共働きの世帯年収はどれくらい?
共働きのメリットとデメリットも紹介

年々、共働き世帯は増加傾向にありますが、夫婦のどちらか1人が働いている場合との年収の違いはどれくらいなのでしょうか。また、共働きになるメリットには何があるのかも気になるところです。今回は、共働き世帯の年収やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
共働き世帯の平均年収は約850万円

共働き世帯の年収について、総務省の「家計調査(2023年)」で確認します。
次のグラフは、「夫婦共働き世帯」と「夫のみ働いている世帯」の平均月収を比較したグラフです。共働き世帯の収入は、世帯主の収入と世帯主の配偶者の収入で構成されています。
また、それぞれの世帯について、「夫婦のみ世帯」「子ども1人世帯」「子ども2人世帯」の家族構成ごとの平均月収を示しています。

出典元:総務省「家計調査(2023年):夫婦共働き世帯の収入(60歳未満)」をもとに筆者作成
夫婦共働き世帯(子どもなし)の平均月収は約71.3万円で、年換算すると約855万円です。グラフをみると、子どもの数が多くなるほど平均収入は減っています。子育ての状況に合わせて、仕事を調整していると推測されます。
一方、専業主婦で夫のみが働く世帯(子どもなし)の平均月収は約53.4万円で、年換算すると約641万円です。子ども1人なら約53.2万円、子ども2人なら約54.3万円で、家族構成との関係はあまりみられません。
それぞれの平均月収から世帯年収を算出すると、次のようになります。
夫婦共働き | 夫のみ有業世帯 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
子どもなし | 子ども1人 | 子ども2人 | 子どもなし | 子ども1人 | 子ども2人 | |
世帯主収入 | 6,093,780円 | 6,187,248円 | 6,014,112円 | 6,410,256円 | 6,382,440円 | 6,517,464円 |
配偶者収入 | 2,459,100円 | 2,203,632円 | 2,055,024円 | 0円 | 0円 | 0円 |
合計収入 | 8,552,880円 | 8,390,880円 | 8,069,136円 | 6,410,256円 | 6,382,440円 | 6,517,464円 |
出典元:総務省「家計調査(2023年):夫婦共働き世帯の収入(60歳未満)」をもとに筆者作成
おおむね、「夫のみ働いている世帯」より「夫婦共働き世帯」の年収のほうが、150万~200万円程度、高くなっていることがわかります。
共働き世帯のメリットとデメリット

収入だけでみると「夫婦共働き世帯」のほうが余裕のある生活になりそうですが、実際はどうなのでしょうか。ここでは、共働き世帯のメリットとデメリットについて詳しくみていきます。
共働き世帯のメリット
まずは、共働き世帯のメリットについて紹介します。
経済的安定と向上
世帯収入の増加は、共働き世帯の大きなメリットの1つです。夫婦両方が収入を得ることで、世帯全体の収入が増加します。生活水準の向上や貯蓄・資産運用による資金の増加などにより、経済的余裕が生まれるでしょう。子どもの教育資金については、将来に向けた資金計画が立てやすくなります。
また、失業時の経済的影響を軽減できるメリットがあります。夫婦のどちらかが仕事を失ったり働けなくなったりした場合でも、もう一方の収入があるためリスク分散につながるのです。
キャリアと社会とのつながり
共働き世帯では、夫婦ともにキャリアアップの機会を得られます。仕事を通じてスキルアップや専門性の向上を図れるだけでなく、昇進・昇格の可能性も広がります。この点は個人のキャリア形成に大きく役立ち、個々の生きがいの1つになるでしょう。
社会とのつながりの維持も、重要なメリットです。職場での人間関係の構築を通じて、社会との接点を保ちます。社会への参画や貢献の機会が得られ、自己実現にもつながります。
共働き世帯のデメリット
共働き世帯には、さまざまなデメリットも存在します。
家事・育児の負担と時間不足
労働に時間を費やすことで、家事・育児の負担が増加します。夫婦で家事を分担したとしても、どちらかに負担が偏ることがあります。限られた時間のなかで、家事・育児の効率化を考えなければなりません。
また、共働きによって、夫婦・家族との時間が減少します。コミュニケーション不足や家族団らんの機会の減少は相手の立場を理解しにくくなるため、夫婦・家族関係に影響するでしょう。
子どもと関わる時間の不足も懸念材料です。共働きによって、子どもの成長過程への関与が減少し、親子関係が希薄になるかもしれません。私生活が上手く機能しなければ、少しずつストレスを感じてしまいます。
この問題を解決するためには、夫婦どちらも納得できる家事・育児の分担方法を考え、定期的に話し合う機会を設けることがおすすめです。共働きによる家事・育児の負担の増加と時間不足は想定の範囲内ですので、積極的にコミュニケーションできる時間を設けるといいでしょう。
仕事と家庭の両立の難しさ
共働き世帯では、仕事と家庭の両立が課題となります。限られた時間のなかで、仕事と家庭のバランスを取ることは容易ではありません。時間の管理が難しいため、ワークライフバランスを実現しにくくなります。
両立が上手くいかないと仕事のパフォーマンスが下がったり、家庭内の問題に発展したりするでしょう。仕事と家庭の両立のためには、夫婦双方に工夫と努力が求められます。
この点についても、コミュニケーションの機会を設けることが重要です。共働き生活が上手く機能しないのであれば、夫婦のどちらかがパート形態に移行して環境改善を図ることも検討しましょう。
健康管理の難しさ
共働き世帯では、健康管理が難しくなります。仕事と家事・育児の両立により疲労が蓄積してしまうと、思うように活動できなくなるでしょう。十分な休養が取れなければ、健康を損なうこともあります。職場と家庭のどちらもストレスを感じる環境であれば、精神的な不調を引き起こす可能性があります。
健康管理の難しさは、共働き世帯が直面する課題の1つです。体調管理とメンタルヘルスケアの両方に、十分な注意を払う必要があります。
働くことは夫婦のやりがいになることもあれば、ストレスを抱えることもあります。体に不調を感じる場合に備え、一時的に家事・育児負担を見直したり働く環境を見つめ直したりして、ストレスの少ない環境に身を置くことが大切です。
まとめ
共働き世帯の平均年収は、約850万円です。経済的安定や夫婦の自立性向上などのメリットがある一方、家事・育児の負担増加や仕事と家庭の両立の難しさ、健康管理の難しさなどのデメリットもあります。
共働きによる経済的安定を維持するためには、夫婦でコミュニケーションを取ることを意識し、共働きによるデメリットを最小限に抑えることが重要です。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。