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5年契約の地震保険料の相場は?
仕組みや補償内容などの基本的な内容も押さえよう

2024/07/16
(提供元:CyberKnot
5年契約の地震保険料の相場は?仕組みや補償内容などの基本的な内容も押さえよう

地震大国の日本では、地震保険の重要性が高まっています。2024年には元日から能登半島で大きな地震があり、半年たった今でも復興作業は続いています。大きな地震が発生したときの対策は十分行っておきたいところです。 そこでこの記事では、5年契約での地震保険料の相場や地震保険の仕組み、補償内容などについて詳しく解説します。

5年契約の地震保険料の相場と仕組み

5年契約の地震保険料の相場と仕組み

地震保険料は、地域や建物の構造によって大きく異なります。まずは、地震保険料の相場や契約期間による違い、各種割引制度について詳しく解説します。

保険金額1,000万円の場合の地震保険料(年間保険料)

地震保険料の相場を把握するために、地震保険金額1,000万円の場合の年間保険料を確認します。マンションと戸建てで異なるだけでなく、都道府県によって保険料は変わります。一般的に、地震の発生率が高く被害が大きくなると予測できる都道府県ほど、保険料は高くなります。

マンション 戸建て
愛媛県 11,600円 19,500円
北海道 7,300円 11,200円
岩手県 7,300円 11,200円
新潟県 7,300円 11,200円
東京都 27,500円 41,100円
愛知県 11,600円 19,500円
石川県 7,300円 11,200円
大阪府 11,600円 19,500円
高知県 23,000円 41,100円
福岡県 7,300円 11,200円
鹿児島県 7,300円 11,200円

出典元:一般社団法人日本損害保険協会「地震保険料の試算」をもとに筆者作成

まとめて払うほど保険料は割安

下記の表は、期間ごとの係数表です。年間保険料に係数をかけて求めます。例えば、東京都で購入したマンションについて、地震保険金額1,000万円で5年間分の保険料をまとめて支払う場合、以下の計算となります。

  • 27,500円×4.7=129,250円

毎年27,500円を5年間支払うより、トータルで8,250円の割引となります。

期間 係数
2年 1.90
3年 2.85
4年 3.75
5年 4.70

同様に、5年契約の地震保険料を算出すると、次のようになります。

マンション 戸建て
愛媛県 54,520円 91,650円
北海道 34,310円 52,640円
岩手県 34,310円 52,640円
新潟県 34,310円 52,640円
東京都 129,250円 193,170円
愛知県 54,520円 91,650円
石川県 34,310円 52,640円
大阪府 54,520円 91,650円
高知県 108,100円 193,170円
福岡県 34,310円 52,640円
鹿児島県 34,310円 52,640円

出典元:財務省「地震保険制度の概要」をもとに筆者作成

1度に5年分の保険料を払うため、まとまった資金が必要です。住宅取得資金に地震保険料も含めておき、割引を受けられるように準備しておくといいでしょう。

地震保険の割引制度

地震保険には、下記のような4つの割引制度もあります。

割引制度 割引の対象 保険料の割引率
免震建築物割引 免震基準を満たした建築物 50%
耐震等級割引 耐震等級基準を満たした建築物 耐震等級3:50%
耐震等級2:30%
耐震等級1:10%
耐震診断割引 耐震診断や耐震改修により耐震基準を満たした建物 10%
建築年割引 昭和56年6月1日以降に新築された建物 10%

出典元:財務省「地震保険制度の概要

すべての割引基準を満たしていても、適用できるのはいずれかひとつです。免震建築物割引か耐震等級割引の等級3であれば、50%の割引を受けられます。住まい探しの際には物件の立地や価格だけでなく、地震保険の割引制度も含めて総合的に判断することがおすすめです。

地震保険の補償内容

地震保険の補償内容

地震保険は、地震や噴火、これらによる津波によって生じた損害を補償する保険です。ここでは、地震保険の基本的な仕組みや保険金の支払い条件について解説します。

地震保険の基礎知識

地震保険の保険料は都道府県によって差が設けられており、建物の構造や保険期間(最長5年)によっても異なります。地震保険金額は火災保険金額の30~50%を限度としており、どの保険会社でも建物と家財を保険の対象にできます。
また、地震保険のみの単独加入はできず、火災保険とセットでの加入が必要です。

保険金の支払い条件

地震保険の補償の対象は、建物と家財です。それぞれ全損、大半損、小半損、一部損のいずれかに該当した場合に保険金が支払われます。この4段階の損害の程度に応じて、保険金額が次のように定められています。

損害の程度 平成29年以降保険始期
全損 地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
大半損 地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損 地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損 地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

例えば、全損であれば保険金額の100%、大半損なら保険金額の60%が支払われます。
ただし、地震保険の保険金額は、火災保険の50%までしか加入できません。また、時価額が限度となるため、全損であっても同じ建物を建て直せるわけではありません。保険会社によっては、地震上乗せ特約や地震火災費用特約を付帯することで、補償を手厚くできます。
なお、建物と家財の損害程度については、下記のような基準が設けられています。

損害の程度 基準
全損

建物の基準:主要構造部の損害が延床面積の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の70%以上となった場合

家財の基準:家財全体の時価額の80%以上の損害となった場合

大半損

建物の基準:主要構造部の損害が延床面積の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合

家財の基準:家財全体の時価額の60%以上80%未満の損害となった場合

小半損

建物の基準:主要構造部の損害が延床面積の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合

家財の基準:家財全体の時価額の30%以上60%未満の損害となった場合

一部損

建物の基準:主要構造部の損害が延床面積の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損・一部損に至らない場合

家財の基準:家財全体の時価額の10%以上30%未満の損害となった場合

地震保険の必要性

地震保険の必要性

地震は、いつどこで発生してもおかしくありません。大地震が起これば、一瞬にして家屋や家財といった生活基盤が崩壊する可能性があります。2011年3月11日に発生した東日本大震災や2024年1月1日の能登半島地震などで、地震の恐ろしさを実感している人も多いでしょう。
地震による被害は甚大で広範囲に及ぶことが多く、個人の力だけで復旧するのは困難です。十分な余裕資金がない場合、元の生活に戻るまでに何年もかかることがあります。東日本大震災による仮住まいを退去できた最後の人は発生から10年経っており、能登半島地震では12万棟の住宅が被害を受けています。
地震保険は、このような事態に備える重要な手段のひとつです。地震保険に加入することで被災時の経済的負担を軽減し、より迅速な生活再建を図ることができます。地震のリスクが常に存在する日本において地震保険の加入は、必要不可欠な事前準備といえるでしょう。

まとめ

日本は地震大国であり、大地震により生活基盤が一瞬で崩壊する可能性があります。東日本大震災や能登半島地震の例からも個人の力だけでの復旧は難しく、十分な資金がなければ生活再建に長期間かかるおそれがあります。
地震保険の仕組みを理解し割引制度を活用して、保険料の負担を軽減しつつ万一に備えておきましょう。



著者プロフィール

著者 藤 孝憲

CFP®・宅地建物取引士(未登録)・住宅ローンアドバイザー・証券外務員2種・DCプランナー2級・エクセルVBAエキスパートなど

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。

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