iyomemo(いよめも)
見つかる、つながる。伊予銀行のWebメディア

年金からひかれるものとは?
税金や保険料の種類、計算方法をわかりやすく解説

2026/06/18
(提供元:Mattrz
年金からひかれるものとは?税金や保険料の種類、計算方法をわかりやすく解説

年金を受給し始めると、「思ったより手取りが少ない」と感じることがあります。これは、年金から所得税や住民税、介護保険料などが差し引かれるためです。本記事では、年金からひかれる主な項目や計算方法、手取り額の目安についてわかりやすく解説します。

年金からひかれるものとは?

年金からひかれるものとは?

年金からひかれるものは「所得税」「住民税」「介護保険料」「医療保険料」の4つです。一定以上の年金収入がある場合、未納防止のために法律で自動天引き(特別徴収)が義務付けられています。

年金から差し引かれる主な項目

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)からひかれるものは、主に以下の4つの項目です。


公的年金から天引きされる項目

  • 所得税(および復興特別所得税)
  • 住民税
  • 介護保険料
  • 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

なお、一般的に公的年金を受給している人には、給与所得者が負担する雇用保険料や厚生年金保険料はかかりません。一方で、税金や医療・介護に関する保険料の負担は、年金受給後も継続します。

なぜ年金から天引きされるのか

年金からの特別徴収は、納付漏れを防ぎ、徴収事務を円滑に行うことを目的として導入されています。例えば、介護保険料は原則として年額18万円以上の老齢年金等を受給している人が特別徴収の対象です。住民税や医療保険料についても、一定の条件を満たす場合に年金から天引きされます。

特別徴収の対象となる場合は、自分で納付書を使って支払う手間が省けるというメリットがあります。

年金にかかる税金の仕組み

年金にかかる税金の仕組み

公的年金は税法上「雑所得」に分類され、一定額を超える場合は所得税や住民税の課税対象となります。

ただし、公的年金受給者には「公的年金等控除」が設けられているほか、基礎控除や社会保険料控除などの各種所得控除も適用されるため、年金収入のみの場合は税金がかからないケースもあります。

ここでは、年金にかかる税金の仕組みについて解説します。

所得税の計算方法

公的年金は、税法上で「雑所得」という区分に分類され、課税対象となります。所得税の計算は、以下のステップで行います。


所得税の計算方法

  1. 収入金額-必要経費=雑所得の金額
  2. 収入金額=公的年金等以外の年金の収入金額+剰余金や割戻金
  3. 必要経費=公的年金等以外の年金の収入金額×(保険料又は掛金の総額÷年金の支払総額又は支払総額の見込み額)

国税庁|高齢者と税(年金と税)

ここで注目すべきなのが、年金受給者だけに認められている「公的年金等控除」です。


この控除額は、受給者の年齢が「65歳未満」か「65歳以上」か、また年金以外の所得がいくらあるかによって細かく定められています。

これらを一目で計算できるようにしたのが、以下の速算表です。

65歳未満

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
60万円以下 0円
60万円超~130万円未満 収入金額-60万円
130万円超~410万円未満 収入金額×0.75-27万5千円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-68万5千円
770万円超~1,000万円未満 収入金額×0.95-145万5千円
1,000万円以上 収入金額-195万5千円

65歳以上

年金収入額 公的年金等に係る雑所得の金額
110万円以下 0円
110万円超~330万円未満 収入金額-110万円
330万円超~410万円未満 収入金額×0.75-27万5千円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-68万5千円
770万円超~1,000万円未満 収入金額×0.95-145万5千円
1,000万円以上 収入金額-195万5千円

国税庁|高齢者と税(年金と税)

住民税がかかるケース

住民税は、お住まいの市区町村が前年の所得をベースに計算し徴収する税金です。また、所得税が課税されない場合でも、住民税が課税されるケースがあります。これは、所得税と住民税で控除額や非課税基準が異なるためです。

住民税は「均等割」と「所得割」で構成されており、非課税となる基準は自治体や世帯状況によって異なります。そのため、自身が住んでいる自治体のホームページや窓口で確認しておくと安心です。

年金からひかれる保険料

年金からひかれる保険料

社会保険料として「介護保険料」と「医療保険料」が差し引かれる場合があります。これらの保険料は、年齢や加入している保険制度によって納付方法や算定方法が異なります。

介護保険料

介護保険料は、介護保険制度を支えるための財源として徴収される保険料です。40歳になると介護保険の被保険者となり、介護保険料の負担が始まります。65歳になると「第1号被保険者」に区分され、保険料の納付方法が変わる場合があります。


特別徴収の条件

  • 老齢基礎年金などの受給額が年額18万円以上の人は、原則として個別の納付ではなく年金からの天引きが義務付けられています。


金額の決まり方

  • 前年の所得状況や世帯の課税状況に応じて、各自治体が定める段階別基準に当てはめて決定されます。

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料

医療保険の保険料は、年齢によって加入する制度そのものが異なるほか、保険料の計算方法も大きく変わります。

年齢
区分
加入する医療保険 特徴と天引きの仕組み
74歳
まで
国民健康保険(または家族の健康保険の扶養) 前年の世帯全体の所得に応じて算定。世帯主の年金から特別徴収される要件を満たせば天引きとなる。
75歳
以上
後期高齢者医療制度 75歳の誕生日を迎えた当日から、すべての人が個人単位で加入。原則として個人の年金から天引きに切り替わる。

75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険(会社員や公務員が加入する健康保険)から後期高齢者医療制度へ移行します。

そのため、それまで家族の健康保険の被扶養者となっていた人も、75歳以降は後期高齢者医療制度の被保険者として保険料を負担することになります。保険料は所得などに応じて決定され、一定の要件を満たす場合は年金から天引きされます。

年金受給額はどのように決まる?

