四国といえば、年間を通して温暖で過ごしやすいイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、地域によっては冬に雪が積もることがあり、交通への影響や生活対策が必要となる場合もあります。本記事では、四国で雪が降りやすい代表的なエリアや、雪が発生する気象条件、雪が生活にもたらす影響についてわかりやすく解説します。ぜひ最後までお読みください。

四国で雪が降るのはどんな地域？

四国は、山地と沿岸部で気候の特徴が大きく異なる地域です。そのため、冬の降雪量にもはっきりとした地域差があります。

まずは、四国の中でも雪が降りやすい地域と、ほとんど降らない地域を確認しておきましょう。

山地では降雪が多くなる理由

温暖なイメージが強い四国ですが、山間部では毎年のように降雪が見られ、積雪するケースも少なくありません。

降雪が多くなる背景には、以下のような気象条件があります。

山地で降雪が多くなる主な理由

• 標高が高く気温が低くなりやすいため
• 瀬戸内海側から流れ込む湿った空気が山地で上昇し雲が発生しやすいため
• 冬の季節風が山にぶつかることで上昇気流が起き、雪雲が発達するため

こうした地形・気象条件により、四国山地を中心としたエリアでは雪が降りやすくなります。

沿岸部は雪が少なく降らない年も多い

一方、太平洋側や瀬戸内海沿岸の地域では、雪が降る日は少なく、積もるほどの降雪はほとんどありません。降ってもすぐに溶けてしまうことが多く、「雪が降らない年」になることも珍しくないのです。

太平洋側の気候が雪を少なくする背景

太平洋側で雪が少ないのは、地形と気象による影響が大きいといえます。

太平洋側で雪が少ない主な理由

• 冬の季節風が山地を越える際に乾燥し、晴れの日が多くなるため
• 雪雲が四国山地に遮られ、太平洋側まで届きにくいため

こうした理由から、同じ四国でも山地と沿岸部では雪の降り方が大きく異なるのです。

四国4県の「雪が降る・降らない」地域差

画像：高知県 仁淀川町

ここからは、四国4県それぞれの雪の降り方について解説します。

高知県｜温暖で雪は珍しいが山間部では降る

「南国土佐」と呼ばれるほど温暖な気候の高知県では、平野部で雪が降る日は多くありません。2025年1月の日平均気温は6.6度、2月は5.7度であり、冬でも比較的気温が高い状況です。そのため、平野部ではほとんど積雪が見られない傾向があります。

一方、山間部では標高の高さから気温が大きく下がり、冬には降雪や積雪が発生します。同じ県内でも沿岸部と山間部では気候が大きく異なり、降雪量にも大きな差が生じます。

出典：国土交通省 気象庁

愛媛県｜石鎚山系は積雪多め、松山は少なめ

瀬戸内海に近い松山市では、年間を通して降水量が少ないため、雪がほとんど降りません。冬でも比較的穏やかな気候のため、積雪が見られる機会は多くありません。

一方、四国最高峰である石鎚山系では、冷たい季節風の影響を強く受けます。この地域では積雪が多くなるケースが多く、冬は雪山としても知られています。

香川県｜瀬戸内気候で雪は非常に少ない

日照時間の長さと降水量の少なさが特徴の香川県では、雪が降る日数は極めて限られています。周囲に山が点在しているため、雪雲が届きにくい地形であり、雪が降ってもすぐに溶ける場合がほとんどです。そのため、四国4県の中で最も降雪量が少ない地域といえます。

徳島県｜山間部で降雪多め、沿岸部は少なめ

徳島県は、沿岸部と山間部で気候の差が大きい県です。沿岸部では冬でも比較的気温が高いため、雪が降る日は多くありません。

しかし、剣山を含む山岳地域では気温が大きく下がり、降雪や積雪が多くみられます。冬季には道路凍結が発生する可能性があるため、車の運転時には注意が必要です。

雪が多い四国の代表的な山地エリア

画像：愛媛県 石鎚山

四国で雪が多いのは、標高が高く雪雲が発生しやすい山地エリアです。

ここからは、代表的な山地エリアを紹介します。

石鎚山系（愛媛）

石鎚山は愛媛県西条市と久万高原町の間に位置し、標高は1,982メートルです。四国最高峰の高さを誇り、冬場は非常に冷え込みやすい環境となります。季節風が山脈にぶつかることで雪雲が発生しやすく、積雪量も多くなります。

