学資保険のメリットとデメリット!
資金を準備する方法もあわせて紹介

子どもの教育資金の準備方法として、学資保険を検討している人は多いのではないでしょうか。この記事では、学資保険のメリット・デメリットのほか、資金準備の方法やポイントを解説します。
学資保険とは?基本的な仕組みと特徴

学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品です。まずは、学資保険の仕組みや特徴について解説します。
基本的な仕組みと特徴
学資保険は、保険料を一定期間払い込むことで、子どもの進学時期に合わせて教育資金を受け取れる商品です。大学進学時期にまとめて資金を受け取るタイプや、中高への進学時期、大学在学中に受け取れるタイプもあります。
基本的に学資保険は払込保険料の総額よりも多くの教育資金を受け取れるため、効率よく資金を準備できるでしょう。ただし、保険料払込期間が短かったり、医療保障を付帯したりした場合には、払込保険料の総額のほうが多くなることもあります。
また、学資保険は保険料払込期間中、契約者(親など)に万一のことがあっても教育資金を受け取れることから、死亡保障としての役割もあります。
教育費用はいくらぐらい必要になる?

教育資金の準備に入る前に、目標額を決める必要があります。そこで、幼稚園から大学までにかかる教育費データを確認してみましょう。
幼稚園から高等学校までの進路 | 総額 |
---|---|
すべて公立 | 5,744,201円 |
すべて私立 | 18,384,502円 |
出典元:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果」
区分 | 総額 |
---|---|
国立大学 | 2,425,200円 |
私大文科系学部 | 4,107,759円 |
私大理科系学部 | 5,417,532円 |
私大医歯系学部 | 23,543,099円 |
私大その他学部 | 5,088,676円 |
私立短大(2年間として計算) | 2,022,932円 |
出典元:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
私大文科系学部を目標にすると、子どもが17歳(18歳)になるまでに約400万円を準備する必要があります。さらに、学資保険で準備する金額を決定します。学資保険で200万円、残りを貯蓄や資産運用で準備するなどの準備方法を決めていきましょう。
学資保険のメリット

学資保険には、教育資金の準備においてさまざまなメリットがあります。ここでは学資保険の主なメリットを紹介します。
計画的な教育資金の準備が可能
学資保険の最大のメリットは、子どもの教育資金を計画的に準備できることです。毎月(毎年)一定額を支払うことで、将来の大きな出費に備えられます。特に、教育費用が膨らむ高校や大学への進学時期に合わせて資金を用意できるため、家計の負担を軽減できます。
万一の場合でも保障が継続
契約者(親)が亡くなった場合でも、教育資金は契約通りに支払われます。また、保険料免除特約を付帯しておけば、保険料の支払いは免除されます。この仕組みにより教育資金を確保でき、万一のときでも子どもは教育を受け続けられるのです。
受取時期の設定が可能
多くの学資保険商品では、教育資金の受取時期を複数のプランから選択できます。子どもの進学スケジュールに合わせて、小学校入学時、中学校入学時、高校入学時、大学入学時など、必要なタイミングで資金を受け取れます。
税制優遇がある
学資保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象です。生命保険料控除により所得税や住民税を軽減できる可能性があるため、結果として保険料負担の軽減につながります。
学資保険のデメリット

学資保険には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは学資保険のおもなデメリットを紹介します。
中途解約時の元本割れリスク
学資保険は、一般的に10年以上の長期にわたって保険料を支払います。その期間中に家計の状況が悪化し、保険料を支払うのが難しくなって中途解約するケースが考えられるでしょう。
学資保険を中途解約すると解約返戻金として一部の保険料が戻ってきますが、解約返戻金が払込保険料総額を下回る可能性があります。これを、元本割れリスクといいます。このリスクを回避するためには、資金計画を立て、無理のない範囲で保険に加入する必要があるのです。
運用利回りが低い可能性
学資保険は安全性を重視した保険商品であるため、一般的に運用利回りは低めです。特に低金利時代においては、ほかの投資商品と比較すると魅力的な利回りは期待しにくいという特徴があります。将来的に教育費用が値上がりした場合、学資保険による資金が目減りすることも考えられるでしょう。
資金準備をすべて学資保険に依存せずに資産運用を併用して準備するなどして、インフレリスクを軽減する必要があります。
計画変更の難しさ
学資保険は長期的な契約を前提としているため、ライフプランの変更に柔軟に対応することが難しい場合があります。たとえば、子どもの進路変更や家庭の経済状況の変化などに応じて、支払い計画や受取時期を大幅に変更することは難しいのが一般的です。中途解約による元本割れリスクも、計画変更を難しくしている要因のひとつです。
柔軟に計画変更できるように、複数の方法で資金準備しましょう。次章では、学資保険以外の資金準備方法を解説します。
学資保険以外の教育資金準備方法

教育資金の準備方法として、学資保険のほかにもさまざまな方法があります。ここでは、代表的な準備方法を紹介します。
教育ローン
教育ローンは、金融機関から教育資金を借り入れる方法です。必要なときに必要な額を調達できるのが大きな利点ですが、利息の負担があるため返済計画を立てる必要があります。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」や民間金融機関の教育ローンなど、さまざまな選択肢があります。
NISA・貯蓄
NISA(少額投資非課税制度)を利用した投資や、普通の貯蓄も教育資金準備の方法として有効です。これらは柔軟性が高く、特にNISAで得た運用益は非課税で再投資できるため、効率よく準備できます。
ただし、投資の場合は元本保証がなく、貯蓄は低金利環境では増えにくいというデメリットがあります。リスクとリターンのバランスを考慮しながら、長期的な視点で運用することが重要です。
奨学金
奨学金は、学生に対して学資を貸与または給付する制度です。経済的な負担を軽減できる点が大きなメリットで、特に給付型は返済不要です。ただし、貸与型は卒業後に返済が必要で、借り過ぎると返済が厳しくなる点には注意する必要があります。
奨学金には、日本学生支援機構や民間団体、大学独自の奨学金制度など、さまざまな選択肢があります。
贈与
祖父母などからの贈与も、教育資金準備の一つです。贈与方法には、大きく二つあります。
一つは、教育資金目的で贈与する方法です。祖父母が孫の生活資金や教育資金で贈与する場合は非課税です。ただし、余分に贈与したり贈与契約書を結ばずに贈与したりすると、贈与税の課税対象となる可能性があります。贈与する場合には、税務署などに確認してからにしましょう。
もう一つは、教育資金の一括贈与の特例を活用する方法です。1,500万円までの贈与は非課税となるため、まとまった資金を一度に渡せます。
まとめ
学資保険は教育資金の準備方法として人気はありますが、中途解約のリスクなどデメリットも考慮しなければなりません。学資保険以外の準備方法も検討し、家庭の経済状況に合わせた最適な方法・組み合わせを考えていきましょう。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。