ビタミンB12を多く含む食品とは?
摂取すると得られる効果も解説

魚や肉、野菜などの全食品に含まれるビタミンは、全部で13種類あります。ビタミンは主に糖質や脂質、タンパク質の代謝を促進する働きを持っており、それらと一緒に摂取することで健康効果を実感しやすくなります。
今回はその中でも水溶性ビタミンの1つである「ビタミンB12」の役割や多く含んでいる食品を紹介します。ビタミンB12は体内で勝手に合成される成分ではありません。そこで食品から摂取する必要がある栄養素です。
ビタミンB6や葉酸などと一緒に摂取が推奨されることが多いビタミンB12 ですが、不足していると体のさまざまな不調につながることで知られています。
「手足のしびれが気になる」、「なかなか疲れが取れない」といった不調は、もしかするとビタミンB12が要因かもしれません。本記事を最後まで読んで、自分の食生活を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか?
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 一般]」
ビタミンB12を摂取すると得られる効果
ビタミンB12は、化学名で「シアノコバラミン」と呼ばれる物質です。リン酸やたんぱく質と結合した状態で存在しており、消化の過程において胃の中で切り離され吸収される仕組みとなっています。
ビタミンB12は主に神経の働きを正常に保ったり、赤血球を作るDNAの合成を補助したり、といった働きをおこなっています。また、血中の「ホモシステイン濃度」を低下させる動脈硬化を防ぐ働きも持っており、脳卒中や心血管疾患のリスクを減らす効果にも期待できます。
さらに、ビタミンB12をしっかり取ることで光感受性が高まり、睡眠のリズムが整いやすくなるため、体内時計が正常に機能するようになります。生活習慣が乱れがちな方は、睡眠サイクルを整えるためにもビタミンB12を意識して摂取すると良いでしょう。
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 一般]」
出典:田中消化器科クリニック「No.015 動脈硬化と栄養素」
ビタミンB12が不足すると体に及ぼす影響
ビタミンB12が不足することにより、「ビタミンB12欠乏症」を引き起こし、体の様々な箇所で不具合を感じるようになります。
【ビタミンB12不足により起こりやすい症状】
- 貧血
- めまいや立ち眩み
- 神経障害
- 疲労感、倦怠感を感じやすくなる
- 手足のしびれ
- 目がかすむ、重くなるなどの眼精疲労
- 肩こりや首こり
ビタミンB12は葉酸と一緒に赤血球を作る働きを持つため、不足していると特に立ち眩みやめまいなどで貧血症状を感じることが多くなります。普段よりも血液を多く必要とする妊婦・授乳婦などは特に多く取り入れる必要があるのです。
また、たんぱく質、リン脂質、核酸などで構成されている神経細胞のダメージを修復できず末梢神経障がいを起こすことで、手足がしびれたり、痛みを感じたりすることがあります。
ビタミンB12が不足しやすい傾向の人もいます。実はビタミンB12は、ある程度貯蔵しておくことができるのです。しかし毎日の食事などでタンパク質をまったく摂取しないベジタリアン・ビーガンの人は不足しやすいと言われています。なぜなら野菜類にビタミンB12はほとんど含まれていないからです。
また、暴飲暴食や体質などで胃酸の分泌量が少ない方もビタミンB12を上手く吸収できずに不足しやすくなります。そのような方は胃に負担のかかりにくい食生活を意識することで、改善されやすくなるでしょう。
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 一般]」
ビタミンB12を多く含む食品
ビタミンB12の目安摂取量は、18歳以上の男性で1.4mg、18歳以上の女性で1.1mgです。効率よく摂取するためにも、ビタミンB12が多く含まれる食材を知って、毎日の食生活に取り入れると良いです。
今回は、魚介類・肉類・卵類・藻類にわけておすすめの食材を紹介します。
出典:健康長寿ネット「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量 」
魚介類
魚介類の中でもとくに「貝類」にビタミンB12は多く存在しています。普段の食事に貝類を意識して取り入れていない方でも、パスタやお味噌汁に入れたり、缶詰を利用したりすれば比較的摂取しやすくなります。
