスファンドは、日経平均株価などの対象指数に連動するように設計された投資信託です。組入銘柄は基本的に対象指数の構成銘柄と同一となり、銘柄の調査や分析といった手間がかからず低コストで運営できるため、手数料が比較的低いという特徴があります。

一方、インデックスファンドよりも高いパフォーマンスを目指すアクティブファンドは、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロフェッショナルが投資判断を行っています。企業取材等を通してさまざまな企業を調査・分析することで、組入銘柄を選定しているのです。調査や分析といった手間がかかるため、比較的手数料が高いという特徴があります。

単にコストが安いというだけではなく、総合的なパフォーマンスの良し悪しで商品選定を行うとよいでしょう。

複利の効果を活かせる運用

複利の効果を活かせる運用

複利効果を活かせる運用とは運用益を再投資でき、長期で運用できる方法です。ここでは、具体的に複利効果を得られる運用商品と、運用の制度を紹介します。

投資信託

投資信託では、支払われた分配金を受け取らずに再投資できます。分配金再投資型を選択すると、分配金が支払われた際に自動的に元本に組み入れられます。
ただし、特定口座のような課税口座で投資信託の分配金が支払われると、20.315%の税金が源泉徴収されます。そのため、毎月分配型のように分配金の支払われる頻度の多い投資信託は、投資効率が下がる点に注意が必要です。分配金を再投資して複利効果を狙うのであれば、なるべく分配金を出さない商品を選びましょう。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)は、複利効果を活用した長期運用を目的とする制度です。2024年以降の新NISAでは非課税期間が撤廃され、非課税投資を無期限でできるようになります。新NISAで複利の効果を得られる理由は、以下のとおりです。

長期運用に適した商品が多いから

新NISAでは、長期運用に適した商品が多く提供されています。新NISAでは現行の一般NISAとつみたてNISAが統合され、一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」とつみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」が併用できるようになります。このうち、つみたて投資枠の商品は、金融庁が選定した「長期・積立・分散投資」に適した一定の投資信託です。

金融庁の選定基準には「運用管理費用が一定基準以下」「分配金の支払い頻度が毎月でない」などがあります。この基準を満たす商品であれば、複利効果で利益を生みやすいと考えられます。商品選びに迷う人にも利用しやすい仕組みといえるでしょう。

運用益に税金がかからないから

NISA口座で発生した運用益には税金はかからないため、投資信託の分配金にも課税されません。分配金全額を再投資に回せるため投資効率がよくなり、複利の効果を最大限に活かせます。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金を加入者自身が投資信託などで運用する、公的年金の上乗せ制度です。iDeCoは長期の運用が前提であり、60歳まで資産の引き出しができないため、複利効果を得やすい仕組みになっています。また、運用益は非課税で再投資されるため元本が大きくなり、得られる利益も大きくなると期待できます。無理なく続けられる掛金で、コツコツ老後資金を育てるとよいでしょう。

まとめ

複利運用は、長期投資で資産を増やすための重要なポイントです。複利効果は運用期間が短いうちはわずかですが、長期になると大きな力になります。NISAやiDeCoのような制度を活用すると、より効果的です。複利の恩恵を受けるなら少額でもかまわないので、できるだけ早く投資を始めましょう。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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