耐震工事の費用はいくら?
予算の目安や利用できる補助金制度について紹介

日本は地震が多い国のため、自宅の耐震性を高めたいと考えている人もいるでしょう。耐震工事に対しては、各自治体が補助金制度を実施しています。この記事では、耐震工事にかかる費用の目安を紹介したあとに、自治体が実施している補助金制度について詳しく解説します。
耐震改修工事費用の目安

耐震改修工事費用の目安については、国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」にまとめられています。この資料を参考に、費用の目安を紹介します。
一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
建物の種類 | 最も多い工事費 |
---|---|
木造住宅(平屋建て) | 100~150万円 |
木造住宅(2階建て) | 100~150万円 |
共同住宅(3~5階建て) | 10,000円/㎡未満 |
共同住宅(6階建て以上) | 10,000円/㎡未満 |
出典元:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
木造住宅(平屋建て)
木造住宅(平屋建て)の工事費用は、100~150万円が最も多く、半数以上は150万円以下で行われています。

出典元:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
木造住宅(2階建て)
木造住宅(2階建て)の工事費用は100~150万円が最も多く、半数以上が約190万円以下で行われています。

出典元:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
共同住宅(3~5階建て)
共同住宅(3~5階建て)の工事費用は10,000円/㎡未満が最も多く、半数以上が約10,000円/㎡以下で行われています。

出典元:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
共同住宅(6階建て以上)
共同住宅(6階建て以上)の工事費用は10,000円/㎡未満が最も多く、半数以上が約12,000円/㎡以下で行われています。

