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住宅ローンは頭金なしでも組める?
メリット・デメリットと後悔しないための注意点を徹底解説!

2026/08/07
(提供元:DYM
住宅ローンは頭金なしでも組める?

近年、手元の資金を減らさずに「頭金なし(フルローン)」で住宅ローンを組む選択をする人が増えています。しかし、一生に一度ともいえる大きな買い物。いざ検討し始めると「貯金が少なくても本当に大丈夫?」「将来、返済が苦しくなって後悔しないかな?」と、不安や疑問を抱くのは当然のことです。

この記事では、頭金なしで住宅ローンを組むメリットとデメリットを客観的なデータとともに整理し、「後悔しないための具体的な解決策」を網羅的に解説します。

結論からお伝えすると、頭金なしの住宅ローンは十分可能ですが、リスクを正しく理解し、綿密な返済計画を立てることが大切です。最新情報も踏まえ、あなたが納得してマイホーム購入への一歩を踏み出すために必要な判断材料をまとめました。

住宅ローンにおける「頭金」とは?なしでも本当に組めるの?

住宅ローンにおける「頭金」とは?なしでも本当に組めるの?

住宅ローンの専門用語は難しく感じがちですが、基本を押さえれば安心です。

ここでは、頭金の意味と、頭金なしで住宅ローンを組む人が増えている背景について分かりやすく解説します。

頭金とは購入価格と借入額の差額

頭金とは、住宅の購入価格から住宅ローンで借り入れる金額を差し引いた、最初に自己資金で支払うお金のことです。

頭金は、住宅を購入する際に全額をローンで借りるのではなく、一部を現金であらかじめ支払うことで金融機関からの借入額を減らし、将来の返済の負担を軽くするために用いられます。

たとえば、3,500万円のマイホームを購入するとします。そのうち、3,000万円を住宅ローンで借りるとして、残りの500万円を手持ちの現金で支払う場合、その500万円が「頭金」になります。

かつては、住宅価格の2割程度を頭金として用意してから購入するのが一つの目安とされていました。先ほどの3,500万円の物件であれば、700万円ほどを準備するイメージです。

しかし、最近では頭金なしで住宅ローンを組む選択をする人も増えています。

なお、住宅購入の際には物件そのものの価格とは別に、登記費用や税金、手数料などのさまざまな諸費用がかかりますが、この諸費用分はローンに組み込むこともできます。

頭金なし(フルローン)を選ぶ人の割合は増加傾向

頭金なしで住宅ローンを組むことは十分に可能です。そして、その割合は近年増加傾向にあります。住宅価格が高騰していることや、手元に現金をできるだけ残しておきたいと考える人が増えていることが理由として挙げられます。

SUUMOリサーチセンターが実施した2024年の新築マンション契約者動向調査によれば、頭金なし(自己資金比率0%)で購入した人の割合は、首都圏で19.8%、関西圏で23.4%、東海圏で24.4%でした。およそ5人に1人が頭金を用意せずにマイホームを購入している計算で、関西圏・東海圏ではその割合が首都圏を上回ります。

同じ調査の2001年時点では、首都圏におけるこの割合は2.5%でした。20年あまりで大きく増えており、頭金なしのフルローンは、選択肢の一つとして一般的になりつつあるといえます。

参照:
SUUMOリサーチセンター|2024年首都圏新築マンション契約者動向調査(株式会社リクルート)
SUUMOリサーチセンター|2024年関西圏新築マンション契約者動向調査(株式会社リクルート)
SUUMOリサーチセンター|2024年東海圏新築マンション契約者動向調査(株式会社リクルート)

頭金なしで住宅ローンを組む3つのメリット

頭金なしで住宅ローンを組む3つのメリット

頭金を入れずにローンを組むことには、実はいくつかの魅力的な利点があります。

ここでは、頭金なしを選択する3つの大きなメリットを紹介します。

1. 理想のマイホームを買い逃さず、早く住める

頭金なしで住宅ローンを組む最大のメリットは、理想の家を見つけたらすぐに購入でき、早く新居での生活を始められることです。頭金をためるには何年もの長い時間がかかります。その間に目当ての物件が売れてしまったり、地価・建築資材・人件費の高騰などで住宅価格自体が上がってしまったりする可能性があるからです。

たとえば、物件価格の1割から2割(数百万円)の頭金をためるために5年かかるとします。その5年間、毎月10万円の家賃を払い続けると、家賃だけで合計600万円の出費になってしまいます。しかし、頭金なしで購入に踏み切れば、この数年間の家賃の支払いをなくすことができます。

