元本割れとは?
対処法や注意点を知って資産運用のリスクに備えよう

資産運用を行ううえで、多くの方が気にするのが元本割れのリスクです。元本割れとは、投資した資金が減少し、当初の元本を下回る状態を指します。本記事では、元本割れの意味や対処法、リスクを抑えるための注意点など、資産運用を成功させるためのポイントを紹介します。
元本割れとは?

元本割れとは、投資した資金が減少し、運用結果として元本を下回る状態です。例えば、100万円を投資して運用した結果、評価額が80万円になった場合、20万円の損失が発生します。これが元本割れです。元本割れは、市場の価格変動、企業業績の悪化、経済情勢の変化など、さまざまな要因によって引き起こされます。
金融商品によって元本割れのリスクに差がある点には注意が必要です。株式投資や投資信託は市場の変動に影響を受けやすく、リスクが高い傾向にあります。一方で、定期預金や個人向け国債のような元本保証型の金融商品は、元本割れのリスクが少ないです。
投資を行う際は、リスクとリターンのバランスを理解し、自分のリスク許容度に合った運用を心掛けることが大切です。
元本割れしたときの対処法とは?

元本割れした際には、冷静に状況を分析し、適切な対処を取ることが大切です。将来的な値上がりを期待して保有を続けるか、配当金を受け取りながら回復を待つか、もしくは損切りをして別の投資へ切り替えるなどの選択肢があります。
そのまま保有し上昇を待つ
元本割れしたなかでも一般的な選択肢の一つが、そのまま保有して価格が回復するのを待つ方法です。
特に、長期的な成長が見込める資産や、一時的な市場の変動によって価格が下がっている場合は、焦って売却せず待つことで元本割れを解消できる可能性があります。株式市場では短期的な変動があっても、長期的には成長する企業が多く、時間をかけることで元本割れが解消されるケースも少なくありません。
ただし、この方法を取る際は投資先の企業や市場の動向を定期的に確認し、回復の見込みがあるかを慎重に見極める必要があります。回復の兆しが見えない場合は、他の対策も検討してみましょう。
そのまま保有し配当金を受け取る
元本割れしていても、配当金を受け取りながら長期保有を続ける方法もあります。特に、高配当株や分配金が定期的に支払われる投資信託を保有している場合、この方法は有効です。
例えば、株価が下がってしまっても年間4〜5%の配当利回りがあれば、長期的には損失を埋め合わせることが可能です。また、配当金を再投資することで、複利効果を活かした資産形成も期待できます。
ただし、配当金を出す企業でも業績が悪化すれば減配や無配になるリスクもあるため、投資先の財務状況を定期的にチェックすることが大切です。
上昇が期待できない場合は損切りする
元本割れした資産が今後回復する見込みが低い場合、損切りをして資金を別の投資先に移す方法もあります。特に、企業の業績悪化や市場環境の変化によって、株価の回復が難しいと判断される場合は、早めに損切りをすることでさらに大きな損失を防ぐことが可能です。
損切りの目安としては、事前に「〇%下がったら売却する」とルールを決めておくと、冷静な判断ができます。損切りした資金を他の有望な資産に再投資することで、結果的に損失を取り戻せる可能性もあります。
損切りは精神的に難しい決断ですが、長期的な資産運用を考えた場合、適切なタイミングでの見切りも重要な戦略の一つです。
元本割れのリスクを抑えるための注意点

元本割れのリスクを完全になくすことは難しいですが、適切な対策を取ることでリスクを最小限に抑えられます。ここでは、元本割れのリスクを抑えるために実践すべき具体的な方法や注意点について解説します。
投資先を分散してリスクを抑える
元本割れのリスクを軽減するために、投資先を分散することは非常に大切です。一つの金融商品や企業に資産を集中させると、その資産が元本割れした場合の影響が大きくなります。
株式投資であれば、特定の業種や企業に偏らず、異なる業界や地域の銘柄を組み合わせることでリスクを分散できます。さらに、株式・債券・不動産・金など、異なる資産クラスに投資することで、価格変動の影響を抑えられます。
このように、分散投資を行うことで、リスクを分散させながら安定的に資産を増やせるのです。
運用期間を長く取ってリスクを抑える
短期間の値動きに惑わされず、長期的に資産を運用することも、元本割れのリスクを抑えるための重要なポイントです。金融市場は短期的に大きく変動することがありますが、長期的に見ると成長している傾向があります。そのため、一時的な価格の下落に慌てず、長期的な視点で運用することで、元本割れのリスクを低減できます。
また、長期保有することで、複利効果を活かしながら資産を増やすことも可能です。短期の値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で計画的に投資を続けることが大切です。
損切りする金額や割合を決めておく
投資においてもっとも避けるべき失敗の一つは、感情的な判断によって損失を拡大させてしまうことです。これを防ぐために、事前に損切りラインを決めておくことがおすすめです。例えば、「投資額の〇%下がったら売却する」「一定期間内に価格が回復しなかったら売却する」などのルールを設定しておけば、冷静に判断しやすくなります。
損切りは精神的に難しい決断ですが、長期的な資産運用を成功させるためには、適切なタイミングで損失を確定し、新たな投資へ切り替えることも必要です。
元本確保型の金融商品を選ぶ
元本割れのリスクをできるだけ避けたい方は、元本確保型の金融商品も選択肢の一つです。
定期預金や個人向け国債は基本的に元本割れのリスクがなく、安全性の高い運用が可能です。
一部の投資信託や保険商品には、一定の保証が付いているものもあり、比較的低リスクで資産運用ができます。ただし、元本確保型の商品はリスクが低い分リターンも低い傾向があるため、資産形成のスピードは遅くなります。
リスクを抑えつつ安定的に資産を増やしたいのか、多少のリスクを取ってでも高いリターンを狙うのかをしっかり考え、自分に合った運用方法を選ぶことが大切です。
まとめ
元本割れは投資において避けられないリスクですが、適切な対策を取ることでリスクを最小限に抑えられます。元本割れしたときの対処法や、元本割れのリスクを下げるための注意点を理解しておきましょう。
大切なのは、自分のリスク許容度に合った投資戦略を選び、長期的な視点で資産を増やしていくことです。適切なリスク管理を行いながら、安定した資産形成を目指しましょう。

広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。