国債のデメリットは?
買うメリットと知っておくべきリスクもあわせて紹介

安全性の高い投資商品として、国債は人気です。ただし、どんな投資商品もメリットばかりではありません。国債の購入を検討しているなら、デメリットやリスクも理解しておきましょう。本記事では、国債の基本的な仕組みや購入方法、買うメリットや知っておくべきリスクについて解説します。
国債とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説

国債は安全性が高いといわれますが、そもそもどんな仕組みの商品なのかを理解しておくことが大切です。ここでは、国債の基本的な仕組みや種類、購入方法を整理してみましょう。
国債の基本的な仕組み
国債とは、国が資金を調達するために発行する債券です。投資家は国にお金を貸し、その見返りとして一定期間後に元本と利息を受け取ります。いわば、国と投資家との間の借用証書のようなものです。
国が破綻する可能性は非常に低いため、国債は安全性が高い金融商品といわれます。ただし、国債にもデメリットがないわけではありません。投資するときにはよく考えて判断することが大切です。
個人が購入できる国債の種類
日本国政府が発行する国債にはさまざまなものがありますが、個人が購入できるのは「個人向け国債」「新窓販国債」です。ここでは、個人だけが購入できる個人向け国債について説明します。
個人向け国債は1万円から購入可能で、一定期間が経過すれば請求に応じ国が買い取る中途換金制度があるのが特徴です。次の3種類が用意されています。
固定3年
発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定金利型で、3年満期の国債です。利率は「基準金利-0.03%」となっています。この場合の基準金利とは、「募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りをもとに計算した期間3年の固定利付国債の想定利回り」です。
固定5年
固定金利型で5年満期の国債で、利率は「基準金利-0.05%」です。この場合の基準金利とは、「募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りをもとに計算した期間5年の固定利付国債の想定利回り」となります。
変動10年
実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わる変動金利型で、10年満期の国債です。実勢金利が上昇すれば受け取れる利息が増えます。利率は「基準金利×0.66」で、基準金利は「利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札利回り」です。
国債の購入方法
個人向け国債は、証券会社、銀行、郵便局などの金融機関で購入できます。購入の流れは次のとおりです。
1. 購入する金融機関を決める
個人向け国債を購入できる金融機関は、財務省のホームページで調べられます。
2. 口座開設に必要なものを確認
初めて国債を購入するときは、金融機関で国債専用の口座を開設する必要があります。購入を希望する金融機関で、口座開設に必要なもの(本人確認書類、マイナンバー確認書類、印鑑等)を確認します。
3. 専用口座を開設
金融機関の窓口で専用口座を開設する手続きをします。金融機関により、口座開設には数日かかることがあります。
4. 購入申し込み
国債は発行日以前の一定期間に購入できます。金融機関によっては、インターネットでの購入も可能です。申込後、発行日になると自動的に口座に組み入れられます。
投資する前にメリット・デメリットを知っておく
どんな投資商品にもメリットとデメリットがあります。国債への投資を検討する際には、メリットだけでなくデメリットやリスクも理解しておきましょう。国債は安全性の高い投資商品として人気がある一方で、流動性の制約やインフレリスクなどから、「買ってはいけない」という人もいます。
国債を買うメリット

個人向け国債には、次のような魅力的なメリットがあります。
安全性が高い
国債は国が発行しているため、企業が発行する社債と比較して信用リスクがきわめて低く、元本の安全性が高度に保たれています。国の財政が破綻しない限り、元本が返還されないリスクはほとんどありません。投資初心者や安定的な運用を求める投資家にとっては、安定した資産運用の基盤として活用できます。
定期預金よりも高い金利
現在の低金利時代において、銀行の定期預金ではほとんど利息がつきません。しかし、個人向け国債は、定期預金よりも高い利回りが期待できる場合があります。変動金利型の個人向け国債は、市場の金利が上昇すると利回りも上がるため、将来的な金利上昇を見据えた運用が可能です。
少額から手軽に購入できる
個人向け国債は1万円から購入できるため、まとまった資金がなくても始められます。毎月募集しているため、資産形成の第一歩として少しずつ積み立てていくことも可能です。投資と聞くとハードルが高いと感じる人も、個人向け国債なら手軽に始められるでしょう。
国債のデメリットと知っておくべきリスク

安全性の高い商品として人気の国債ですが、メリットばかりではありません。以下のような理由から「買ってはいけない」といわれることもあります。
金利変動による利回り低下の可能性
固定金利の国債の場合、購入後に市場金利が上昇すると相対的に魅力が低下し、売却時に価格が下落する可能性があります。特に長期間の保有を前提に考えている場合には、注意しておかなければなりません。
途中解約に制限がある
個人向け国債は購入後1年間は原則として途中解約ができません。購入後1年経過してから中途換金する場合には、「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれる仕組みになっています。途中解約すると得られる利益が少なくなってしまうため、当面使う予定がない資金で運用することが求められます。
インフレに対応しにくい
固定金利の国債は利率が固定されているため、インフレになった場合に実質的な利回りが低下するリスクがあります。物価上昇率が国債の利回りを上回る場合、名目上は利息を受け取っていても、実質的な資産価値は目減りしてしまいます。
変動金利型の国債は市場金利に連動して利率が変動するため、一定のインフレ対応力を持ちます。しかし、物価上昇率ほど金利が上昇しないケースもあり、完全にインフレリスクを回避できるわけではありません。
インフレに対応するためには、株式や不動産など、物価上昇に合わせて価値が上がりやすい資産も組み合わせて運用することが大切です。
まとめ
個人向け国債は、利回りの変動、途中解約の制限、インフレリスクなどのデメリットから「買ってはいけない」といわれることもあります。とはいえ、安全性が高く、少額から始められる点は、資産形成の第一歩として非常に有効です。メリットとデメリットを十分に理解し、運用目的や資金計画に合わせて活用しましょう。

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。