感謝を伝える「年賀状じまい」
丁寧な伝え方と文例を紹介
新しい年のご挨拶は、日頃お世話になっている方への感謝を伝え、つながりを感じさせてくれる大切な習慣です。長く親しまれてきた年賀状も生活スタイルや連絡手段の変化に合わせて見直す人が増えています。この記事では、年賀状じまいの伝え方や、相手別に使える丁寧な例文を紹介します。これまでのご縁を大切にしながら、無理のない形で新年のごあいさつを続けていきましょう。
なぜ今「年賀状じまい」なのか
長年、日本の新年を彩ってきた年賀状ですが、近年は「年賀状じまい」を選ぶ人が増えています。その背景には、生活環境やコミュニケーション手段の変化が影響しています。
年賀状じまいが増えている主な理由
- 高齢化による負担の増加
- スマートフォンやデジタル連絡手段の普及
- ライフスタイルや働き方の変化
年賀状は、宛名書きやメッセージの記入、投函など、時間と労力がかかります。
特に年末は何かと慌ただしい時期であり、高齢の方や、仕事・家事・育児・介護に忙しい世代にとっては大きな負担になることもあります。そのため、無理のない形で挨拶の方法を見直す人が増えているのです。
また、スマートフォンやSNSの普及によって、気軽にメッセージを送り合える環境が整いました。連絡手段が多様化したことで、年賀状以外の方法でも感謝や近況を伝えられるようになり、自然の流れとして、年賀状からデジタルでの挨拶へ移行する人が増えています。
年賀状じまいは「やめる」ことではなく、自分らしい気持ちを伝える選択。今の時代に合った“新しいご挨拶のスタイル”として広がりつつあります。
年賀状じまいを伝えるタイミングとコツ
年賀状じまいを行う際、いつ・どのように伝えるか悩む方も多いのではないでしょうか。年賀状じまいを伝えるときは、何よりも相手への思いやりを忘れないことが大切です。ここからは、年賀状じまいを伝える適切な時期と方法を紹介します。
最後の年賀状に一言添えるのが自然
年賀状じまいを伝える最も自然なタイミングは、最後の年賀状を送るときです。一方的に年賀状のやり取りをやめてしまうと、相手にそっけない印象を与えてしまうことがあります。そのため、最後の年賀状には「今回をもちまして年賀状のご挨拶を控えさせていただきます」などの一言を添えると丁寧な印象になります。
寒中見舞い・メール、LINEなどで丁寧に伝える
寒中見舞いやメール、LINEなどを上手に活用すれば、形式にとらわれずに感謝の気持ちを丁寧に伝えることができます。
寒中見舞いは、松の内(1月7日頃)を過ぎてから立春(2月4日)までに出す季節の便りで、年賀状の代わりとしても自然に受け取ってもらえる方法です。また、親しい友人や同僚など、気心が知れた関係であれば、堅苦しくなりすぎないメールやLINEでの連絡でも問題ありません。
お礼とこれからにつなげる言葉選びを
年賀状じまいを伝える際には、まずこれまでのご縁ややりとりへの感謝を伝えましょう。「長年にわたり温かい年賀状をありがとうございました」といった一言を添えるだけでも、丁寧で誠実な印象になります。そのうえで、年賀状を控える旨を伝えた後に、これからも関係を大切にしたい気持ちを加えるとよいでしょう。
例えば、「今後はメールやLINEなどを通じて近況をお伝えできればと思います」や「これからも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます」といった言葉を選ぶとやわらかく前向きな印象になります。「これまでの感謝」と「これからのつながり」その両方を意識することで、年賀状じまいのメッセージはより温かく、自然に伝わります。
【関係別】年賀状じまいの文例
年賀状じまいを伝える相手との関係によって、文章のトーンや伝え方の配慮が異なります。ここでは、関係別に年賀状じまいの文例を紹介します。相手に合った言葉選びの参考にしてください。
親しい友人へ
親しい友人に伝える場合は、形式にとらわれず素直な気持ちを言葉にするのが一番です。「年賀状を出すのが難しくなってきた」「年賀状じまいをしてもこれまでと変わらず関係を続けたい」といった思いをそのまま伝えるのがおすすめです。
以下の文例を参考にしてみてください。
【例文】
毎年素敵な年賀状が届くのを楽しみにしていたのですが、今年で年賀状のやり取りを最後にしようと思っています
なんだか年末は忙しく、年賀状を作成するのが難しくなってしまって…
年賀状じまいをしても、これからは別の形で連絡を取り合えたらうれしいです
近いうちにゆっくりとお話しできたらいいね
