iyomemo(いよめも)
見つかる、つながる。伊予銀行のWebメディア

iDeCoの所得控除はいくら?
節税の効果や手続きの方法を紹介

2025/8/12
(提供元:Mattrz
iDeCoの所得控除はいくら?節税の効果や手続きの方法を紹介

老後資金を自分で準備したいと考えている方に注目されているのが、iDeCoです。その魅力の一つに、控除による節税効果があります。 本記事では、iDeCoの控除の仕組みや節税効果、職業別の上限額、還付のタイミング、手続き方法などをわかりやすく解説します。

iDeCoとは

iDeCoとは

iDeCoは、自分で掛金を積み立てて運用し、60歳以降に受け取れる私的年金制度です。加入には条件がありますが、基本的には誰でも自分に合った運用スタイルで資産形成できる点が魅力です。

iDeCoの大きな特徴の一つに、税制面での優遇措置が豊富に用意されていることが挙げられます。iDeCoによる所得控除の効果は大きく、毎年の税金を抑えながら、将来の老後資金を効率よく貯められるのがメリットです。

掛金は全額所得控除になる

iDeCoで毎月積み立てる掛金は、全額が所得控除の対象になります。例えば、年間24万円(毎月2万円)の掛金を拠出していれば、その24万円分は課税所得から差し引かれるため、所得税・住民税の負担が軽くなります。

仮に年収500万円の会社員が年間24万円を拠出した場合、所得税と住民税の節税効果は約5万円前後にもなります。これは、iDeCoの大きなメリットの一つであり、所得控除の恩恵が明確に実感できる制度といえるでしょう。

運用益も非課税で再投資できる

通常、投資信託などで得た運用益には20.315%の税金が課せられます。しかし、iDeCoで得た運用益は非課税です。資産を再投資していくなかで複利効果をより大きく受けられ、長期的には課税されるケースと比べて大きな差が生まれる可能性があります。

特に、20~30代の若いうちからiDeCoを活用していれば、非課税のメリットをより長期間受けられるでしょう。節税と運用の両立で、老後資産形成を加速させられるのがiDeCoの魅力です。

受取時も所得控除の対象になる

iDeCoは受取時にも所得控除が適用されます。受け取り方法は一時金か年金形式のいずれか、または併用ですが、一時金で受け取る場合は退職所得控除が、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。

受け取り時の税制優遇もあらかじめよく検討しておけば、払い込み、運用、受け取りすべての段階で控除を受けられ、より賢く税金対策を続けることが可能です。

iDeCoの所得控除はいくら?

iDeCoの所得控除はいくら?

iDeCoの控除額は、掛金の上限額とその人の所得税率によって異なります。大切なのは、掛金の全額が所得控除の対象になることです。

つまり、掛金の金額が大きいほど、控除額も増えていきます。

以下では、iDeCoで毎月2万3,000円を拠出した場合の所得控除の金額を見てみましょう。

課税所得金額(年収目安) 所得税+住民税の税率 年間節税額
195万円未満 15% 4万1,400円
195万円以上330万円未満 20% 5万5,200円
330万円以上695万円未満 30% 8万2,800円
695万円以上900万円未満 33% 9万1,080円
900万円以上1,800万円未満 43% 11万8,680円
1,800万円以上4,000万円未満 50% 13万8,000円
4,000万円以上 55% 15万1,800円

このように、掛金が同じでも、課税される所得金額に応じて、節税できる金額には大きな違いがあります。

職種によって所得控除される金額の上限は違う

iDeCoの掛金は、職業別に上限額が設定されています。自営業・フリーランス、会社員・公務員、専業主婦(夫)の拠出額の上限は、以下のとおりです。

職種 企業年金への加入 拠出額の上限
自営業・フリーランス   68,000円
(年間816,000円)
会社員・公務員
(企業型DCなどの企業年金に加入している場合)
あり 20,000円
会社員・公務員
(企業年金なしの場合)
なし 23,000円
(年間276,000円)
専業主婦(夫)   23,000円
(年間276,000円)