年金受給額はどのように決まる?

実際に口座へ振り込まれる年金額(手取り額)は、年金額面から税金や社会保険料が差し引かれた金額です。差し引かれる金額は、所得や加入している保険制度、お住まいの自治体などによって異なるため、一律ではありません。

毎年届く「年金振込通知書」を見ることで、引かれるものを正確に把握できます。

額面と手取りの違い

年金の額面から、ここまで解説した所得税や住民税、介護保険料、医療保険料などを差し引いた残りが、口座に振り込まれる手取り額です。そのため、実際の受取額は年金額面より少なくなります。

年金受給額の計算イメージ

年金の手取り額は、年金額面から介護保険料や医療保険料、所得税、住民税などを差し引いて計算されます。ただし、差し引かれる項目や金額は人によって異なるため、実際の手取り額も個人差があります。

参考として、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金の平均受給額は月額約57,700円、老齢厚生年金の平均受給額は月額約147,360円 です。これらは税金や社会保険料が差し引かれる前の平均受給額であり、実際の手取り額とは異なる場合があります。

厚生労働省|令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況


年金からひかれる金額を軽減する方法

年金からひかれる金額を軽減する方法

税金や保険料の負担は、各種所得控除を適切に活用することで軽減できる場合があります。また、住民税非課税世帯に該当すると、一部の公的支援制度の対象となることがあります。

所得控除を活用する

所得税や住民税は、所得金額をもとに計算されます。そのため、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などの所得控除を適切に適用することで、課税所得を減らせる場合があります。課税所得が減ることで、所得税や住民税の負担軽減につながる可能性があります。

なお、健康保険料や介護保険料の算定方法は制度や自治体によって異なるため、所得控除の適用による影響もそれぞれ異なります。

住民税非課税世帯の仕組み

住民税非課税世帯とは、世帯の所得が一定基準以下であり、住民税が課税されない世帯のことです。非課税となる基準は自治体や世帯構成によって異なります。

住民税非課税世帯に該当すると、税負担の軽減に加えて、一部の公的支援制度や負担軽減措置の対象となる場合があります。


【例】住民税非課税世帯に該当した場合に受けられることがある支援

  • 介護保険料の負担が軽減される場合がある
  • 高額療養費制度における自己負担限度額が低く設定される場合がある
  • 自治体が実施する給付金や福祉サービスの対象となる場合がある

ただし、対象となる制度や支援内容は自治体や制度ごとに異なるため、詳しくはお住まいの自治体へ確認してください。

70歳以降に知っておきたいポイント

70歳以降に知っておきたいポイント

70歳以降は医療費の自己負担割合や年金制度に関するルールが変わるため、制度内容を理解しておくことが大切です。

高齢になると変わる制度

70歳、そして75歳という節目を迎えると、医療費の窓口負担の割合が段階的に変化します。


医療費の窓口負担割合

  • 70歳〜74歳: 原則2割(現役並の所得がある場合は3割)
  • 75歳以上: 原則1割(一定以上の所得がある場合2割、現役並の所得がある場合3割)

所得状況によって負担割合が異なるため、事前に確認しておきましょう。

受給と働き方の関係

70歳以降も働きながら年金を受給する場合は、「在職老齢年金」の仕組みを理解しておくことが重要です。在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働く場合に、給与と年金の合計額に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる制度です。

2026年度の支給停止調整額は月額65万円です。給与(賞与を含む月額換算額)と老齢厚生年金の基本月額の合計が65万円を超える場合は、その超過額に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。

厚生労働省|在宅老齢年金制度の見直しについて


まとめ

年金から差し引かれる主な項目には、所得税、住民税、介護保険料、医療保険料があります。これらの税金や保険料の負担額は、所得や年齢、加入している保険制度などによって異なります。

また、70歳以降は医療費の自己負担割合や在職老齢年金のルールが変わるため、制度の内容を理解しておくことが大切です。年金振込通知書などを確認しながら、額面と手取りの違いを把握し、自身のライフプランに役立てましょう。



著者プロフィール

著者 一谷千春

2級FP技能士

大手生命保険の営業を5年間経験し、FP2級を取得。現在は金融ライターとして資産運用、保険、節税に関する記事を執筆。200記事以上を手掛け、読者に信頼される情報提供を目指す。金融業界の知識と実務経験を活かし、わかりやすく実践的な内容を提供。

RECOMMENDATION

RANKING

TAG LIST

    • Digital-Human-Digital
    • 地元愛
    • LIFE PALETTE
    • IYOCA