〇〇ちゃんにとって良い年になりますように
親しい間柄であれば、このように少しカジュアルな文面でも失礼にはなりません。
ビジネス・取引先へ
仕事関係者に年賀状じまいを伝える際は、理由を詳しく書く必要はありません。これまでのご厚情への感謝と、今後も変わらぬお付き合いをお願いする一文を添えることで丁寧な印象になります。
【例文】
旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます
さて、誠に恐縮ではございますが、諸般の事情により、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただくこととなりました
これまで賜りましたご厚情に、心より感謝いたします
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます
皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております
仕事でお世話になっている人や取引先に伝える場合は、節度を保ちながらも感謝の気持ちを表すことが大切です。
【理由別】年賀状じまいの文例
年賀状じまいをする理由は、必ずしも伝える必要はありません。しかし、相手に不安や疑問を残さないように、やわらかく伝えるとより丁寧な印象になります。ここからは、年賀状じまいをする主な理由別に、伝え方の文例を紹介します。
退職・転職が理由の場合
仕事上のご縁で年賀状を続けていた方の中には、退職や転職をきっかけに年賀状じまいを考える人もいるでしょう。お世話になった感謝を伝えつつ、今後のご健勝を祈る一文を添えると印象が良くなります。
以下の文例を参考にしてください。
【例文】
皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます
私ごとではございますが、昨年をもちまして〇〇社を退職いたしました
長年にわたり温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます
退職を機に、本年をもちまして年賀状による新年のご挨拶を控えさせていただく所存です
今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます
敬具
令和◯年 元旦
高齢や体調が理由の場合
年賀状の作成が体力的に負担になってきた場合は、無理のない範囲で感謝を伝える形が自然です。「これまでありがとうございました」という一文をいれることで、穏やかで温かい印象を与えられます。
【例文】
皆さまにはお変わりなくお過ごしのことと存じます
近年、体調のこともあり、年賀状の作成が少しむずかしく感じられるようになってまいりました
まことに勝手ではございますが、今年のご挨拶を最後に、年賀状を控えさせていただきたく存じます
これまで長くお付き合いいただき、心より感謝申し上げます
今後も皆様のご健康とご多幸をお祈りしております
令和◯年 元旦
時代の変化が理由の場合
SNSやメールなどのデジタルツールの普及により、手軽にメッセージや挨拶を送れる時代になりました。時代の変化を理由に年賀状じまいを選ぶ場合も、感謝を忘れずに伝えることが大切です。
【例文】
時代の変化に伴い、誠に恐縮ではございますが、本年をもちまして年賀状による新年のご挨拶を控えさせていただくことといたしました
今後は、メールやSNSなどを通じてご挨拶をさせていただければと存じます
これまで賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
今後とも変わらぬご交誼のほど、よろしくお願いいたします
令和○年 元旦
まとめ
時代の変化とともに、年賀状の形や送り方は少しずつ変わっています。「年賀状じまい」はただ“やめる”ということではなく、これまでの感謝を伝えたうえで、自分らしい方法でつながりを続けていくための選択です。
相手との関係性や状況に合わせて、丁寧な言葉で気持ちを伝えることができれば、たとえ年賀状を控えたとしても、これまでと変わらず良好な関係を保つことができます。デジタルツールや季節の便りなど、今の自分に合ったスタイルで、これからも大切な人たちとのつながりを続けていきましょう。
大手生命保険の営業を5年間経験し、FP2級を取得。現在は金融ライターとして資産運用、保険、節税に関する記事を執筆。200記事以上を手掛け、読者に信頼される情報提供を目指す。金融業界の知識と実務経験を活かし、わかりやすく実践的な内容を提供。



