新NISAは40代からでも始められる?
メリットとリスクを押さえておこう

資産運用を40代から始めることに対する不安は自然なものですが、遅すぎるということはありません。新しいNISA制度では、非課税保有期間の無期限化などの改善により、40代の投資未経験者でも投資を始めやすくなっています。ここでは、40代から資産運用を始める際のメリットとリスクを紹介します。
40代から新NISAを始める人はどのくらい?

40代で新NISAに興味を持ったけれど、今から始めてもいいのかどうか心配されているかもしれません。そこで、実際に40代がどの程度NISAを活用しているのかを見ていきましょう。ここでは、金融庁が調査している「NISA口座の利用状況」を参考に紹介します。
40代でも新NISAを始められる
結論を言うと、40代からでもNISAは始められます。
2023年9月末時点 | 2023年6月末時点 | 増加率 | |
---|---|---|---|
NISA総口座数 | 385万3211口座 | 366万0051口座 | 5.3% |
出典:金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果(令和5年12月22日公表)」
金融庁の調査結果によると、2023年9月末時点で40代のNISA総口座数は約385万口座です。3ヶ月で5.3%増加し、1ヶ月で約6.4万口座が新規開設されていることから、40代から始める人がいるとわかります。
新NISAの特徴をおさらい
調査結果から、新NISA移行前の3ヶ月間でもNISA口座は増加していました。新NISAが始まることをきっかけに検討する人もいるでしょう。そこで、新NISAの特徴をおさらいしておきます。
新NISAの特徴
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がある
- 両枠の併用が可能
- 限度額1,800万円 ※うち成長投資枠1,200万円
- 非課税保有期間:無期限
- 枠の再利用:可
新NISAでは、限度額内であれば再利用が可能です。たとえば、つみたて投資枠を1,800万円まで保有していても、100万円分の金融商品を売却すれば、同額分を新たに購入できます。枠の再利用により、金融商品を入れ替えるリバランスが可能となりました。
40代でNISAを始めるメリット

40代のNISA口座数は増えており、年代別でもNISA口座を持つ40代が多いことがわかりました。それでは、40代がNISAを始めやすいメリットは何でしょうか?ここでは、40代でNISAを始めるメリットについてまとめます。
運用期間が長く、中長期的な資産運用が可能
40代の人は、退職年齢と考えられる65歳まで約20年あります。NISAは、iDeCoのように退職時を目標とする必要はありません。70歳や80歳まで運用しながら、必要に応じて一部を取り崩して生活資金にすることも可能です。80歳を目標とすれば、最長で40年の期間があるため、中長期的な視点で資産運用ができます。
NISAのつみたて投資枠を活用すれば買値ベースで1800万円まで運用でき、ここから得られる利益は非課税です。この枠では基本的に、分散投資される投資信託を定期的に購入し、リスクを抑えながら利益を追求します。ある程度の運用期間が必要となる投資方法ですが、40代から始めても十分な期間を確保できます。
ライフプランをベースにした運用ができる
20代や30代と比べると、40代では収入や生活が安定し、退職後の生活をイメージしやすくなる年代といえます。40代後半になると退職後の生活資金に対する不安をより強く実感するでしょう。一方で、これまで家計のやりくりをしてきた経験から、将来の収支計画を立てやすく、現実的な数値でライフプランを作成できます。
ライフプランを作成すると、より実態に近い数値で資金の不足額を把握できます。不足額が明確になれば年率何%で運用すればよいかわかり、自分に合った投資スタイルで資産運用できます。
投資への理解を深められる時期
支出が増える40代は、金融商品を選択する機会の多い年代でもあります。一般的に20代や30代よりも仕事は安定し、空いた時間を有効活用できる人も多いでしょう。空いた時間や仕事がない日に金融や投資の勉強をして、資産運用に活かせます。
住宅ローンや保険も金融商品です。身に付いた金融や投資の知識は、これらの金融商品にも活かすことができます。これまで何となく理解していた人も、改めて投資の勉強をするいい機会でしょう。
40代でNISAを始めるリスクや注意点

一般的に資産運用には元本保証がなく、稼いだお金が目減りしてしまうリスクがあります。では、40代が抱えるリスクや資産運用での注意点には、どんなものがあるのでしょうか。
支出の増大が、定期的な投資の壁となる
40代は収入や生活が安定する一方、子どもの養育費や教育費、住宅取得費など大きな支出が発生する時期です。子どもが卒業して独立するまでは、投資にお金を回すのは難しいかもしれません。
このように、40代は支出が増える時期でもあるため、投資する余裕がないと考える人も多いでしょう。余剰資金で投資をしていたとしても、急な出費で投資を中断せざるを得ない状況も考えられます。投資に回せるお金を見極めるのが難しい年代といえます。
教育資金や住宅取得資金への影響を最小限にする
40代は投資に回せる金額の見極めが難しいことから、家計の状況を踏まえず、無理して投資すると、教育資金や住宅取得資金が不足することも考えられます。
資産運用の必要性は高まっていますが、投資を始める適切な時期は人によって異なります。資産運用の必要性に迫られて、ほかの支出に影響するほどの資金で運用しないようにしましょう。
なんとなくで始めない
資産運用は誰でも気軽に始められるようになっており、周りで投資をしている人がいれば、少なからず影響を受けるでしょう。このような状況でも、目標額や投資期間、投資の目的を明確にしてから資産運用を始めることが大切です。
40代になれば退職後の生活をイメージしやすくなるため、必要資金を算出しやすいです。投資をする前にライフプランを作成し、資産運用を通して何を達成したいのかを考え、自身や家族のために投資をしましょう。
まとめ
40代から資産運用を始めたとしても、遅くはありません。NISA口座数をみても、増加傾向になりますので、資産運用に興味を持ち始めている人も増えていると思われます。40代であれば、生活や仕事が安定し、運用期間を十分に確保できます。一方で、支出が増え、お金を資産運用に回しにくい状況でもあります。
40代は資産運用を始めたり、投資の知識を身につけたりするのに適しています。40代から始めるのは遅いと考えていた人も、NISAについて調べたり少額投資で始めたりするなど、経験してみるといいでしょう。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。