また、「これだ!」という気に入った物件に出会えるのは一期一会といわれます。頭金がたまるのを待っている間にほかの人に買われてしまうリスクを避け、ご自身が納得した理想のマイホームを買いやすくなるという点は、非常に大きなメリットといえます。

2. 手元に現金を残して急な出費や教育資金に備えられる

2つ目のメリットは、手元にまとまった現金を残しておくことで、将来のさまざまな出費や不測の事態に備えられることです。

長い人生の中では、子どもの教育費や医療費など、住宅以外にも予期せぬお金が必要になるタイミングがたくさんあるためです。

たとえば、一生懸命ためた貯金をすべて頭金につぎ込んでしまった場合、購入直後に必要になる引っ越し費用や、新しい家具・家電の購入費用が足りなくなるかもしれません。

さらに、子どもが成長して教育費がかかる時期や、家族の誰かがケガや病気で急に医療費が必要になったとき、あるいは転職で一時的に収入が減ったとき、手元に現金がないと日々の生活が苦しくなってしまいます。

頭金をあえて入れず、貯金をそのまま手元に残しておくことで、こうした不測の事態にも柔軟に対応できる安心感を得ることができます。

3. 住宅ローン減税(控除)の恩恵を最大限受けられる可能性

3つ目のメリットは、住宅ローン減税(控除)という国の制度を活用して、税金の負担を大きく減らせる可能性があることです。

住宅ローン減税とは、年末時点でのローン残高の0.7%にあたる金額が、支払うべき所得税や住民税から直接差し引かれる(控除される)制度です。

住宅ローン減税は「年末のローン残高」を基準に計算されるため、頭金を入れずに借入額を大きくしたほうが、控除される金額の枠を最大限に生かしやすくなります。新築住宅の場合は最大13年間、中古住宅の場合は最大10年間にわたりこの恩恵を受けられます。

たとえば、一般的な新築住宅(省エネ基準適合住宅)の場合、控除対象となる年末ローン残高の上限は3,000万円です。残高がこの上限に達している場合、その0.7%にあたる最大21万円の税金が戻ってくる計算になります。

ローン残高が大きくなるほど、この減税の枠を活用できる金額が増えるため、結果的にお得になるケースがあります。

ただし、実際に差し引かれる金額は自分が納めている税金の額が上限となるため、いくらでも戻ってくるわけではない点には注意が必要です。

参照:国土交通省|住宅ローン減税

頭金なしで住宅ローンを組むデメリットとリスク

頭金なしで住宅ローンを組むデメリットとリスク

頭金なしで住宅ローンを組むことはメリットがある一方で、頭金を入れないことで生じる注意点も存在します。

ここでは、契約前に必ず知っておくべき3つのデメリットとリスクを詳しく解説します。

1. 総返済額と毎月の返済額が増える

頭金なしの最大のデメリットは、毎月の返済額が高くなり、最終的に支払う利息の総額も大きくなることです。

頭金として現金を支払わない分、金融機関から借り入れる元金が大きくなるためです。借入額が増えれば、そこにかかる利息の負担も当然増えます。

たとえば、4,000万円の住宅を購入する場合で考えてみましょう。頭金なしで全額借りた場合と、頭金を10%(400万円)用意して3,600万円を借りた場合とでは、毎月の返済額にも差が生まれますが、35年という長い返済期間を通じて積み上がる利息の総額には、数百万円単位の差が出ることがあります。

住宅ローンは「借りた金額」だけでなく、「最終的にいくら払うか」という視点で考えることが重要です。頭金を入れることで借入額を減らせれば、毎月の家計への負担が軽くなるだけでなく、長期的に見た総支払額も大きく変わってきます。

2. 金利が高くなる・審査が厳しくなる傾向がある

頭金なしでローンを申し込むと、住宅ローンの審査が通常よりも厳しくなり、適用される金利が高く設定される可能性があります。

金融機関は、物件価格に対する借入額の割合(融資率)が高いほど、将来返済が滞った際の「貸し倒れリスク」が高いと判断します。貸し倒れリスクが高いと判断されると、適用金利が高く設定されるケースがあり、その結果毎月の返済額や総返済額がさらに膨れ上がってしまいます。

また、審査そのものも厳格化するため、収入の安定性や過去の支払い履歴など、返済能力をより厳しくチェックされる可能性もあります。フルローンを希望する場合は、家計の管理がしっかりできていることを証明できるよう日頃から準備しておくことが大切です。

