複利の計算方法は?
シミュレーションで運用効果と注意点をわかりやすく解説
資産運用にはさまざまな方法があり、そのなかでも代表的なものに複利があります。複利での長期積立運用は代表的な方法ですが、効果や他の運用方法との違いを理解して選択することが大切です。この記事では、複利の計算方法や注意点を解説し、運用効果の違いをシミュレーションで説明します。
複利とは?
まずは、複利の仕組みやメリット・デメリットについて解説します。
複利と単利の仕組みの違い
複利とは、運用で得た利益を元本に組み入れて、増えた分を含めた金額で再び運用する方法です。複利の概念は投資だけでなく、預金やローンにも使われています。
一方、単利は最初の元本にのみ利息がつく仕組みで、増え方は一定です。複利は早く始めて長期間運用するほど加速度的に資産が増えますが、単利は何年運用しても利益が一定になるという違いがあります。
複利のメリット・デメリット
複利の最大のメリットは、長期間で運用するほど資産が大きく増えることです。ただし、投資では市場の変動によって利益が増減するため、時期によっては増えにくい可能性もあります。
また、複利で運用する商品ほど値動きの変動が大きい傾向にあるため、リスクについて理解して慎重に選ぶことが大切です。複利では利益を得ることだけでなく、元本割れする可能性なども考慮しましょう。
複利の計算方法
ここからは、複利の計算方法について解説します。
複利計算の公式
複利計算は以下の公式で求められます。
複利計算の公式
- 元本×(1+利回り)^年数
元本100万円を利回り1%で10年運用する場合、「10万円×1.01^10」という計算式になり、利益を合わせた運用後の金額は約110万円です。運用年数や利回りを変えて計算すると、さまざまな想定でのシミュレーションができます。
利回り・期間・元本の関係
複利運用で効果を高める要素は、利回り・期間・元本の3つです。複利運用は、受け取った利息が再び元本に組み込まれるため、一定の利回りでも利益は年々大きくなります。
また、期間が長いほど、この元本が増え続ける効果が持続するため、長期運用で複利効果を最大化できます。複利運用は利回りが1%だけであっても、長い期間になれば十分に資産を増やせる投資方法です。
複利計算の注意点
複利の効果は強力ですが、実際の運用では利回りが想定通りになるとは限らない点に注意しましょう。市場の状況によって、利回りが低くなったりマイナスになったりする可能性もあります。また、手数料や税金によって利益が削られて、複利効果が減少する場合もあることを理解しておきましょう。複利計算をするときには、元本・利回り・年数だけでなく、手数料や税金も考慮しておくと実際の運用に近づきやすいです。
利回り別にみる複利の増え方シミュレーション
ここからは、利回り別に複利の増え方をシミュレーションしながら解説します。
10年・20年・30年でどれだけ差が出る?
利回りを4パターン、100万円を10~30年で運用した結果について、それぞれの組み合わせでシミュレーションしたのが以下の表です。
| 利回り | 10年 | 20年 | 30年 |
|---|---|---|---|
| 1% | 1,104,622円 | 1,220,190円 | 1,347,849円 |
| 3% | 1,343,916円 | 1,806,111円 | 2,427,262円 |
| 5% | 1,628,895円 | 2,653,298円 | 4,321,942円 |
| 7% | 1,967,151円 | 3,869,684円 | 7,612,255円 |
利回りが一定であれば、年数が長いほど利益も大きくなる結果となりました。利回りが1%でも、10年と30年で約24万円の差があります。10年運用したとき、利回りが1%と7%では約86万円の差が出るのです。
このシミュレーション以外の利回りや年数についても、自身の想定で計算し比較してみてください。
積立の有無でどれだけ変わる?
積立運用で、10年間毎月3万円で利回り1%の場合、約378万円になります。運用せずに貯金しているだけでは360万円となるため、その差額は約18万円です。 積立の有無によってこれだけの差額がでるため、複利で運用する効果は高くなります。
長期運用のメリットとリスク
長期運用のメリットは、リスクを抑えながら複利効果を活かせる点です。短期的に利回りの変動があっても、長期では平均化されて影響を受けにくくなります。
デメリットとしては、投資であるため増える保証はなく、市場全体の影響によって損益が増減する可能性があることです。
複利運用の注意点とリスク管理
ここからは、複利運用の注意点とリスク管理について解説します。
利回りは毎年一定ではない
複利計算のシミュレーションでは利回りを一定で計算しましたが、実際は毎年一定ではありません。市場での利回りは上昇と下落を繰り返すため、短期ではマイナスのときもあります。ただし、長期で運用する場合、利回りは平均化されるため、シミュレーションでは全期間での変動を想定して、平均利回りとして考えましょう。
元本割れリスクへの備え
投資では元本割れのリスクを完全に避けるのは難しいですが、分散投資によって備えられます。株式だけでなく債券にも投資したり、世界の複数国に分散したりと、リスクを下げるための資産配分を工夫しましょう。
手数料や税金が運用成果を左右する理由
利回りが大きくても手数料が高いと、結局は利益が削られてしまいます。また、運用で得た利益には約20%の税金がかかるため、実質的な利回りが下がってしまうのです。利回りの大きさだけでなく、手数料や税金も含めて投資する商品を検討しましょう。
複利運用と相性の良い制度
ここからは、複利運用と相性の良い制度について解説します。
NISAで複利効果が最大化しやすい理由
NISAは運用益が非課税となるため、複利効果を損なわずに資産を増やせます。現在のNISA制度では運用年数の制限がなく長期運用にも活用できるので、複利効果を最大化しやすくなっています。
商品選びのポイント(投資信託・株式)
複利運用に向いている商品は、長期的に成長が期待できる投資信託や株式が中心になります。特にインデックスファンドは手数料が低く、分散性も高いため複利運用に最適です。株式で個別株に投資する場合、十分に調査して長期的な成長が期待できる銘柄を選びましょう。
複利を賢く活かすためのステップ
ここからは、複利を賢く活かすためのステップについて解説します。
目標金額から逆算する
複利を活かすには、最初に目標金額を設定します。そして、目標金額が達成できる元本・利回り・年数をシミュレーションして、最適な運用計画を立てます。
利回りとリスクのバランスを決める
一般的に利回りが大きいほどリスクも高くなるため、目標金額で設定した利回りに対するリスクが許容範囲であるかを確認します。リスクが大きすぎる場合は、利回りを下げて期間を延ばすなど、バランスを調整して運用商品を決めましょう。
定期的な見直しとメンテナンス
運用を始めた後は、定期的に運用結果を確認しましょう。計画通りの利回り・リスクとなるように、必要であれば資産配分を見直してリバランスします。リバランスによって適切な状態を維持でき、複利の効果を損なわずに運用を続けられるのです。
まとめ
複利は長期運用で大きな利益を得られる仕組みです。利回りや期間、元本が増えるほど効果が高まり、NISAなどの制度を活用すると効率的に資産を増やせます。リスク管理や見直しを続けながら、複利の効果を味方につけて、無理のない資産運用を目指しましょう。
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