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会社員でも確定申告がいる?
その理由と申告のやり方をわかりやすく紹介

2024/1/9
(提供元:CyberKnot
会社員でも確定申告がいる?その理由と申告のやり方をわかりやすく紹介

勤務先で年末調整を受けている会社員や公務員は、確定申告の必要のないケースがほとんどです。しかし、確定申告をしなければならない場合や、確定申告をしたほうが有利な場合もあります。この記事では、会社員に確定申告が必要になるケースや、申告の方法を解説します。

会社員でも確定申告をしなければならない人

会社員でも確定申告をしなければならない人

会社員は基本的に確定申告が不要ですが、申告が義務となるケースもあります。ここでは、会社員でも確定申告をしなければならない人の条件について解説します。

給与の年間収入が2,000万円超の人

給与の収入金額(年収)が2,000万円を超えている会社員は勤務先での年末調整をしないため、確定申告をしなければなりません。年末調整をしないと生命保険料控除や地震保険料控除などの各種控除が適用されず、確定申告で所得税を精算する必要があるのです。

なお、金額の判断の基準は給与所得控除や社会保険料控除後の所得ではなく、勤務先から支給される額面が2,000万円を超えるかどうかとなります。

副業などの所得が20万円を超える人

副業や投資で本業以外の所得が20万円を超える人も、確定申告をする必要があります。本業以外の所得とは「給与所得と退職所得以外」であり、給料をもらうアルバイトなどは含まれません。

また、ここでいう所得とは、収入金額から経費を差し引いた利益に相当する部分のことです。たとえば、物品販売であれば売上げから仕入れにかかった費用や、送料などを差し引いた金額が所得となります。

所得が20万円以下であれば申告不要

これらの本業以外の所得の1年分の合計が20万円以下であれば、確定申告は不要です。ただし、本業以外の所得のある人が確定申告をしない場合、住民税の申告は必要となります。

2カ所以上から給与を受け取っている人

2カ所以上から給与を受け取っている人も、確定申告をする必要があります。ただし、年末調整されない給与の収入金額と、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。年末調整されない給与の収入金額とは、本業以外のアルバイト先などから受けた給与の額面のことです。

また、給与所得と退職所得以外の所得とは、先述した副業や投資の所得のことです。これらの本業以外の給与収入と副業などの所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要になります。ここで確定申告が不要になるケースでも、住民税の申告は必要です。

一時所得があった人

一時所得とは、生命保険の満期保険金や解約返戻金のような臨時の所得です。一時所得の金額は、以下の計算式で求めます。

●一時所得=総収入金額-その収入を得るために支払った金額-特別控除額(最高50万円)

総収入金額とその収入を得るために支払った金額の差が50万円を超える場合、確定申告が必要となります。
「その収入を得るために支払った金額」とは、生命保険であれば払い込み保険料の累計です。一時所得は上記の金額の2分の1に相当する額を給与所得のような他の所得と合算して、所得税を計算します。

会社員でも確定申告をしたほうが得な人

会社員でも確定申告をしたほうが得な人

会社員でも、確定申告によって税金が戻ってくる可能性があります。ここでは、確定申告をしたほうが有利なケースを解説します。

医療費控除を受ける人

医療費控除とは、かかった医療費の一部を所得から差し引くことで、税金を減らす制度です。対象となる医療費は同一生計の家族全員の分で、控除できる金額は最高で200万円です。1年間に支払った医療費が10万円(総所得200万円未満の人は総所得の5%)超であれば、医療費控除の対象となります。

住宅ローン控除1年目の人

住宅ローン控除は住宅ローンを組んでマイホームを取得した場合に、ローン残高に応じて所得税が控除される制度です。

確定申告は1年目のみ必要で、2年目以降は年末調整によって適用を受けます。住宅ローン控除は対象となる住宅や控除を受ける人に条件があり、該当しなければ受けられません。

ふるさと納税で寄付をした人

ふるさと納税で「ワンストップ特例制度」を利用しない、または1年間の寄付先が6自治体以上の場合は確定申告によって寄付金控除を受けられます。確定申告をすると所得税はその年から、住民税は翌年からそれぞれ控除されます。

災害や盗難の被害を受けた人

台風や火災、盗難のような理由で損害を受けた場合には、雑損控除で一定の所得控除が適用されます。その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合、災害減免法による所得税の軽減免除という制度もあり、どちらか有利な方法を選べます。いずれにしても、適用を受けるには確定申告が必要です。

損益通算できる損失がある人

損益通算とは、所得金額の計算において損失と利益を相殺することです。損益通算にはいくつかのパターンがあります。たとえば、アパート経営のような不動産所得で損失がある場合、給与所得のようなプラスの所得から損失分を差し引けます。株式やFXなどの損失は、一定のルールのもとで損益通算が可能です。損益通算は、原則として確定申告によって適用を受けます。

会社員が確定申告をする方法

会社員が確定申告をする方法

最後に、具体的な確定申告の手続きについて解説します。

確定申告の期限

確定申告は1年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までに行うことになっています。この期間を過ぎて申告する場合、期限後申告となります。期限後申告には所定の無申告加算税と延滞税がかかるため、期限内に申告するようにしましょう。

納め過ぎた税金の還付を受ける還付申告は、翌年の1月1日から5年間申告書を提出できます。

確定申告の必要書類

●確定申告書(税務署でもらうか国税庁のWebサイトからダウンロード)
●本人確認書類(マイナンバーカードなど)
●源泉徴収票(申告書の作成には必要だが、添付は不要)
●各種控除証明(生命保険料の控除証明や医療費控除の明細書のような控除対象となる支出の証明書)

確定申告書の作成方法

会社員の確定申告書の作成方法には、主に以下の2種類があります。

確定申告書の作成方法

●手書き
●国税庁の確定申告書作成コーナーを利用

上記のうち、確定申告書作成コーナーを利用すると案内に従って入力するだけで税額が計算され、簡単に申告書を作成できます。

作成した確定申告書は手書きの場合、税務署へ持参または郵送で提出します。確定申告書作成コーナーの場合、持参と郵送以外にe-Taxによる電子申告もできます。e-Taxで送信する場合は、マイナンバーカードとマイナンバーカード読取対応のスマートフォン(もしくはICカードリーダライタ)が必要です。

まとめ

会社勤めのサラリーマンは年末調整で税金の手続きが完結するため、確定申告は無関係と考える人も多いでしょう。しかし、確定申告が必要なケースや、確定申告をすれば還付を受けられるケースもあります。副業や投資で本業以外の収入がある人や、控除が受けられる人は確定申告を忘れないようにしましょう。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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