3. 売却時に「オーバーローン(担保割れ)」になるリスク

頭金を入れないことで、将来家を売ることになった際に「オーバーローン(担保割れ)」という状態になりやすくなるリスクがあります。

オーバーローンとは、住宅ローンの残高が家の市場価値(売ったらいくらになるかという金額)を上回っている状態のことです。

借入額が大きいと、ローンの残高の減り方よりも、建物の価値(売却価格)が下がるスピードのほうが早くなるケースが多く、オーバーローンに陥りやすくなります。

たとえば、4,000万円の家をフルローンで買い、数年後に転勤などでやむを得ず売却しなければならなくなったとします。

その時点でのローン残高がまだ3,500万円あるのに、家の売却価格が3,000万円に下がっていた場合、500万円の赤字(オーバーローン)になってしまいます。

家を売却するにはローンを全額一括で返さなければならないため、この不足分の500万円を自分の貯金から持ち出さなければ、家を売りたくても売れないという困った事態にもなりかねません。

【年代別・年収別】頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイント

【年代別・年収別】頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイント

住宅ローンの状況は、収入や年齢によって大きく変わります。ご自身の年代や年収に合わせた無理のない計画を立てるための具体的なポイントを紹介します。

無理のない返済額の目安は「手取り年収の25%」以内

年収によって無理なく返せる金額は異なります。一般的な目安として、毎月の返済額は「手取り年収の25%以内」に抑えることができると安心だといわれています。金融機関が審査で「貸してくれる金額(借入可能額)」と、生活にゆとりを持ちながら「無理なく返せる金額」は異なるからです。

手取り年収とは、税金などを引かれて実際に自分の口座に入るお金のことです。たとえば、手取り年収が400万円の場合、その25%は100万円です。これを12カ月で割ると、毎月の返済額の目安は約8万3千円となります。

ただし、近年はこの「25%以内」を実現するハードルが上がっています。背景の一つが住宅価格の高騰です。国土交通省の住宅市場動向調査(令和6年度)によれば、注文住宅の購入資金は全国平均で6,188万円にのぼり、近年は上昇が続いています。

参照:国土交通省|令和6年度 住宅市場動向調査

一方で賃金の伸びは物価の上昇に追いついておらず、住宅価格が上がると借入額も大きくなりやすいため、手取り年収の25%以内に抑えにくくなっています。そのため、25%はあくまで「ゆとりを持って返せる理想的な目安」ととらえることが大切です。

収まらない場合は、物件の予算を見直せないか、返済期間や繰り上げ返済の余地はどうか、今後の収入見込みはどうかなどを踏まえて、総合的に判断しましょう。加えて、住宅費以外の生活費に見直せる支出がないかも確認してみましょう。保険料や通信費、サブスクリプションといった固定費を一度洗い出すと、家計に余裕が生まれ、無理なく返せる範囲が見えてくることもあります。一般論ではなく、自分の家計にとって無理のない返済額を見極めることが、後悔しないための鍵になります。

年代別の注意点(20代・30代・40代・50代)

頭金なしでローンを組む際のリスクや注意すべきポイントは、現在の年齢によって異なります。年齢によって、収入の状況や完済までの期間、今後のライフイベント(出産や老後など)の課題が大きく変化するためです。年代別に見てみましょう。

  メリット・特徴 デメリット・注意点 後悔しないための対策
20代 35年ローンでも定年前に完済しやすい 収入が低めで審査に通らない可能性、今後の出費が未定 結婚・出産など未来のライフイベントを見据え、余裕のある借入額にする
30代 キャリア形成期で収入が上がりやすいため、借入できる額が大きくなりやすい 35年ローンだと完済が60代後半になる可能性がある 今後の教育費を計算し、無理なく返済できる計画を立てる
40代 収入が安定し、将来の予測がしやすい 教育費のピークと重なる。完済年齢が高くなり審査が厳しくなる 教育費と老後資金のバランスを取り、長めに借りて後で繰り上げ返済する
50代 手元に現金を残すことで老後の安心につながる 定年までが短いため毎月の返済が高額に。健康リスクがある。頭金なしだと審査が厳しくなる 物件予算を下げて借入額を減らし、退職金を活用した計画を立てる

・20代:完済年齢は安心だが、未来の変化に備えたシミュレーションを

20代は、35年ローンを組んでも一般的な定年である65歳までに完済できる可能性が高く、老後の負担を減らせるメリットがあります。また、40年・50年ローンを組める可能性もあるでしょう。一方で、まだ収入が比較的低いため、金融機関の審査で希望の借入額に届かないケースがある点には注意が必要です。