食品名 | 加工状態など | ビタミンB12含有量/100gあたり |
---|---|---|
しろさけ(鮭) | 生 | 327.6μg |
しじみ | 生 | 68.0μg |
あさり | 生 | 44.8μg |
かき | 生 | 23.0μg |
たらこ | 焼き | 23.0μg |
さんま | 焼き | 16.0μg |
出典:ふるさと納税DISCOVERY「ビタミンB12を多く含む食べ物とは?働きや必要な摂取量も紹介」
出典:くすりの日本健康堂「ビタミンB12」
肉類
肉類全般に、ビタミンB12は割と豊富に含まれています。そのため、肉類を積極的に摂取していれば自然とビタミンB12も取り込んでいるでしょう。
中でも含有量が多いのはレバーをはじめとするホルモン(内臓)です。貧血防止などに効果のあるイメージが強いレバーですが、鉄分やビタミンB12が多く含まれているため、不足している方におすすめの食材です。
食品名 | 加工状態など | ビタミンB12含有量/100gあたり |
---|---|---|
レバー(牛) | 生 | 53.0μg |
レバー(鶏) | 生 | 44.0μg |
レバー(豚) | 生 | 25.0μg |
小腸(牛) | 生 | 20.5μg |
ハツ(牛) | 生 | 12.1μg |
もも肉(牛) | 生 | 2.4μg |
豚タン | 生 | 2.2μg |
牛肩ロース肉 | 生 | 2.1μg |
牛ヒレ肉 | 生 | 2.0μg |
生の状態に含まれる量が多いですが、肉類の場合加工して食べることの方が多いかと思います。できれば焼くのみなど、シンプルな調理で摂取するとビタミンB12を効果的に取り入れやすくなります。
出典:ふるさと納税DISCOVERY「ビタミンB12を多く含む食べ物とは?働きや必要な摂取量も紹介」
卵類
普段の食事にも取り入れやすい卵ですが、特に黄身の部分にビタミンB12が含まれています。卵白にはほぼ含まれていないため、効率よく摂取したいなら卵黄の部分を積極的に食べると良いでしょう。
食品名 | 加工状態など | ビタミンB12含有量/100gあたり |
---|---|---|
卵(うずら) | 生 | 4.7μg |
鶏卵(黄身) | 生 | 3.5μg |
卵(うずら) | 水煮 | 3.3μg |
鶏卵(全卵) | 生 | 1.1μg |
うずらの卵は、容量が小さいため多く取ろうとするよりも、水煮の缶詰を利用したサラダや煮物に加えると定期的に食べやすくなります。
他にもチーズ類にも少量含まれているため、朝ごはんの卵焼きにチーズを含ませたり、パルメザンチーズをトッピングとして振りかけたりすると、美味しく効果的に摂取することができます。
出典:ふるさと納税DISCOVERY「ビタミンB12を多く含む食べ物とは?働きや必要な摂取量も紹介」
藻類
藻類の中でもとくに「のり」には多くのビタミンB12が含まれています。おにぎりに巻いたり、トッピングで細のりをかけたり、少量でも構わないので積極的に取り入れていきましょう。
お味噌汁によく使われるわかめやこんぶなどには含まれている量が少ないため、他の食材でカバーする必要があります。
食品名 | 加工状態など | ビタミンB12含有量/100gあたり |
---|---|---|
のり | 干しのり | 78.0μg |
のり | 焼きのり | 58.0μg |
のり | 味付けのり | 58.0μg |
いわのり | 素干し | 39.9μg |
あおさ | 素干し | 1.3μg |
わかめ | 生 | 0.3μg |
出典:ふるさと納税DISCOVERY「ビタミンB12を多く含む食べ物とは?働きや必要な摂取量も紹介」
出典:医療法人社団エムズ「ビタミンB12とは?効果や多く含まれている食べ物などを医師が解説します」
ビタミンB12を毎日の食事に取り入れよう
ビタミンB12はサプリメントなどにも含まれていることが多い栄養素です。しかし、できれば毎日の食事から取り入れる習慣をつけていきましょう。1つの食材から摂取しようとするよりも、今回紹介した魚介類・肉類・卵類・藻類からすこしずつ摂取し、バランスの良い食事を意識することが重要です。
余分な分は自然排出され、過剰摂取することで異常が起きるリスクも低いビタミンなので、摂り過ぎを気にしすぎる必要もないでしょう。「最近なんだか疲れやすい」、「慢性的な貧血がなかなか治らない」といったことにお困りの方は、本記事を参考にビタミンB12を摂るよう、食生活を見直してみてください。