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金融緩和をわかりやすく解説!
政策の影響や実施方法などを知っておこう

2024/2/22
(提供元:CyberKnot
金融緩和をわかりやすく解説!政策の影響や実施方法などを知っておこう

「金融緩和」という言葉を、新聞やニュースなどでよく見聞きします。2022年以降続いている円安の原因の1つにも、日本が金融緩和策を続けていることが挙げられるでしょう。本記事では金融緩和について、政策の影響や実施方法をわかりやすく説明します。

金融緩和とは何?わかりやすく解説

金融緩和とは何?わかりやすく解説

金融緩和は、経済や物価の安定を目指す金融政策です。これは中央銀行が実施し、日本では日本銀行が担っています。具体的には、市場に流通する資金量を増やし経済を刺激することで、金融緩和は金融引き締めと対をなす政策として機能します。金融緩和の目的や金融引き締めとの違いについて、これからわかりやすく解説します。

金融緩和の目的

金融緩和は、景気が冷え込んでいるときに行われる金融政策です。景気が悪いとモノが売れず、世の中の活気がなくなります。企業の業績も下がり、賃金も上がらないと、ますますモノが売れなくなってしまい、経済が停滞してしまいます。
金融緩和の目的は、景気を回復させ、経済成長を促すことです。金融緩和をする場合、日銀はさまざまな方法で金融市場に流通しているお金を増やします。企業や個人がお金を使うようになれば、景気回復につながるからです。

金融緩和と金融引き締めの違い

金融緩和の反対が、金融引き締めです。金融引き締めは、物価を安定させ、景気の過熱を抑制するために行われます。金融緩和により消費が拡大すれば、需要が増えて物価が上昇し、インフレに向かいます。インフレになるとお金の価値が下がってしまうため、金融引き締めが行われることがあるのです。

金融緩和の今後の見通し

今日までの日本の金融政策について、おさらいしておきましょう。日銀が物価上昇率2%を目指す「量的・質的金融緩和」を導入したのは、2013年4月のことです。2%の物価安定目標にはなかなか届かなかったため、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入されます。
2016年9月には、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)も追加されました。イールドカーブとは、債券の利回りと償還期間の関係を示す曲線グラフのことです。イールドカーブ・コントロールは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して景気を回復する政策をいいます。
金融緩和は、その後も続いている状況です。2022年以降、物価は高騰し、2%を上回る上昇率となっています。このような状況下で、大規模な金融緩和策がいつ修正されるのかに注目が集まっています。
2024年1月の日銀の金融政策決定会合では、金融緩和策の維持が決定されました。日銀は、不安定な経済・金融情勢の中、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく方針です。

金融緩和の実施方法

金融緩和の実施方法

金融緩和は、資金供給量を増やし、景気を回復させるために実施されます。具体的にどのような方法で金融緩和が行われるのかを、わかりやすく解説します。

政策金利の引き下げ

金融緩和の代表的な方法が、政策金利の引き下げです。政策金利とは、日銀が金融政策を行う際に調節する金利のことをいいます。
かつては「公定歩合」が政策金利でしたが、現在の政策金利は「無担保コール翌日物レート」です。これは、金融機関同士で短期間のお金の貸し借りをするコール市場で、無担保で翌日返済の短期資金を貸し借りする際の金利です。
政策金利を下げると金融機関は低金利で資金調達ができるため、企業や個人にも低金利で融資を行います。金利が低いと、企業は銀行に支払う利息が減る分利益を多く出せます。また、借入しやすくなることで、設備投資にも積極的になります。つまり、金利が下がると経済活動が活発になるのです。
個人の立場からも、住宅ローンや自動車ローンの金利が下がれば、家や車を購入しやすくなります。預貯金の金利が下がれば、貯蓄をやめてお金を使う人も増えるでしょう。このように、金利引き下げにより個人の消費活動も活発になるのです。

マイナス金利政策

金融緩和をする際に、マイナス金利政策が行われることがあります。マイナス金利政策とは、金利をマイナスにして資金供給量を増やす方法です。マイナス金利になれば、預金者が金利を負担しなければなりません。
マイナス金利政策でマイナスになる金利とは、民間の金融機関が日本銀行に預ける当座預金の金利です。マイナス金利の状況下では、金融機関は日銀に預金しているとお金が減ってしまうため、企業への貸付や投資にお金を回します。こうして市場にお金が出回るようになるのです。

国債の買入れ

日銀が金融市場への資金供給を調節する手段の1つに、公開市場操作があります。公開市場操作では、日銀が保有している国債などの資産を売ること(売りオペ)や、金融機関から国債などを買入れること(買いオペ)により、通貨の量をコントロールします。
金融緩和をする際には、買いオペが行われます。日銀が国債を買入れるときには、国債の代金を金融機関に支払うことになります。これにより金融機関が保有する資金が増えるため、市場にお金が出回るのです。

金融緩和の影響をわかりやすく解説

金融緩和の影響をわかりやすく解説

金融緩和は、市場に流通する資金の量を増やすために行われます。ここで、金融緩和が行われたらどうなるか、金融緩和の影響についてわかりやすく整理してみます。

景気が回復

金融緩和には、景気を底上げする効果があります。金利が低下するとお金を借りやすくなり、企業の設備投資や個人の消費が活発になります。金融緩和により、景気の回復が見込めるのです。

物価が上昇

金融緩和により金利が低下すると、市場における資金供給量が増えます。企業の業績が向上すれば、賃金が上昇して個人の消費意欲が高まります。こうして商品やサービスに対する需要が拡大し、物価が上昇するのが一般的です。
金融緩和すれば、円安を招きやすくなります。円安により原材料価格が高騰することも、物価上昇の原因になります。

円安につながる

金融緩和により国内の金利が下がると、外貨に比べて円を保有するメリットが小さくなってしまいます。そのため、円を売って金利の高いドル等の外国の通貨を買う人が増えます。こうして、円安が進むことになります。
日本は金融緩和策を続けていますが、アメリカは金融引き締め策に転換しています。日米の金融政策が相違した影響で、為替相場は大きく円安方向に動くことになり、その後も円安が続いている状況です。

まとめ

金融緩和とは、景気を回復させるために、日本銀行が行う金融政策の1つです。2013年から続いている大規模な金融緩和により、金利の引き下げ、マイナス金利政策、国債の買入れなどが実施されています。
マイナス金利解除など、金融緩和が修正される時期も近いと思われます。今後の動向に注目しておきましょう。



著者プロフィール

著者 森本 由紀

AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。

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