また、これから結婚、出産、転職など、生活が大きく変わるイベントが数多く控えています。目先の支払いだけでなく、今後のライフイベントでどれくらいのお金が必要になるか、余裕を持ったシミュレーションをしておくことが大切です。

・30代:完済が60代後半になる可能性。貯金できなかった理由の振り返りを

30代は結婚や子育てが本格化し、これからのライフプランが変化しやすい時期です。ここで35年ローンを組むと完済が60代後半に及び、定年後もローンが残るかもしれません。そのため、老後資金への影響を考え、繰り上げ返済などで完済時期を早める計画を立てておきましょう。

また、「なぜ頭金を用意できなかったのか」を振り返ることも重要です。単に貯金が苦手だったのなら家計を見直す必要がありますし、あえて手元に残したのであれば将来の教育費や繰り上げ返済に回すなど、計画的な資金の使い道を考えておく必要があります。

・40代:教育費のピークと老後資金の準備を両立させる

40代は、収入が安定し将来の予測がしやすい反面、子どもの教育費がピークを迎える時期と重なります。さらに、35年ローンを組むと完済年齢が75歳を超えるため、審査の段階で期間を短くするよう求められたり、借入額を減らされたりする可能性もあるでしょう。

また、加齢に伴う病気やケガのリスクも増えてきます。大学の学費など数百万円単位の出費とローン返済を両立できるか、事前にしっかり計画を立てましょう。教育費の支払いが落ち着いた後に繰り上げ返済をするなど、定年までに完済できるような工夫が求められます。

・50代:審査の厳しさと減収・健康リスクを考慮し予算を下げる

50代で頭金なしのローンを組む場合、ほかの年代に比べて審査が厳しくなる傾向にあります。定年までの期間が短く、毎月の返済額が高額になり家計を圧迫しやすいからです。また、早期退職や健康上の理由による収入減少のリスクもより現実的になってきます。

そのため、頭金なしで購入する場合は、まずは物件の予算自体を下げて無理のない借入額に抑える決断が大切です。そして、退職金を使って繰り上げ返済をするなど、どんなに遅くても75歳までには確実に完済できるような返済計画を立てることをおすすめします。

金利上昇などの「最悪のシナリオ」もシミュレーションしておく

頭金なしのローンで後悔しないためには、将来の状況が悪化した場合の「最悪のシナリオ」を想定し、それでも返済できるかを事前にシミュレーションすることが不可欠です。

住宅ローンは数十年にわたる長期の返済となるため、金利や収入によるリスクが常に存在するからです。

たとえば、変動金利を選んだ場合、金利が上昇して毎月の返済額が増えるリスクがあります。また、共働きを前提にしてローンを組んだものの、病気や出産などでどちらかが働けなくなり世帯収入が減少することも考えられます。

このような「条件が悪くなったとき」でも、家計が破綻せずにローンを返し続けられるかを確認しておきましょう。

もしシミュレーションしてみて返済が厳しいと感じたら、家の予算を下げて借入額を減らすなどの対策を検討する必要があります。最悪の事態に備えておくことが、安心したマイホーム生活を送るための鍵となります。

まとめ

住宅ローンを頭金なしで組むことは、初期費用を抑えて理想の家に早く住めるなど、今の時代に合ったメリットがたくさんあります。また、近年は地価・資材・人件費などの高騰で不動産価格も上昇しているため、数年間かけて頭金をためているうちに理想の物件に手が届かなくなってしまう可能性もあるでしょう。実際、理想の物件を見つけたら、頭金なしで住宅ローンを借りる選択をする人も少なくありません。

2024年の調査によると、新築マンションを頭金なし(自己資金比率0%)で購入した人の割合は、首都圏・関西圏・東海圏のいずれの都市圏でも2割前後から2割を超える水準でした。

一方で、頭金ありのローンに比べると総支払利息が増える点や将来売却する際のオーバーローンのリスクなど、注意すべき点も存在します。

手取り年収に対して無理のない返済額にとどめることを意識し、ご自身の年代に合わせたライフプランに加え、金利の上昇や収入減などの「最悪のシナリオ」までしっかりシミュレーションすることが大切です。



著者プロフィール

著者 勝目 麻希

新卒で総合職として三菱UFJ銀行に入行し、法人融資・金融商品販売などを担当。
商社へ転職後に結婚、出産を機に退職し、ライターとして独立。
現在は、2級FP技能士の資格や知識を活かして、金融系メディアを中心に執筆している。

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