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がん保険は本当にいらない?
不要な理由や必要性のあるケースを紹介

2025/04/29
(提供元:CyberKnot
がん保険は本当にいらない?不要な理由や必要性のあるケースを紹介

将来の万が一に備えて調べると「がん保険はいらない」という情報を目にすることがあります。がん保険は備えたい保障や経済状況などによって、必要性が異なるものです。この記事では、がん保険が不要な理由や必要性のあるケースについて解説します。

がん治療とがん保険の特徴

がん治療とがん保険の特徴

まずは、がんの罹患確率や治療費、がん保険の特徴について解説します。

がんに罹患する確率

国立研究開発法人国立がん研究センターの発表したデータによると、日本人でがんに罹患する確率は男性で62.1%、女性で48.9%といわれています。同データの2023年の結果では、がんによる死亡率は男性で24.7%、女性で17.2%です。一方で、がんと診断された人のうち5年後に生存している割合は、男性で62%、女性で66.9%となっています。
がんに罹患する確率は一生のなかで半数以上の人に当てはまりますが、治療して生存する可能性も十分にあるのです。がんの治療費や収入減少に備えることで、治療後の生活を安心して迎えられるでしょう。

参考:国立研究開発法人国立がん研究センター 最新がん統計

がんの治療にかかる医療費

厚生労働省の医療給付実態調査(2022年度)によると、がん治療費は1件当たり約82万円(入院)、約7万円(入院外)です。これは全国健康保険協会の被保険者の治療費になります。個人の窓口負担は、この金額のうち該当する割合(1~3割)に応じて支払うものです。
がんの種類や治療内容、入院や通院の期間によって金額は異なりますが、治療にかかる医療費の平均的な目安になります。

参考:厚生労働省「医療給付実態調査」2022年度
※【表番号 3】「Ⅱ 調査結果の概要」表⑦1件当たり診療費 より

がん保険の主な保障内容

がん保険の主な保障内容は、診断時や入院、手術などに応じて保険金額や日数、回数が定められています。診断給付金は、がんと診断されたときに受け取る給付金です。放射線や抗がん剤、ホルモン剤などの治療を受けたときには、治療給付金が受け取れます。
また、入院や手術、通院が必要になったとき受け取れるのは、それぞれ入院給付金、手術給付金、通院給付金です。がんが原因で死亡した場合に給付される死亡給付金もあります。
希望して先進医療を受けた場合に受け取れるのは、先進医療給付金です。先進医療給付金は単体での加入はできず、他の保障に特約として付加するがん保険が一般的になります。

がん保険が不要といわれる理由

がん保険が不要といわれる理由

ここからは、がん保険が不要といわれる理由について解説します。

公的な医療保険制度

日本では国民皆保険制度が採用されているため、がんの治療費には公的な医療保険制度が適用されます。

治療費に対する療養の給付

がんの治療費には療養の給付が適用されて実際の負担額が軽減されるため、がん保険はいらないといわれることがあります。負担割合は年齢や収入によって異なり、未就学児と70~74歳は2割、小学生~69歳は3割、75歳以上は1割負担です。
ただし、70歳以上でも現役並みの所得がある場合は3割負担となります。がんの治療費が80万円だったとしても、3割負担なら24万円、2割負担なら16万円、1割負担なら8万円です。

高額療養費制度

年齢と所得状況に応じて、1月当たりの自己負担限度額を超えた医療費を払い戻す、高額療養費制度があります。高額療養費制度によって、療養の給付の自己負担額からさらに医療費が軽減されるため、がん保険はいらないといわれることがあります。
高額療養費制度の自己負担限度額でどの区分に該当するか、自分の加入している健康保険の区分を確認してみましょう。

傷病手当金

会社員や公務員で健康保険に加入している場合、がん治療で休業したときに傷病手当金が受け取れます。傷病手当金は支給開始前の1年間の月収の約3分の1が支給されるため、がん保険がいらない理由として挙げられます。
自営業や個人事業主で国民健康保険に加入している人は、傷病手当金の対象とならないため注意しましょう。

貯蓄があれば保険は不要

がんの治療には数十万円必要になったり、長期間入院したりする場合がありますが、十分な貯蓄があればがん保険はいらないです。治療費をまとめて支払える貯蓄や仕事を休んで収入が減ったとしても、経済的な余裕があればがん保険の給付は不要になります。
貯蓄で備える場合、がんの種類や治療方法によっては高額で長期化することがあるため、万が一のケースを想定しておくと安心です。

がんに罹患しなければ保険料が無駄になる

掛け捨て型のがん保険では、解約時や満期時に給付金等が受け取れないため、がんに罹患しなければ保険料が無駄になります。保険料が無駄になるならがん保険はいらないと考える人もいるでしょう。
日本人の罹患率を見ると、半数程度はがんになる可能性があるため、無駄になるか予測するのは難しいです。保険料が無駄になるという理由だけで判断するのではなく、がん保険がなくても治療費や生活費に問題はないか、確認してみましょう。

がん保険が必要なケース

がん保険が必要なケース

ここからは、がん保険が必要なケースについて解説します。

貯蓄や収入では治療費が不足する

がん治療は数十万円必要だったり、長期入院・通院したりする可能性があるため、貯蓄や収入でまかなえない場合は、がん保険は必要です。貯蓄や収入で治療費に対応できるか、家計状況を整理したり、将来の収支を試算したり、数字を見ながら検討しましょう。
特に大きな支出が発生する住宅や自動車の購入、子どもの進学などのタイミングで、がんの治療費を想定しておくと安心です。

先進医療を受けたい

公的な医療保険制度の対象外となる先進医療を受けたい希望が特に強い場合は、がん保険の必要性が高いです。先進医療には陽子線治療や重粒子線治療などがあり、身体への負担が少ないとして注目されています。
公的な医療保険制度の対象となる治療方法と先進医療を比較して、選択肢に入れたいか検討しておきましょう。

入院での個室や通院費を備えたい

がんの治療のための入院では、治療上必須の場合や病院の都合を除いて、個室を利用するには別途費用がかかります。2人部屋や1人部屋、個室の設備等が整っている病室では、入院期間が長くなるほど費用も高額になります。
がんの治療で通院する場合、治療法や病状によって金額は異なりますが、家計にとっては大きな負担です。通院費だけでなく、通院のために仕事を休んで収入が下がる可能性も考慮して、備えておきたい場合は必要性が高くなります。

まとめ

がん治療は公的な医療保険制度が適用されますが、ある程度の費用は自己負担が発生するため、保険で備えておくと安心です。がん保険はいらないといわれる理由を理解したうえで、自分にとっての必要性を検討することが大切です。がん保険が不要な理由と必要性が高いケースについて参考にしてみてください。



著者プロフィール

著者 岩崎 祐二

FP技能士2級、AFP(日本FP協会)

ライフとキャリアを総合した視点で、人生設計をマンツーマンでサポート。日々の家計管理から、数十年先に向けた資産設計まで実行支援しています。

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