出典元:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」
耐震改修工事の補助金制度

耐震改修工事の補助金制度・補助金額は、自治体によって異なります。ここでは、自治体が実施している補助金制度をいくつか紹介しますので、費用負担の程度を確認してみてください。
補助金制度の種類
補助金の対象は一般的に、「耐震診断」「補強設計」「耐震改修」に分かれています。
耐震工事では、耐震診断によって改修が必要となれば、補強設計で補強案やコストを検討します。補強案の決定後は施工会社を決定し、耐震改修を実施します。
この各工程で、補助金を受けられる場合があります。また、補助金の対象となる住宅の種類も、自治体によって異なります。まずは、愛媛県・高知県・香川県・徳島県で受けられる補助金制度の概要を見てみましょう。
耐震工事にかかる補助金制度の概要
愛媛県・高知県・香川県・徳島県の補助金制度を見ると、「耐震改修設計」「耐震改修」に加え、「耐風改修」や「耐震シェルター」に対する支援も見られます。
四国地方は台風が通過する地域で、春や秋の台風シーズンには愛媛県の一部の地域で「やまじ風」による被害が出るなど、強風への備えも必要です。そのため、耐風工事に対する支援もあります。一般的に補助金には上限額が設けられており、「5分の4補助」のように工事費用の一部を本人(申請者)が負担するタイプもあります。
たとえば、「上限額30万円で5分の4補助」で30万円を支出すれば、24万円を補助金として受け取れます。40万円の支出であれば、40万円×4/5=32万円となり上限額を超えてしまうため、30万円の補助となります。
補助金制度への理解を深めるために、愛媛県・高知県・香川県・徳島県の補助金制度をいくつか紹介します。
愛媛県四国中央市
愛媛県四国中央市の制度では、木造住宅のみが対象です。市による耐震診断で一定の基準に満たない場合に、補助金の対象となります。耐風改修工事に対する補助金もあり、耐震改修工事とあわせて実施することが要件の一つとなります。
工事内容 | 補助金 |
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耐震改修設計 | 4/5補助(上限額30万円) 耐震結果1年以内の申請なら上限額40万円 |
耐震改修工事 | 4/5補助(上限額100万円) 耐震結果1年以内の申請なら上限額150万円 |
耐風改修工事 | 23/100補助(上限額55.2万円) |
耐震シェルター設置 | 上限額40万円 |
愛媛県伊予市
愛媛県伊予市の補助金制度は、一定の一戸建て木造住宅が対象です。耐震診断で補強が必要と判断された建物で、改修後に「倒壊しない」「一応倒壊しない」と評価されるものに限られます。
工事内容 | 補助金 |
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耐震改修工事 | 4/5補助(上限額100万円) |
改修設計費 | 2/3補助(上限額20万円) |
工事監理費 | 1/3補助(上限額2万円) |
耐風改修工事(瓦屋根) | 23/100を補助(上限額55.2万円) |
耐震シェルター設置工事 | 上限額40万円 |
愛媛県西予市
愛媛県西予市の補助金は、一定の木造住宅が対象です。対象となる工事は、耐震改修工事と耐風改修工事で、耐震診断にも補助金額が出ます。耐震改修工事と耐風改修工事には自己負担がなく、上限額までなら全額支払われます。
工事内容 | 補助金額 |
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耐震改修工事 | 上限額114万円 |
耐風改修工事 | 上限額55.2万円 |
耐震診断 | 2/3補助(上限額2万円) |
高知県高知市
高知県高知市の補助金制度では一定の木造住宅だけでなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のような非木造住宅も対象です。また共同住宅や長屋も補助金の対象で、4戸以上は耐震改修計画の補助金の上限額が、41万円(木造住宅)/60万円(非木造住宅)となります。
工事内容 | 補助金額 |
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設計 | 上限額20.5万円 |
工事費 | 上限額100万円(個人は120万円) |
香川県高松市
香川県高松市の補助金制度は、一戸建て住宅、長屋などのほか、賃貸住宅も対象となっています。耐震診断の費用のうち1/10は負担しなければなりませんが、耐震改修工事では100万円を限度に全額が補助の対象となります。
工事内容 | 補助金額 |
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耐震診断 | 9/10(上限9万円) |
耐震改修工事 | 上限額100万円 |
木造簡易耐震改修工事 | 上限額50万円 |
耐震シェルター等設置工事 | 上限額20万円 |
香川県丸亀市
香川県丸亀市の補助金制度では、一戸建て住宅や長屋、賃貸住宅などが対象となります。耐風工事に対する補助金はありませんが、耐震診断・耐震改修工事、耐震シェルター設置工事に対して補助金を受け取れます。
工事内容 | 補助金額 |
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耐震診断 | 9/10(上限額9万円) |
耐震改修工事 | 上限額100万円 |
簡易耐震改修工事(木造住宅のみ) | 上限額50万円 |
耐震シェルター等設置工事 | 上限額20万円 |
徳島県徳島市
徳島県徳島市の補助金制度では、耐震診断・耐震改修工事、耐震シェルター設置のほか、ICTやAI設備を備えたスマート化工事や住替え・建替えにより木造住宅を除去する工事に対する補助金もあります。
工事内容 | 補助金額 |
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耐震診断 | 耐震診断のみ:無料 補強計画・概算費用:6千円 |
耐震改修支援 | 4/5補助(上限額100万円) 感震ブレーカー設置費用10万円上乗せ |
耐震シェルター設置 | 4/5補助(上限額80万円) |
住まいのスマート化 | 2/3(上限額30万円) |
住替え | 2/5(上限額30万円) |
補助金制度の注意点
補助金制度を利用するにあたり、注意すべき点は以下のとおりです。特にこの制度は先着順ですので、早めに準備しておきましょう。
補助金制度の注意点・ポイント
- 建築工法によって、補助金の対象外となることがある
- 補助金制度は先着順で、定員になり次第、締め切られる
- 補助金を受けるためには、各市町村の要件を満たす必要がある
まとめ
地震はいつ起こるのかがわからないため、早めに耐震性を強化しておく必要があるでしょう。耐震改修工事の費用は、建物の種類によって異なります。補助金制度を利用することで、工事費用の負担を軽減するのがおすすめです。この制度は先着順で対象者が限られているため、早めに確認しておきましょう。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。