例えば、自営業者が年間81万6,000円を拠出した場合、その全額が所得控除されます。所得税率が20%であれば、節税効果は年間約16万円にもなる可能性があります。

iDeCoで控除された金額はいつ返ってくる?

iDeCoで控除された金額はいつ返ってくる?

iDeCoで控除された金額は、税金として支払うはずだった金額が返ってくる、もしくは軽減されるという形で実感できます。所得税と住民税では、還付や減額の方法が異なります。それぞれの仕組みを確認しておきましょう。

所得税は現金による還付

確定申告や年末調整でiDeCoの控除を受けた場合、所得税分は現金で還付されます。多くの場合、申告から1~2ヶ月以内に、指定した銀行口座に振り込まれます。

たとえば、所得税3万円分が控除対象であれば、その金額が還付されます。

住民税は翌年分で調整

住民税の控除は、現金ではなく翌年の住民税額から差し引かれる形で調整されます。

例えば、2025年にiDeCoで24万円を掛金として拠出した場合、翌2026年度の住民税が減額されることになります。

iDeCoの控除を受けるための手続き

iDeCoの控除を受けるための手続き

iDeCoの控除は、自動で適用されるものではありません。控除を受けるためには、必ず年末調整または確定申告をして、手続きをする必要があります。

会社員・公務員と自営業・フリーランスでの手続きの違いを見ていきましょう。

会社員・公務員は年末調整でおこなう

企業に勤めている会社員や公務員の場合、iDeCoに加入すると小規模企業共済等掛金払込証明書が年末に送られてきます。この証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で控除を適用してもらえます。

ただし、転職や勤務先の変更がある場合は、自分で確定申告を行う必要がある点には注意しましょう。

自営業者・フリーランスは確定申告でおこなう

自営業者やフリーランスの方は、基本的に確定申告でiDeCoの控除を申告します。年末に送付される掛金払込証明書を確定申告書類に添付して所定の欄に掛金額を記入すれば、控除が適用されます。

正しい情報の記入と証明書の添付が必須なので、提出書類はしっかり保管しておきましょう。

iDeCoで所得控除を受ける際の注意点

iDeCoで所得控除を受ける際の注意点

iDeCoは税金の控除などのメリットが多い反面、いくつかの注意点もあります。

加入する前に、自分にiDeCoの運用は向いているのか、控除の恩恵は大きいのかなどを確認しておきましょう。

専業主婦(夫)は控除の恩恵が少ない

専業主婦(夫)など、もともと課税所得が少ない、またはゼロの方は、そもそも所得税・住民税を払っていないため、iDeCoの税金軽減の恩恵を受けにくいです。

運用益の非課税や受取時の優遇措置はあるため活用する価値はありますが、節税という観点ではメリットを感じにくい点に注意が必要です。

控除される金額は本来の納税額まで

iDeCoの掛金は全額所得控除されますが、「控除される=全額戻ってくる」わけではありません。控除によって戻る金額は、納税予定額を超えることはありません。

例えば、所得税が年間2万円しかかからない人が年間24万円を拠出しても、還付されるのはその2万円までです。掛金が納税額を大きく超える場合、控除しきれない分は損になってしまう点に注意しましょう。

まとめ

iDeCoは、毎月の掛金を積み立てながら節税できる、優れた制度です。所得控除の対象となる金額は職業や収入によって異なりますが、年数万円から十数万円単位の節税効果が得られる可能性があります。

一方で、控除の恩恵が受けにくいケースや、節税効果が納税額までにとどまる点など、注意すべきポイントもあります。自身の収入や職業、ライフプランに合った掛金額を設定し、上手にiDeCoの税金控除を活用していきましょう。



著者プロフィール

著者 古賀 清香

2級FP技能士

広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。

RECOMMENDATION

RANKING

TAG LIST

    • Digital-Human-Digital
    • 地元愛
    • LIFE PALETTE
    • IYOCA