冬季には登山道が閉鎖される場所もあり、四国の中でも雪が特に多い山地として知られています。

剣山・三嶺（徳島）

徳島県西部に位置する剣山と、徳島県と高知県の境にある三嶺も、冬に雪が多くなる地域です。11月下旬から4月頃まで積雪の可能性があり、長期間雪が残るケースもあります。

登山やドライブを予定する場合は、積雪状況の事前確認と冬用装備の準備が求められます。

四国山地の積雪傾向

四国には、石鎚山（1,982m）、剣山（1,955m）、二ノ森（1,930m）など、標高の高い山々が多く存在しています。標高の高さに加え、瀬戸内海からの湿った空気や冬型の気圧配置の影響を受けやすいため、大雪になることがあります。

特に雪が多くなる地域は以下のとおりです。

積雪が多い四国山地

• 愛媛県：久万高原町
• 高知県：梼原町
• 徳島県：三好市・東みよし町

これらの地域では冬季に積雪や道路凍結が発生しやすいため、移動や防寒対策をしっかり行う必要があります。

四国に雪が降ると生活にどんな影響がある？

雪が降ると、日常生活や経済活動に大きな影響が及びます。ここでは、交通・農業・物流・都市部の課題など、具体的な影響を解説します。

交通への影響

雪が降ると最も影響が大きいのは交通機関です。積雪や路面凍結により、高速道路や山間部の道路では通行止めが発生する可能性が高まります。

JRや私鉄、路線バスなどの公共交通機関でも、運行休止や遅延が起こりやすくなります。通勤や通学の時間帯に混乱が生じれば、多くの人の生活に大きな支障が出るでしょう。

農産物・物流への影響

雪は農産物にも影響を与えます。四国では温暖な気候を活かした促成栽培やハウス栽培が盛んですが、気温が急激に下がると温州みかんや里芋など、寒さに弱い農産物が傷む可能性があります。

さらに、道路規制や交通網の混乱によって物流がストップすると、生活用品や生鮮食品の供給が滞ることも考えられるでしょう。特に生活必需品の配送が遅れると、家庭にも大きな影響が及びます。

都市部は雪に慣れていないため注意が必要

四国の都市部や平野部は降雪の頻度が低く、雪に対する備えが十分でない場合があります。そのため、路面凍結によるスリップ事故や、視界不良による交通事故などが発生しやすくなります。

万が一の状況に備え、以下の対策を意識しておくことが重要です。

雪への備え

• 不要な外出を控える
• 冬用タイヤを装着する
• タイヤチェーンを準備しておく
• スノーブーツやスコップなど、防寒・除雪用品をそろえる

四国で雪が降る日の気温・天候の特徴

四国で雪が降る背景には、地形や気象条件が関係しています。

ここでは、雪が降りやすくなる気温や天候の特徴を解説します。

内陸や山地は放射冷却で気温が下がりやすい

内陸部や山地では放射冷却によって地表の熱が逃げやすく、気温が下がりやすい傾向があります。放射冷却が起こると風が弱まり、気温が一気に低下するため、雪や霜が発生しやすくなります。

特に気温が4度を下回ると霜が降り、路面が凍結する可能性があります。安全のため、早朝や夜間に外出する場合は十分な注意が必要です。

海沿いは気温が下がりにくく雪が降りにくい理由

海沿いの地域は気温が下がりにくく、雪が滅多に降りません。特に太平洋側は黒潮の暖かい海流の影響で冬でも比較的気温が高く、雪の条件がそろいにくいことが理由です。気温が下がりきらないため、雪ではなく雨として降ることが多くなります。

寒波到来時に降雪が発生しやすいパターン

寒波が到来すると、四国全体で降雪の可能性が高まります。シベリア大陸で発生した冷たい空気が季節風となって流れ込み、気温が急激に下がるためです。また、海からの湿った空気と寒気がぶつかると上昇気流が発生し、雪雲が形成されやすくなります。

このような条件がそろった場合、山地だけでなく沿岸部でも雪が降ることがあります。

まとめ

四国は温暖な地域として知られていますが、四国山地周辺では大雪になる可能性があります。特に石鎚山や剣山など標高の高い地域では、冬季に積雪が発生しやすく注意が求められます。

雪が積もると交通機関の乱れや事故発生のリスクが高まり、生活に大きな影響を及ぼします。安全に過ごすためには、天気予報や道路情報をこまめに確認し、冬用タイヤの装着や防寒用品の準備など、万全の対策を心がけましょう。